ときに大いなる笑いを、ときに大いなる恥じらいをもたらす存在、「おなら」。至極当然のことだが、気になるあの人も電車の隣に座っている見知らぬ人も銀幕のスターだって、日々“こいている”。人間である以上、一生おつきあいを続けていかなければならない宿命的存在が、おならである。
「ゆかいな3人組『=3=3=3』。読み方は“プププ”。はからずもお尻から不如意にも出てしまった空気の震え(=3=3=3はそれをよくあらわしている)、または楽しいときにもれるほくそ笑みの音。テーマはなんと『女の屁』!」。一目で読者を引き込むそのインパクト大の文言が踊る小冊子が、文言の通り女のおならに捧げられるジンシリーズズ『PU(プー)』だ。そう、三人組が「=3=3=3(プププ)」で、その「=3=3=3(プププ)」が作るのが『PU(プー)』である。
「=3=3=3(プププ)」の三人は、カメラマン(ニックネームはボリ)・映像制作会社ディレクター(ヤイヤイユキ)・会社員(コットンカオリ)という謎のトリオ。ジンの構想は「酔いも程よく回ったある夜」に生まれたという。
「もう何を話してもおもしろい、という状態の中で『トイレの大と小はわかる。でも中(ちゅう)って一体ナンのこと??』『そりゃオナラでしょう!』なんて会話で腹を抱えて笑い転げていて。そんな楽しい夜の勢いで、なぜか『3人でオナラのジンを作らない?』ということになり、後日シラフで集まって真面目な顔して、こんなものをこしらえることになっていました」
「JUST PU IT.(ジャスト・プー・イット)」に「おならグラビア」
そんな楽しい成りゆきではじまったジン、いざ取りかかると思いの外たくさんの発見が。たとえば、おならの語源といわれる「お鳴らし」は女房言葉*で、オナラという言葉自体がそもそも「女性の屁」を指すと知ったり。「生きてる以上だれでもオナラの当事者(?)だけど、特に女の屁って社会的にも、もっとプライベートな家族や恋人同士でも、“あるようでないもの”とされているかも」と考えてみたり。
*室町初期ごろから、宮中に仕える女房が衣食に関して多く用いた一種の隠語。のち、将軍家に仕える女性、さらに町家の女性にまで普及し、現代の一般語になったものもある。
一度その表紙をめくれば、“プププワールド”が全開。某キャッチコピーを文字った仮想広告「JUST PU IT.(ジャスト・プー・イット)」や女子がおならする瞬間を想定し撮影した「おならグラビア」、屁の発生源・サツマイモを使ったスープレシピなど。プププ独自のユーモアとセンス、そしておならに対する深い深い敬愛でもって「女の屁」を讃える。
「なにも特別に“屁”の肩をもちたい、ということではなく、ましてやこうしておならのジンをつくっていると紹介されること自体も、わたしにとっては実はとても恥ずかしいことだったり。でも『女の屁はあやまちではない!』といいたい(思いたい)ですね」。おならがもたらす“笑い”と“恥じらい”、ふたつの感情を絶妙に同居させた『プー』。抱腹絶倒は間違いない(勢いで屁こき注意)。
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All images via =3=3=3
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine