20歳(ハタチ)。「お酒は20歳になってから」ともあるように、法のうえでは成人を迎える、いわば“大人になる”のがハタチ。ただ、いざ時計の針が午前0時を指し(法的に)子どもから大人になってみても、それは日付が変わるのと同じように19が20になっただけ。手に取るようにわかる実感などなく、なぜか肩透かしを食らったような気分だ。
「きっと僕たちの代が二十歳になって感じることと、いまの40代・50代の方々が考えたことってもちろん似ているところもあるけど、育ったライフスタイルや文化も違うので違いも出てくると思う。逆にこれから生まれてくる世代と比べても違いは出てくる。そういう意味で『いま』をドキュメントしたいと思いました」。自身がハタチを迎えた昨年、日本の大学生クライブ(Klive Aguilar)氏がつくったのはジン『ハタチの肖像』。1996・97年生まれの「ハタチ」を凝縮した、写真と文のドキュメントとなった。
綴じられたハタチの声をのぞいてみる。「合法かな~って」「まだ就活もはじまってないし、自分の将来のことも考えられてないから、逆に可能性を感じる年だよね」「自分の殻を破りたい」。「ちょっぴり憂鬱」なんて声も。
種々雑多な“ハタチ”のカタチと遭遇しジンに集約した彼自身、ハタチをどう捉えるのだろう。
「幻想から目が覚める歳だと思います。大人と子どもの間にある明確な線引きはただの幻想に過ぎないと、二十歳になって目が覚める」。二十歳になっても大人になれないんじゃないか、という予想に対して「やっぱり大人になれなかった」と自覚できるのは二十歳を迎えてから。「『ハタチ』って、そんな皮肉な体験をする年齢なんだと思います」
さまざまなハタチの飾らない声や姿。そこに浮かんでくる現代の「ハタチの肖像」に、過去・未来に横たわる自分のハタチの肖像を投影してみたい。
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All images via Klive Aguilar
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine