こんにちは。HEAPS(ヒープス)です。もう11月だなんて。冬はもうすぐそこの角にいるようですが、ヒープスのイベントはもっとすぐそこです。もう角を曲がってきちゃっています。11月の末・12月の一週目に、今年最初で最後のイベントをします*。2019年は1度きりのイベントとなりますが、いろいろと用意しているのでぜひ来てください。
今回も、参加者の方・コントリビューターの方を、いずれも応募制で募集します。本記事の下〜…の方に案内していますので、刮目してくださるようお願いしておきます。今回は、どんな人たちとイベントを一緒に作れるのだろう。相変わらず告知一つも長いですが、今後について大切なお知らせもあるので、目をこすって詰め込みすぎの字を追ってくださいね。
*当初は9月に予定し、告知していたものを延期したものです。
世界からオファーが止まらない22歳、“今年最後の1週間”で日本へ
今年の一度きりのイベントに呼ぶのは、本誌連載で2019年の夏前に取材をした、いま世界から最も視線を注がれるZ世代の一人、自身を「文化の建築家」と呼ぶプログラマー/ソフトウェアエンジニアのアイドリス・サンドゥ(22)。10歳から図書館通いでプログラミングを学び、13歳からグーグルのインターンに参加してプロジェクトに参加しながら、テックの現場入りへ(学校では、クラスメートたちが次の授業の教室に簡単にたどり着けるようにアプリを開発して、オバマ元大統領にホワイトハウスに招かれた。当時アフロヘアだったアイドリスは、そのアフロ、いいね。とオバマに言われたことを、多くの取材で話している)。
15歳でツイッターのコンサルをし、インスタグラム、スナップチャットのアルゴリズムをかき、ウーバーへでの開発にも参画。早くから果たしてきた実績もそうだが、2009年より、スマートフォンとSNSの浸透で急速に動き出したテック業界を、10代の視線で捉えていたというのもまた、稀有な存在だ。
アイドリス・サンドゥ(Iddris Sandu)
その後は、ラッパーの故ニプシー・ハッスルと組んでアマゾンゴーよりも早くスマートショップを実現し、そこから、カルチャーへの理解とテックのスキルを生かした創造を発揮。カニエ・ウェストやヴァージル・アブロー、ジェイデン・スミスといったクリエーターやアーティストたちとの制作をすすめていく。大学や研究室からのオファーが絶えないが、「4年間も待てない」「学歴がなくてもできることを証明する」と、独学を貫いたまま、分野どころか現在は各国からのオファーに応え、勢い止まぬままに“テック×カルチャー”の創造を繰り広げている。そんな大忙しなアイドリスの“今年最後の1週間”を確保して、日本に来てもらうことにしました。
「世代の感覚と大切なことに、偽りのないイノベーションを起こすこと」
アイドリスの突出した経歴もそうなのですが、今回ヒープスがアイドリスに注目したのは、“10代”という感性に揺れる時期に、使う側・作る側の両方を経験し、その独自の視線でテック業界の急進を捉えてきたこと。それによって彼だからこそ持ちえた「テック業界への問い」を持っていること。そして、いまその問いに向かって、独自の視点と身体的に備えた世代の感覚を持ち味に、業界を飛び越えて新しいテックのインフルエンスをもちいて社会にアクションを取ろうとしている(詳しくは、▷取材記事「ソフトウェアエンジニアでもないしプログラマーでもない。テックを使う“文化のアーキテクト(建築家)”だ」へ)。そこに興味を持ったからです。
「都市にいると忘れがちだけど、まだまだマックブックエアを必要としている人たちだっていっぱいいる。スマート〇〇よりも、まずはそのテックを多くの人に届けていく“民主化”を進めていきたい」
「発信できるようになったのはいいことだけど、そのためにみんながインスタグラム、フェイスブック、スナップチャットにいる。それって結局、伝えたいストーリーがどう伝わるかをコントロールされているということだから、プラットフォームを作ることにフォーカスしていかないと」
「ファッションでも音楽でも、テクノロジーとカルチャーってまだまだ壁があると思う。テック側からのカルチャーに対しての理解もそうだし、カルチャー側からのテックへの理解がまだまだ互いに埋まらないからだと思う」
「消費する、発信する、その次の“作る”をなるべく多くの人に可能にしていくことが、僕らの世代の役目だと思う。誰かが作ったものを使い続けているということ自体が、大きなバイアスになっていると思うから」
アフリカの若い世代への教育にも着手しはじめていて、「大きな問題に直面しているからこそ、次のテックのリーダーはアフリカから出てくるはずだ」とも話していた。自身も有色人種で独学の作り手であること、カルチャーへの理解を身体的に持っていること、サステナブルやジェンダーなどのいまの世代の観点を保持していること、それゆえユースカルチャーの感覚や感性を守りながら、イノベーションを仕掛けていけることを自分の強みだと話すアイドリス。世代の感覚と感性を大切にしたイノベーションで築かれる「いま」と、そこにどんな文化が生まれていくのかを、今回のイベントで、アイドリスと探っていきたいと思います。…アイドリスが考えていることについては、夏前の取材とスカイプで重ねている会話ではとらえきれないことが多すぎるので、今回のイベントのうちの一つ、公開取材にてみんなで聞いていきたいと思います。
そして、今回は「感性と世代の感覚で、いまをもう一度つくる」ことをテーマに、さまざまな分野よりゲストを招き、いつもより大きめのトークイベントで計画しています。いつもより皿を多めに回す気持ちです。展示品もいろいろ出すので、一番下の方でお知らせします…。それより先に別のお知らせがあるので…。
ヒープスは「DON’T BLINK!(見逃さない、見落とさない)」
アイドリスとのイベントをMEETHEAPS Vol.06として告知していましたが、このイベントをVol.00として、ヒープスは新しく活動をはじめていきます。今年は、東京のメンバーも拡大したことだし。
15年に再創刊してから今日まで、HEAPS(ヒープス)は、一人ひとりが「時代と社会を見通せる」ように、そして一人ひとりが「時代と社会とどう関わっていくのか」を思索できる場所を、メディアとしてつくってきました。いま世界で起こっていることをただの情報としてではなく、一人ひとり個人の視点と世界のあいだの文脈を繋げるように、独自取材のもとカルチャーストーリー群を届けています。
日々、雑誌を作っていくなかでわかっていったことは、点では見えづらくても、大きな文脈で見たときに、国や年代、やっていることのかたちこそ違えど、同じ想いや問いのもとに動いていることがたくさんあるということ。現代を生きる私たちは、年代も国も関係なく、いまの社会で「何を信じていて」「何を問題と思っていて」「何をサポートしたいのか」という共通の問いや想いで繋がることができる、ということ。日々、さまざまな視点や分野や国を駆け抜けて(といっても電話やメール、スカイプを駆使)、ストーリーをつくっていくなかで少しずつ確信してきました。
培ってきたものとその確信とともに、HEAPSはこれまでに取り上げてきた世界各地の個人や編集部、読者、時には企業とともに、現代の問いや課題に対してともに思索する、協働の場所を継続的につくっていきます(活動内容については、イベントでお知らせします)。
名前はいま決めているのでまだないのですが、活動のモットーは「DON’T BLINK!(ドント・ブリンク!)」。「見落とさない、見逃さない、見ないふりをしない」という意味をもつこの言葉は、私たちがこの数年をかけて紡いできたストーリーテリングの姿勢そのものです。
めまぐるしい日々の中、最終的に何よりも大切なのは、一人ひとりが自分にとっての大切なことを、見落とさないこと、忘れないこと、忘れたとしても戻っていける、あるいはまた見つけられること。大きな声に惑わされずに、つよい波にも流されずに、好きなものやスタンスを守りながら、自分の生き方を確かに持つこと。それぞれにとっての「I DON’T BLINK」を大切にしていけるような場所として、少しずつ作っていきたいと考えています。
さて、ヒープスの活動についてを改めて知らせたメールに、早くも “Part of it!(のるよ!)”と言ってくれた、これまでの誌面に登場した彼らをここで一部紹介。一緒にどんなことができるのかなあとワクワクしています。
ロナン・マッケンジー(Ronan Mckenzie)
黒人のアイデンティティや多様性をテーマにした作品や、メインストリームファッション誌が掲げる“美の基準”に真っ向から闘うインディペンデント雑誌も手がける、ロンドン在住の写真家。
「黒人のアイデンティティもみんな違うんです。たとえば黒人男性に対し、強そう・パワフル・筋肉隆々みたいなイメージがあるでしょ? 肌の色でその人を認識する、決めつけることにはもううんざり。肌の色以前に、誰しもがまず第一に“人間”であり、一人一人が“違う”という当たり前のことを見せたい」
取材記事:認識と闘う「A BLACK BODY」
ロナンのZINE(ジン)紹介記事:「もうVOGUEはいいんじゃない?」美の基準という“社会のシミ”を消したい。自主制作・広告一切なしで挑むインディペンデントマガジン
デビー・ストーラー(Debbie Stoller)&ローリー・ヘンゼル(Laurie Henzel)/BUST MAGAZINE
自分らしさ、多様性、消費社会からの自立、女性のセルフプレジャー、セルフケア…。それら今日のホットトピックを25年前から配信し、フェミニズムを「ポップカルチャー」として届けてきたBUST MAGAZINE(バスト・マガジン)の創刊者(現在も現役)。
「コスモポリタンやグラマー、当時の米国で影響力のある女性誌は『こんなふうにならないとヤバイよ』と読者の不安を煽るものばかり。だから、読後感の良い“代替え誌“を作ろうと思いました」
取材記事:“女性はこうあるべき“を25年前からポップに否定する雑誌『BUST』。いち早かった〈フェミニズム×カルチャー〉の編集
ジョージャン・ヨバノフスキ(Gorjan Jovanovski)
自国・北マケドニア共和国の大気汚染指数を、無料で簡単にチェックできるアプリ「AirCare(エアケア)」を開発。その深刻さを市民に知らしめた、ソフトウェア・エンジニア。
政府が公開するさまざまなデータ。しかし、それらの多くは数字の羅列に過ぎず、その数字が示すメッセージや物語を読み解くのは至難の技。「そのことから、政府が公開するデータの解読を次のプロジェクトにしようと思い立ったんです」
取材記事:誰も報じてくれない大気汚染。26歳が〈無料公開データ〉ではじめる市民革命「僕たちの国に、きれいな空気を取り戻す」
ツェポ・モクホロ(Tshepo Mokholo)
南アフリカとルワンダを拠点とする若き建築デザイナーで、ルワンダ・キガリにある建築やデザインのトレーニングセンター「ADC」が主宰する建築家プログラムの卒業生。
「アフリカ大陸の人々の心に響くような空間を作るため、アフリカの建造物は、アフリカの建築家たちによってデザインされるべきかと思います。たとえ、世界各地の建築家たちとのコラボレーションだったしても、アフリカの建築家たちには、自身のコミュニティのためにデザインする権限は握っておいてほしいです」
取材記事:2050年には人口25億へ〈アフリカの未来とアイデンティティを握る、大陸の建築〉って?「国々を生かす“ローファブ”が鍵」
トム・ガイズマー(Tom Geismar)&サギ・ハビブ(Sagi Haviv)/Chermayeff & Geismar & Haviv
大企業の企業ロゴをシンプルにし、ロゴ界に歴史を刻んだ“ロゴ界のゴッドファーザー”といわれるデザイン事務所「チェーマイエフ&ガイズマー&ハビブ(Chermayeff & Geismar & Haviv)」のグラフィックデザイナー。
「我々はいつの時代もトレンドやスタイリッシュさ、アバンギャルド性には目をくれないように心がけてきました。いいロゴは、時代に左右されることなく、その息はとても長いのです」
取材記事:「ロゴにトレンドなど無い」世界的企業の“顔”を60年つくり続けるデザイン事務所が知る〈ロゴの髄〉
アマンダ・マンズ(Amanda Munz)
レベッカ・ミンコフやカルバン・クライン、ブルーミングデールズなどの有名デザイナーやデパートも協力。毎シーズン作られては倉庫やショールームに眠る/捨てられる服のサンプルをオンライン販売する非営利団体「ザ・ファッション・ファウンデーション(The Fashion Foundation)」の創立者。
「サンプルセールとして販売したり、従業員や関係者に配ることもありますが、それでも処理しきれないくらいの量があります。ショールームや倉庫で死蔵されるか、置く場所がなければ捨てられることがほとんど。ブランドがそれらの処理に困っているのを見てきました」
取材記事:倉庫に眠る「サンプル」をオンライン販売。“ファッション業界の余り物”で教育現場を良くする27歳のやり方
サムラ・ハビブ(Samra Habib)
世間や家族から虐げられてきたクィアのイスラム教徒、クィアムスリムたちが自分たちのライフストーリーを包み隠さず赤裸々に語るフォトプロジェクト『Just Me and Allah: A Queer Muslim Photo Project』を手がけた、作家/フォトグラファー/アクティビスト。
「クィアムスリムの人々に互いの存在を知ってもらうことのできる場所を作りたかった。イスラム教徒といえば“テロリスト”や“抑圧される女性”といったイメージを持たれる社会で、イスラム教徒としてそしてクィアとしても生きる人々の存在を世界に人に知ってもらいたい」
取材記事:SNSで繋がる世界各地の「イスラム×クィア」。祖国と世界から疎まれたダブルマイノリティの反撃
ザコス・ヴァーフィス(Zachos Varfis)/LATRAAC
アテネの中心部にスケートボウルを協力者を集めてDIYで建設開始、スケートボードボウル兼カフェ「LATRAAC(ラトラック)」を正式にオープンし、アテネにいま起こるDIYシーンのたまり場をいち早く作ったアテネ在住の建築家。
「時間が経過するにつれ、待てど暮らせど自分たちの暮らす都市の状況は一向によくならないことに気づいた人々が、待つことをやめて動きはじめたんだ」
取材記事:「待つことをやめた」アテネ市民の〈DIYパラダイス〉。経済危機から8年、歴史都市が模索するDIY復興シーン
マーク・リーダー(Mark Reeder)
マンチェスター出身の音楽プロデューサーでDJ、ベルリンの壁が東西を分けていた70・80年代にベルリンに移住し、ロックが禁止されていた東ベルリンへカセットテープにてパンクを密輸、違法教会ライブなどもゲリラ決行。壁崩壊前後にはテクノなどドイツのエレクトロミュージック普及に貢献した音楽レーベル『MFS』創設者。
「壁崩壊のおかげで、東と西の者たちが出会い、旧無人地帯で踊り明かした。みなが同じ精神状態で、互いを愛した。冷戦は終わり、核戦争による破滅の脅威はなくなった。国家の分断は終わり、東西の者たちがたったひとつの曲に身をまかせダンスする。1990年10月3日に制定されたドイツ再統一のもっと前から“本当のドイツ再統一”は、壁崩壊直後のダンスフロアでおこっていた」
取材記事:【連載】「ベルリンの壁をすり抜けた“音楽密輸人”」 鋼鉄の東にブツ(パンク)を運んだ男、マーク・リーダーの回想録
Stolen(ストールン:秘密行动)
Photo by Alex Jung
中国四川省の省都・成都(せいと)を拠点にする2011年結成のエレクトロ・ロックバンド。「中国の新世代を引っ張るサウンド(sino-scene)の作り手」と名高い。
「電子楽器や音楽ソフトウェアが手に入りやすくなって、中国でもエレクトロシーンが発展している。もっと多くのバンドがエレクトロを実験的に探求していると進化途中だね。音楽制作に打ち込む女の子も増えてきているし。テクノの可能性は常に広がっていっていると感じるよ」
取材記事:海賊盤で育ちWeChatで配信、21世紀中国音楽キッズの計画:〈シノ・シーン〉で中国独自のカルチャーを起こす
アビソイェ・アジャイ(Abisoye Ajay)
ナイジェリアの旧首都ラゴスにて「得意なのは子どもを産むことだけ」と思い育つスラムに生きる少女たちにIT教育を与えるプロジェクト「GirlsCoding(ガールズコーディング)」創設者、ITのスペシャリスト。
「意図的に女性だけのプログラムにしました。男性講師が教えると少女たちは“女性がテクノロジーに携わること”への興味を失ってしまいます。彼女たちにはプログラマーやエンジニア、リサーチャーなどIT業界で働く女性をロールモデルにしてほしいのです」
取材記事:「得意なのは子どもを産むだけ」。スラム少女たちはITで人生を変えられるか?IT教育革命「GirlsCoding」
フリン・マクギャリー(Flynn McGarry)
12歳で週5日レストランで働きはじめ、13歳で予約困難なポップアップレストラン、19歳でニューヨークのファインダイニング「Gem(ジェム)」をオープンさせたシェフ(“料理界のプリンス”、“料理界のジャスティン・ビーバー”←本人は嫌いらしい)。
「料理をすること、そしてみんなが僕の料理や空間をたのしんでいるってことがすべてで、あとのことは本当にどうでもよかった(笑)」
取材記事:青二才、九人目「料理をする。みんなが僕の料理をたのしむ。あとのことは本当にどうでもよかった(笑)」
セオ・モロイ(Theo Molloy)/PUP Architect
H-VAC by PUP Architecture. Copyright Jim Stephenson 2017.
屋上というオープン空間にマイクロアパートを建設、家賃の急高騰に嘆くアーバンシティと市民に対し、デッドスペースにクリエイティブかつサステナブルな住居アイデア「ゲリラ・ハビテーション(住居)」を提案するロンドンの若き建築家グループ「PUP Architects」プロジェクトチームメンバー。
「屋上スペースは十分に有効活用されていないと感じていました。市の建物規制にきちんと則れば、屋上にアパート建設も不可能ではない」
取材記事:若き建築集団「屋上に小さなアパート建てます」大都市のデッドスペース活用、新世代の住み方は「ゲリラ住居」?
ム・トゥンク(Mu Tunc)
軍事政権下、音楽不毛時代といわれていた90年代の知られざるトルコ・パンクシーンを、“パンクシーン”のキーマンだった兄オークンを通して体験。兄を主人公にしたフィクション映画『アラダ(Arada、2018年公開)』のメガホンをとった映画監督。
「アルコール、ましてやドラッグなんてないよ。12、13歳のティーンだから、せいぜいコーラやファンタといったところだね。集まる人はパンクなんて知らなかったわけで、みんなで集まって騒ぐことが一番の関心ごと。そこでやり場のないエネルギーを発散していたんだと思う」
取材記事:「兄貴はシーンの祖で、僕はビデオをまわした」音楽が潰されたトルコ、90’sティーンたちの〈誰も知らないパンクシーン〉
ジョン・ロエンガード(John Loengard)
フォトジャーナリズムの先駆けで、文章よりも写真を中心としたルポタージュやフォトエッセイで誌面を構成し「グラフ雑誌」と呼ばれたアメリカの雑誌『LIFE(ライフ)』の専属フォトグラファー(61年)、元写真部長(73年から87年)を務めた写真家。…(「とても残念なことに、僕は人前で話すのが苦手な質(a rotten public speaker)なんだ」とのことなので、小さなワークショップか、展示か、動画か、ジョンが人前で話すこと以外で何か一緒にやりたいと思う。)
「ライフが他誌と違ったのは、写真の扱い方でした。決して文章記事を補うためのイラストとしての写真ではなく、それ自体がストーリーを自ら語り出す、つまり写真を“情報”としてみなしていたわけです」
取材記事:フォトジャーナリズムの先駆け・グラフ誌『LIFE』。写真部長が語る「LIFEの写真哲学、良い写真の基準」
マイク・ストーラー(Mike Stoller)
若かりし頃のマイク(左)。
エルヴィス・プレスリーや50年代黒人R&Bの名曲の数々、『スタンド・バイ・ミー』などを作曲、全米のティーンが口ずさむ青春ポップスを“ヒットソング工場”ブリルビルディングで手がけた作詞=作曲家コンビ「リーバー&ストーラー(Leiber&Stoller)」の作曲家。
「ただのオフィスでしたよ。アップライトピアノに、大きな机、数脚の椅子、電話。それだけ。なんの変哲もない部屋でした。あと、そこに私たち二人がいただけです」
取材記事:【連載】ブロードウェイ49丁目・夢のヒットソング工場「ブリルビルディング」大衆ポップス黄金期、伝説の作曲家が回想するビルの内側
ビル・バーンスタイン(Bill Bernstein)
『Studio54』や『Paradise Garage』など往年のニューヨークディスコシーンを撮影、荒廃する社会に反し、ジェンダー、人種に関わらず誰をも受け入れるダンスフロアを1977-79年の2年間ドキュメントした写真家。
「どのディスコに行けど、ドアに一歩足を踏み入れれば、とっても安全でクリエイティブ、愛に溢れる空間だった」
取材記事:誰をも歓迎した「たった2年間のパラダイス」。NY・70年代ディスコ・シーン、狂乱と享楽のダンスフロアにあった真実とは
And more…
それから、ヒープス編集部もとても尊敬している、この映画館も。「世界にはこういう映画もあると見せる。それは、日本以外の世界にはこういうことがあると見せる。それは世界が一辺倒になるのを避ける一つの手」だと、設立当時からドキュメンタリーの配給に力を入れてきた「Uplink(アップリンク)」さんとも協力し、映画館という街の文化のハブを拠点に、継続的に一緒に小さな取り組みをしていきます(こちらも、イベント時にまたお知らせします)。
こんなコンビニあったらいいな。イベント期間のみのプロダクト展示
また、今回のイベントでは、これまで取材をしてきた人たちのプロダクトをいくつか展示します。「もしもこれがあそこのコンビニにあったら」をイメージして厳選しました。今回のテーマ、「世代の感覚と確かな手触りでいまをもう一度作る」というテーマを考えたときに、いつでもいけるコンビニに、その便利さに快さと希望と刺激を注入した、ヒープス的「ニューコンビニグッズ」。世界各地からやってくるプロダクト(ヒープスの編集部に届いたものを、スーツケースで運びます…!)と、本人たちからのメッセージをあわせて展示していきます。手にとって、触って、日々の問いに一筋の閃きをくれそうなものを確かめにきてください。大反響を読んだ記事(セックストイとは違う“解放”で応えるプロダクト、それがもたらすもの)のオーナットもあります。ぷにぷにしにきてください。オーナット以外にも、続々とプロダクトが到着しています。その一部をひと足先に、ここで紹介。
セックストイじゃありません。“セックスの痛み”から女性を解放する道具「Ohnut」
オーナット(Ohnut)。ドーナツ型で “Donut” とかけている。
「挿入時に痛みを感じたことがある女性は75パーセント。4人中3人もいるというのに、いまだに、その原因については正しく理解されていない」と気づいた女性、エミリーが自宅のキッチンでDIY。セックスの痛みから女性を解放する画期的なプロダクト。
取材記事:痛いのは「大きいから」「濡れていないから」じゃない。セックストイとは違う“解放”で応えるプロダクト、それがもたらすもの
女性の体と生活シーンに寄りそうスポーツブラ「Molly T」
「デザインの選択肢は多すぎるけど、サポート力にすぐれたものは少なかった」との思いから考案されたスタートアップ「Molly T.(モリー・ティー)」の、さらしのように巻きつけるブラ。「生理中でも、ランニングしても、授乳の前後もこれ1枚で大丈夫」と、女性の生活とちょっとした体の変化に気を配り、柔軟性と汎用性を実現。
紹介記事:胸の変化とTPOにあわせて〈変幻自在なスポブラ〉。運動中、生理中、妊娠中、週末にキュッと締めたりウンと緩めたり
長髪男子・万歳。ロン毛コミュニティ「The Longhairs」のヘアゴム
「男のロン毛を擁護(advocate)し、教育(educate)し、祝福(celebrate)しよう」をミッションに掲げるロン毛コミュニティ「ザ・ロングヘアーズ(The Longhairs)」が開発した男のためのヘアゴム。綿の肌触りで伸縮自在。髪に跡がつかず、ほどきやすい平らな形状だ。
取材記事:長髪男子クラブ「ザ・ロングヘアーズ」ご飯や目に入ったりするけどやっぱ好き。男のロン毛ケア結び方髪ゴムetc
ロンドン発「サステナブル×ファッション」は、30年着つづけられるTシャツ(保証付き)
サステナビリティを追求するロンドンのファッション起業家、トム・クリドランドが開発した「30年保証」がついてくるTシャツ(トレーナーやパンツもある)。50年以上も繊維業を続けているポルトガルの生産チームとタッグを組み、30年耐久する生地を開発。30年の間にほつれたり破れたりしても、送り返せば無料で修繕してくれる。
取材記事:「30年保証付きTシャツ」。 ロンドン発・ミレニアルズが作る、究極のベーシック・アイテム
ブルックリンの染物アーティストが、花屋の“廃棄花”で染めるスカーフetc
ブルックリンのアーティスト、カラ・マリエ・ピアッザのサステナブルな手染めブランド『calyx(ケイリックス)』の作品。花屋の売れ残りの花を集め、自宅のキッチンで“ナチュラル・ダイ”をおこなう。「たのしくないと続けられないし、サステナブルじゃない」がモットーの、カラが染めたスカーフやトップスを展示予定。
紹介記事:花屋の売れ残りで「染める」。自宅のキッチンで生まれる花の手染めブランド「Natural Dye(ナチュラル・ダイ)」
バーニングマンのベテランキャンパーが発明、フェスでも被災地でも使える「自作テント・シフトポッド」
バーニングマン歴20年以上のベテランキャンパー、クリスチャンが発明した、一枚布のオリガミ式の六面体テント「シフトポッド(Shiftpod)」。2−5分で建てられる手軽さと、フェスなどレジャーだけでなく、内戦や災害、貧困などの理由から家を失った人々へのシェルターとしても活用できる汎用性を兼ねそなえている。
紹介記事:バーニングマン歴24年の“自作のテント”を「あっという間にミリオンダラービジネス」にした世界各地のニーズ
今回のイベントの日時について(やっと…!!!)
ここまでたどり着いてくださったみなさん、ありがとうございます。アイドリス・サンドゥが来日する1週間のうちの2日間にて、トークイベントをおこないます。テーマは、「等身大の視線と確かな手触りで、もう一度“いま”をつくる」。独自の視点と身体的に備えた世代の感覚を持ち味に、業界を飛び越えた新しいテックのインフルエンスでアクションをとるアイドリスと、さまざまな領域で活躍するゲストを招き、読者とともにを思索していきます。
11/30(土)- 12/1(日)
等身大の視線と確かな手触りで、もう一度「いま」をつくる
▼概要
日時:
①11月30日(土)
②12月1日(日)
※両日とも時間帯は現在調整中
※①、②で内容は異なります。アイドリス・サンドゥはいずれの日程も登壇と対談をおこないます。
11/30は公開取材形式の対談、12/1は他ゲストとともに対談していくものとなります。各日程詳細は・イベント参加FBページや、本誌ツイッターにて随時更新していきます。
場所:都内某所
参加費:無料
▼イベント参加は以下よりご応募ください。
【11/24(日)応募締め切り】
※※※注意※※※【必ずご確認ください】
※今回、著作権権利上のもと、イベントの一部、映像の上映中においては写真・動画の撮影を固く禁止することがございます。
※今回の募集をおこなう際にいただきます個人情報は、本イベントの参加者の抽選とご確認の為に利用いたします。個人情報への不正アクセス、個人情報の漏えい、滅失又はき損の防止及び是正のため、合理的な安全対策を講じます。
今回も、コントリビューターの方々を募集します
毎度恒例の、コントリビューターの方々の募集をもちろんやります。毎回テーマが違うヒープスのイベントでは、その時々でイベントを一緒に作ってくれる方たちを募集します。特に、テック業界にあかるい同時通訳の方を探しております。また、アイドリスの初来日なので、滞在中の記録を撮ってくれるビデオグラファーの方も大募集中です。
▼コントリビューター応募フォーム
・コントリビューター応募フォーム
・コントリビューターFBページ
11/30(土)に予定している【公開取材(登壇しアイドリス・サンドゥに取材。台本はなし)】に、HEAPS編集長とともに、アイドリス・サンドゥに取材をしていく編集者・ライターさん方(どちらでもなくても、この分野にあかるい方)も2、3人ほど募集したいと思っています(その方がおもしろく、かつアイドリスへの理解を深めるためには必要だと編集長が思い立ったようです)。イベントにてアイドリスに取材をしてみたい方も、コントリビューター応募枠からご連絡ください!
ご応募お待ちしています!
初めての日本への旅をとても楽しみにしているアイドリスです。LAから来るからには寒がると思うので、一緒におでんをつつこうかな。いいおでんやさんを知っていたら教えてください。本イベントに関してはフェイスブックイベントページ、ヒープスのツイッターなどで随時更新していきますので、ぜひチェックをお願いします。
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MEET HEAPS(ミートヒープス)の過去のイベント。
▶︎MEETHEAPS Vol.1
「ぼくは魚をうまく捌けない」それでも“予約4,000人待ち”のダイニングを提供できる料理人、ジョナ・レイダーの正体
▶︎MEETHEAPS Vol.2(LEXUS共催)
「ぼくは、車のビジュアルも音に換える」人間の感覚を超えた政府公認サイボーグとの、未来に繋がる不思議な一夜
▶︎MEETHEAPS Vol.3(Berlin Atonal共催)
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