ランウェイのトレンド感もチェックする〈メディカルアパレル〉10人に9人が袖を通した驚異のブランドも登場

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この10年で最も大きな前進を見せたアパレルの分野をあげるとすると、一つは〈メディカルアパレル〉だ。

「医療着にもスタイルを」が普通の時代?

 今年の春、人気女性ルームウェアブランド「ジェラートピケ」とのコラボレーションで、デザインや質のディテールにこだわった美しいナースウェアが発表された。開発したのは、白衣の企画・製造・販売を行う「クラシコ」。「なんで誰もかっこいい白衣を作らないんだろう?」という疑問から2008年に創業、かっこいい白衣づくりに従事している。彼らは昨年、医療現場でのスマホ落下を防ぐ世界初の「スマホ白衣」を慈恵医大と共同開発したことでも話題を呼んでいる。
 さらにアパレルブランド「ビームス」は昨年、医療用ユニフォームブランド「ビームスメディカル(BEAMS MEDICAL、2008年創設)」からドクターコートやジャケット、パンツ、スクラブジャケットを発表。ここ10年で、医療現場での服装スタイル改革は、着実に前進。メディカルアパレルとして確立されている。

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(出典:FIGS Official Website

「なぜ“かっこいい医療着”がないのか」「携帯がぴったり入るポケットがない」「パンツがずれ落ちてくる」。見栄えのしない白衣に、肌触りの悪いスクラブ(Vネックの半袖医療着)、機能性の悪いパンツ。長年、医療従事者の疑問であり不満でもあった医療着の問題点を改善しようと、「医療用ユニフォームのアップデート」が顕著だ。一足早かった日本ブランドに続き、米国のメディカルアパレルブランドも年々膨張中だ。さらに、米国は「10人に1人が医療着の着用者」。今年は110億円の収益を見込んでいる。

 その中でも注目なのが、2014年からスタイリッシュな医療着を開発する「フィグス(FIGS)」に、“ランウェイのトレンド感”をもインスピレーション源にしているという、2013年創業の「Jaanuu(ジャーヌー)」。同ブランドはプラスサイズも用意する。もはや「医療現場にスタイルある服装」はスタンダードになりつつあるようだ。近年でブランドが増えたことにより、それぞれが「好みの仕事着」を選べるようになった。黒やベージュなどが多いむくみを軽減させる着圧ソックスも、フィグスではこの通り。医療服がビジュアルも眺めたくなる「メディカルアパレル」として認識されている証拠として、そのフォロワー数。現在、フィグスのインスタグラムには146Kのフォロワーがおり、1ポストへの反応も数千単位だ。

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(出典:FIGS Official Website

米医療従事者の9割が纏う“メディカルアパレル”

「命を救うとき、ズボンがズレ落ちてきたら(集中できない)」。これも医療従事者のあるあるらしい。元医療学生の女性2人が立ち上げた前出のフィグスは、創業以来、医療、歯科、獣医学業界から賞賛の嵐。2017年までには創業当時と比べ10倍以上の収益をあげると快挙を記録。「米国の医療従事者の9割がフィグスの医療着を少なくとも1着もっている」と米国のメディカルアパレルの代表選手だ。

 デザイン工程には、もちろんファッションデザイナーも入る。実際の医療従事者の現場の声を反映させながら、糸から生地までのディテールを選定。細菌感染を減少させるシワになりにくい抗菌性の生地を起用したり、聴診器やハサミ、スマホ、IDカードなどが入るポケットの数を増やした。パンツもジョガースタイルなど従来のダボっとしたものからスリムで動きやすい形を用意。色はウィメンズは15色、メンズは8色取り揃え、「医療着=白、紺」は古くなりつつある。「私たちは医療のプロフェッショナルたちの頭からつま先までをコーディネートします」という約束通り、ヘッドバンドや帽子、先ほどの着圧ソックスなどのアイテムも忘れていない。各アイテムは平均価格より2割増しだが、使い勝手やきれいなデザインのことを考えたら、決して高くはないだろう。

 医療現場の90パーセントがすでに袖を通しているメディカルアパレル。革新から10年経ったあとも、フィグスがいう通り「看護師、医者だからって、朝の鏡に映った自分の姿が格好よくなくていいわけはありません」は、医療のプロたち共通の意見だといえよう。

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Text by Risa Akita
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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