鋭い切り口と歯に衣着せぬ物言いで次々とぶった切るご意見番的な“オネエ”として日本でもすっかりお茶の間に定着した「ドラァグクイーン(女装家)」の面々。そんな“彼女ら”、型にはハマらない、非凡な才能の持ち主が多いと思いませんか。
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そんな一味も二味も違うドラァグクイーンたちの力強い個性を集めたマガジン『VYM Magazine(VYMマガジン)』がある。
シアター畑出身のJohnny Velour(ジョニー・ベロア)とそのパートナーでコミック作家、ドラァグクイーンとしても活動するSasha Velour (サーシャ・ベロア)の二人がドラッグクイーン・シーンにフォーカスして作る、ブルックリン発のドラァグクイーンアートマガジンだ。
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© Romey Benson (illustration), Ritsu Hirayama (embroidery), Jesus Ward (Photography), & VYM Magazine
第1号ではドラァグクイーンやクィアアーティストとともに「“Drag(ドラァグ)”とは何か?」をテーマに、近日発売予定の第2号ではシーンの歴史やアウトサイダーであるからこそ生まれるユニークな価値観などについてアーティストたちに話を聞いた。
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© Ben Bascom & Veronica Bleaus (words), Kinzie Ferguson & Becca Kacanda (images), & VYM Magazine
「メインストリームの外で生ける人々の美しさ、そしてそんな人々の作品を世に呈することはとても大切だと思うわ」
コミック、フォト、インタビュー、詩で彩られたにぎやかな誌面でもって、この息苦しい世の中でドラァグクイーンたちが自ら作り上げた新たな「あり方」や「カルチャー」を提示する。
社会という群れからはぐれたアウトサイダーたちは、世に沿わない生き方を見出し、結束し、独自の世界と価値観を育ててきた。
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© Masha Bogushevsky (photos), K James (words), & VYM Magazine
いつの時代も文化を創るのは、そんな「はみ出しもの」たちだ。
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Text by Shimpei Nakagawa,Edited by HEAPS