「リンゴ・スター」という名前をはじめて聞いたときどことない親しみを覚えたのは、日本人だからか。“りんご”のせいだ。
ジョン・レノンとポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスンという大きな影に隠れて子犬みたいな顔でドラムを叩く“ビートル”、リンゴ・スター。みんな名前は知っているのに、どんな人なのかはビートルマニアでない限りあまり知らない。好きなビートルはと聞かれて「リンゴ」と答える人は結構レアだ。
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そのリンゴが、実は思っている以上に魅力的だと教えてくれるのが、丸ごと一冊リンゴのジン『Ringo Starr Unofficial Fan Zine(リンゴ・スター・アンオフィシャル・ファン・ジン)』。ベルリンに住むビートルマニアのコミックアーティストカップル、リズとウィルムが手作りした。
彼らが「非公式だけど“真の”リンゴのファンジン」と謳う誌面には、
・知っておきたいリンゴのこと
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たとえば、彼には“Ringo-ism(リンゴ語)”という独特の言い回しがあること。ビートルズの代表曲“A Hard Day’s Night(ア・ハード・デイズ・ナイト)”や“Eight Days A Week(エイト・デイズ・ア・ウィーク)”、“Tomorrow Never Knows(トゥモロー・ネバー・ノウズ)”などもリンゴ語。これら、文法的には正しくない。
・ビートルズ時代のエピソード漫画
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ドラムスキルに自信をなくし、他のメンバーから疎外されていると感じ「脱退したい… 」とジョンに相談。
するとジョンは「なんだ仲間外れにされているのは俺だと思ったよ」。
・切り抜いて使える特製リンゴポストカード
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冊子に差し込んである付録。
「ドラムは目立つべきでない」と考え控えめながら、ミュージシャン仲間から賞賛された。出没スポットのツイッターには、トレードマークのピースサイン写真でいつも笑顔。1973年リリースのアルバム『リンゴ』には、ビートルズ解散後に唯一、ジョン、ポール、ジョージとビートルズメンバーみんなが集まった。ドラムキットの影に隠れた“愛されビートル”・リンゴ、ジンを読み終えた後には「好きなビートルはリンゴ」と言う自分がいるかも。
Ringo Starr Unofficial Fan Zine
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All images via Ringo Starr Unofficial Fan Zine
Text by Risa Akita
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine