世界で一つ、プロカルチャー専門誌「HEAPS(ヒープス)」?
HEAPS(ヒープス)マガジンは、2015年の夏に(リ)ローンチしたウェブマガジンで、世界各地から「時代のプロカルチャー」を独自取材のもとに探り、日本に配信するメディアです。本社は神保町、編集部はニューヨークにあります。
はて、プロカルチャー? プロ(フェッショナル)なカルチャーでもプロ(テイン)系でもプロ(ブレム)的でもありません。聞いたことがない? そうでしょう、とある取材から飛び出した“インディペンデント映画の父”の造語(あとで詳しく述べます)から着想を得て独自に定義づけしたものだからです。なので、プロカルチャーマガジンというのは、世界に一つ。たぶん(そしていまのところ)。
プロとは〈前進〉を意味する言葉で、プロカルチャーとは、〈時代と社会を前進させるカルチャー〉のことと定義しています。プロカルチャーは、メインカルチャーにもカウンターカルチャーにも、ストリートカルチャーにもサブカルチャーにも存在し得るので、カルチャーの属性も、分野も横断して探っていきます。もはやサブカルチャーがサブカルではない、などは現代の常套句だし、またはカウンターカルチャーと同じ精神性を持ったアクションがメインカルチャーの中でも行われているというのは、肌で感じているかと思います。価値観も交わりも多様化していく現代において、縦軸だけで話しをするのは難しい。特にあらゆる人があらゆる分野で生み出していくカルチャーはなおさら。
なので、HEAPSではこんな感じで切ります。横軸でカルチャーを切っていくのがプロカルチャーです。
ここ一年で、独自取材のもとにこういった記事を出してきました。成長期の身長のようにギュンギュン伸びた記事なので、「あ、これHEAPS(ヒープス)だったんだ!」という方も多いかもしれません。
「予約4000人待ち」有名学生シェフが卒業後に選んだ進路はフリーランス。「レストランって不自然じゃね?」
フェミニストがメガホンを取る。男女問わずに超人気、女性監督による「真摯なポルノ」って?
「告知なしで20万人待ち」のアイスクリーム・ミュージアムを仕掛けた25歳。異次元レベルの集客力の鍵は?
異業種が自由に横断しはじめた日本のブルーカラーたち。技術と製作意欲が集結、製作所「サタデーファクトリー」
本人への取材一切せず傑作記事を仕立てる。現実を演出する文豪ゲイ・タリーズの「ニュージャーナリズムの巧み」
人と接しよ、残り「0.01mm」まで。コンドームに人生を賭けたサガミ社長の「薄くない」話
元ヒッピーが書いた物理学書が“100万部突破のベストセラー”に「物理学とヒッピーカルチャーは変わらない」
一目見たら忘れない。バンド名タイトル入れず“レコードを買わせた”デザイン集団・ヒプノシス、いま生き残りメンバーが明かす制作バナシ
エロく強く。LAパンクのど真ん中を突っ走った最強の女たち。70・80年代、粋なガールズパンクス・シーン
プロカルチャーのコンセプトにたどり着いたのはつい最近です。2015年に編集長が変わってから新たなチームを組み、試行錯誤(と地獄のような)3年、コンテンツとともに柔軟に変容しながら、自分たちの出すべき角を見つけていきました。
もともと編集長が変わった際に、時代と社会の決まり文句にとらわれない、というのを軸としたため、しばらくは既存の常識や価値観に対抗する「カウンターカルチャー」をうたっていました。が、実は「なんかバシッとハマっていない。ちょっとズレてる」と編集部内で話していました。
メインカルチャーに反抗するものだけが、社会に前進をもたらすわけではない。むしろカウンターカルチャーだけに目を向けていると、それこそ分断と分断ゆえの停滞をもたらしてしまうのではないか。実際におもしろいものは縦軸にわけられたあらゆるカルチャーに垣間見えている。ただし、なんでもありなのではなく、一つの信念と〈前進の精神性〉をもって挑戦する動きにある、と、思いと考えを巡らせていくわけです(編集長は考えすぎて5円ほどハゲました)。が、しかし。これをなんと呼ぼう。
悶々としつつ、2年ほどさまよいます(長い)。これはもう、カウンターカルチャーというほんの少し襟の合っていないTシャツを着て、右足だけしっくりきていない靴下を履きながら制作をしていたわけですよ。
ところが昨年のある取材をきっかけに、突然〈プロカルチャー〉にたどり着きます。取材相手は、かつてアンディ・ウォーホルのお尻をたたいて制作をすすめさせ、サルバドール・ダリやロバート・フランクと膝をつけて話し、のちにジム・ジャームッシュやジョン・ウォーターズ、ハーモニー・コリンなど無数の映画監督が薫陶を受けるインディペンデント映画の父、ジョナス・メカスでした。世間一般には商業映画しかなかった時代に、非商業映画の価値を伝えた彼との長時間にわたる取材、インディペンデント映画を、当時の商業映画がよしとされる風潮に反抗した「カウンターカルチャー」だと言葉にして質問に臨んだ弊誌に、ジョナス・メカスはものの5秒でこう言い切ります。
非商業映画はなにもメインストリーム文化に反抗(カウンター)していない、むしろ本物の(プロ、前進の)カルチャーである、と。アッ。
そこから、HEAPSはこれまでコンテンツにしてきた取材対象者や事象におけるあらゆる言葉、考え、物差し、思慮を集結させて考え直し、プロカルチャーに独自の定義づけをしました。
既存の概念に反撃するカウンターカルチャー、またはコミュニティが独断と偏見で作り出すサブカルチャー、はたまたメインカルチャーが試行錯誤する新たな動きを、「社会を前進させる力(可能性)を持つ、時代のプロカルチャー」として探っていくメディアを明確に目指そう、と。…ごちゃごちゃと難しいことを連ねましたが、ある人気漫画ふうになることを恐れずに端的にいえば プロカルチャーとは〈前進のカルチャー〉です。進撃のカルチャーではないですよ、前進のカルチャーです。
自宅にて、数時間の取材に応じてくれたジョナス・メカス。
photo by Omi Tanaka
…ここまでが前置きで、、、、、本題! やっと!
そんなこんなで、ようやく合わなかった襟も靴下もぴったりあったことだし、メディアとしてさらに拡大していくため、まずは9月にウェブサイトのリローンチを控えています(たのしみ)。
HEAPSマガジンの意義も変わらず、時代と社会の決まり文句にとらわれないストーリーテラーとして存在すること。そのために一緒に走ってくれるメンバーを募集します、なぜなら、人が足りなさすぎてやばいからです。編集部のコンテンツ制作にもう一つ、とてもたのしいと同時にものすごく大変な仕事があってですね…。
12月、引っ張りだこのポルノ映画監督、エリカ・ラストを日本に呼びます(初来日!)
HEAPSマガジンは代えのないストーリーテラーであるべく、昨年からもう一つ「#MEETHEAPS」というアクションを起こしています。読者・取材対象者・作り手が集まり交差する場所を作りたいと考え、本誌に登場した人物を呼びよせてイベントを共創する場です。海外からもあれば日本のどこかから彼らを呼び出します。
また、同イベントの一部、集まるすべての人が発言し発信する、“全員参加型の公開取材”「パブリック・インタビュー・スタジオ」では、メディア・取材対象者・参加者が自由に意見を横断させます。
メディアが時代の〈プロカルチャー〉を伝える役割だとすると、イベントは〈プロカルチャー〉の実験の場。みんなでおもしろいことを試してみよう、ということです。
2017年9月に、友人のできないレストラン体験に疑問を持ち、新たなソーシャル・ダイニングを実験する、予約4000人まちのフリーランスシェフ、ジョナ・レイダーを日本に呼び、このイベントシリーズはスタートを切りました。イベント参加者はすべて公募し、フォトグラファーさん、ビデオグラファーさん、イラストレーターさん、コックさん等々…はじめて関わる読者の方たちとイベントを共創しました。ちなみに、このイベントに参加してくれたある方は「フリーランスのシェフを呼ぶ部屋をつくった」と言っていました。次にジョナを呼ぶのはその部屋かもしれませんね。HEAPS、会場探さなくてすむし。
photo by Yuki Nobuhara
photos by Tomoko Suzuki
同年12月には世界初のサイボーグを呼び、LEXUSと共に主催して、世界初のサイボーグが「レクサスの車体から音をとり(詳しくはコチラ)、日本随一のヒューマンビートボクサーのKAIRIさんや、トラックメーカー集団のCLATさんとコラボしてサイボーグ初セッション。この一連をレクサスと一緒に実験し、公開しました。ところで、レクサスさんのとある方はココイチ帰りのスティーブ青木さんがたまたま寄ってくれたのがこの日のハイライトだと一緒に撮った写真を胸に抱いていました。
photos by TOSHINORISUZUKI
冷戦時代の音楽密輸人も来日(穴子寿司を大変気にいる)
今年の3月に、第3回として、弊誌で連載をしていた「冷戦時代の音楽密輸人、マーク・リーダー」を日本に呼び、ベルリン・アトーナルと共催のもとに一夜のクラブイベントをやったり。冷戦時代の音楽密輸人、クラブCONTACT(コンタクト)、bonobo(ボノボ)にてカラオケ行ったらマイク離さない人みたいにずっとまわしていました。
Photos by Takahisa Yamashita
旧友である電気グルーヴの石野卓球さんとの20年越しの対談も、90年代初頭から日本のテクノ/クラブ・シーンを支えた面々が集まり当時の逸話を共有するネット配信番組も実現。
photos by Shiori Ikeno
そしてそして、そして。その第4回に、今年12月初旬(詳細は追々)、記事公開から2週間で15万人に届くほどの反響があった「女性のポルノ映像監督、エリカ・ラスト」を日本に呼ぶことを決定しました。世界各地で引っ張りだこの彼女、これが初来日となります。
何かやろう、とぼんやりとした話は昨年からしていまして、エリカにずっと「まだ? 早く返事してくれないと他の予定入っちゃう」と20回くらい言われながらも「待って、来週には決めるから」をその度に繰り返して、やっと決まりましたわけです。
世界でポルノに関わるクリエイティブネットワークを作ろうと目論んでいるエリカと、日本でその第一弾のクリエイティブメンバーを募集して一緒に何ができるか目下相談中です。
エリカを取材したのは昨年の夏。
それより前に、現在もう一つ某車会社ともイベントを企画中でこれは10月末に仕掛けます。呼ぼうとしている“彼ら”とも今週スカイプしているという、ギリギリ具合です。そんな中で編集長は呟いたわけです、「待って、人ぜんぜん足りない?」と。編集部からすればだいぶいまさらですが。
ということで、今回の募集に至ります。イベントを企画して進行したり、そのスポンサー探しをしたり、クライアントに企画提案をしたり、と一緒にやってほしいことがたくさんあります。企画営業とはいえ、その仕事内容がどれくらいの振れ幅があるのか編集長に聞いてみましょう。
—HEAPSではどんな企画営業の仕事になりそうですか?
ヒザワさん、かな。
—(?)
ヒザワさん…覚えてる? 前にうちで企画した相模ゴム工業さんのさ、記事の。ヒザワさん。相模ゴムの「無名のサガミゴムをゼロから有名にした仕事人、ヒザワさん」。
—バンドマンで家から近いところに就職したくて相模ゴム工業に入ったらいきなり企画室の室長になって一人で頑張り、少し前にはマレーシアで子会社の社長になった、あのヒザワさんですか?
そうだよ。HEAPSって人少ないからさ、いろんな仕事が四方八方に散らかってるじゃん。一緒にやってほしいことは山のごとし。ただ、今回は企画営業の方を募集ということで、
・広告/プロモーションプランニング
・広告主(または広告代理店)への企画提案
・プロジェクト制作進行管理
というカチカチなベーシックなのが土台といえます。だけど、HEAPSはマニュアルがないぶん、自分で考えてチームに足りてない要素を埋めるどころかちょっと盛り上がるくらいにしてほしい。もともと、私(編集長)も含めて全員シロウトのコンテンツ制作集団だったし、イベントも探り探りでやってきたでしょ。いまじゃ大人気じゃん、イベント。
—応募条件はありますか?
学歴も年齢も問いません。独自の知性があって、プロ(前進の)の精神があればオッケーです。企画営業経験、企画ディレクション経験のある人はいいなあとは思う。あとは大前提として、編集部が「制作」に強い偏りがあって、言ってしまえば“お金”を後回しにしがちなので、編集長の対岸でビジバシ主張してあらゆる手段を使ってヒープスがさらに成長していくようお金を生むよう闘ってくれる人。引き続き最強のコンテンツを作り続けるからそれでビジネスしてほしい。
性質というところで言えば、たやすく冷めずに使命を自らに課せ続けられる人。これのみです。すぐに手や足が動く若干前のめりな人は好きですね。あとは優しい、人当たりいい、偏っているけど柔軟。
—(これのみって言ったのに結構あるな…)たのしみに待ちましょう。
うん。
たのしみ!
採用までの流れ。夏のうちに…
今回の採用に興味を持っていただいた方は、本記事末尾に案内するメールアドレスにご連絡ください(まずは書類選考となります。詳しい待遇等については、能力と経験に応じて決定いたします)。弊誌編集長(ちょっと面倒くさい)と肌が合うかどうかを探りたい方はのちにスカイプも歓迎だそうです。
夏といえば瞬刻。どうでもいい連絡にスマホをいじったら溶けているかき氷、くしゃみで落とす線香花火。いつもよりだいぶ早くダメになる冷蔵庫の野菜…。編集長がクチを開け放して置いておくデスク上のコーンフレーク(最近のブームらしい)には数日で小さな虫が飛んでいる…。夏の暑さに、その気持ち腐らぬうちにご応募くださいますようお願い申し上げます。
【要項】
・希望職種(今回、基本は企画営業ですが):
・志望動機:
・これのオタクです:
・こんなコンテストがあったら、自分はひときわ輝けると思う:
・HEAPSでこんなイベントやってみたい(もしくはイベント以外でやってみたいこと):
オプション
・この夏の思い出 など
※履歴書/職務経歴書 添付
recruit@heapsmag.com
までご連絡ください。