謎解き。いま米国でウィスキーが再び爆発的に人気なワケ。裏にはやはり“彼ら”が

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「ウイ、スキーが、お好きでしょ」みなさんご存知のあのテレビコマーシャル。
出演女優陣の艶やかさに、ウイスキーではなく息を飲んだのは、まだまだ尻の青い若かりし頃の筆者だ。
楽曲リバイバルとともに、角ハイボールの民主化は一気に進み、日本のウイスキー市場が再び活気を取り戻した。

いま、そのウイスキー市場の再活性化が起きてるのは何も日本だけの話ではないようだ。太平洋を渡ったアメリカでも再活性化が起こっている。それも、爆発的な。

長い時を経て、再燃する「ウイスキーブーム」。影には彼ら


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 2009年から2014年までに、アメリカ国内のバーボン・テネシーウイスキー売上高は、なんと46.7パーセントも伸びた(Distilled Spirits Council of the United States調べ)。
 アメリカンウイスキーと言えば、そう「バーボン」。バーボンなんて聞くと、年輪のごとくくっきり入った額の皺に髭を蓄えた、粋な親父が葉巻を片手に、なんていう、いわば敷居高い男の嗜みがお決まりのイメージだろう。
 しかし、アメリカにいま起るバーボンやウイスキー人気は、粋な親父たちの消費だけではないのだ。 
 脅威の数字を叩き出したアメリカウイスキー市場の再活性化の裏には、やはり「ミレニアルズ」の存在が見えてきた。

 でも、なぜいまミレニアルズの間でウイスキーが人気を博しているのだろうか。
 まず、スピークイージースタイルのバーが流行していることにも通ずるだろう。レコードやフィルムカメラなどアナログに回帰する流れ、いわば「古きを訪ねる」傾向があるミレニアズならでは、などなど、諸説考えられるが…。確かに筆者の周りにも「最近ビールはきっぱりやめてウイスキーはじめました」なんて友人もいる。

 新たな消費者ミレニアルズにウイスキー大手メーカーも目をつけ、ミレニアルズ向けのウイスキーの販売をはじめたり、若い世代の醸造家によるクラフトウイスキーが次々に販売されてるのだ。

新たなターゲットは女性

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 その昔、いわば1920年代禁酒法時代には、女性がバーでウィスキーを片手に談笑する姿に対し、娼婦というイメージがあったという。そんな偏ったイメージも手伝ってか、これまでウィスキー産業における、女性消費者の存在は影を潜めていた。が、ミレニアルズ世代の女性は例外だ。
 長い歴史の中で作り上げられてきた、女性に対する凝り固まった尺度やステレオタイプはもう古い。 
 ミレニアルズ女性が手がける、女性のための会員制ウィスキークラブや「WOMAN WHO WHISKEY(ウーマン・フー・ウイスキー)」、若干24歳の女の子が手がけるウイスキーブログ「the whiskey lady(ザ・ウィスキー・レディー)」のように、ミレニアルズ世代の女性ウイスキー愛好家が続々と登場。

 それに呼応して、ジャックダニエルやジムビームなど数多くのウイスキー大手メイカーがハチミツやオレンジ、アップル、ピーチなど、フルーティな風味でほんのり甘い、女性向け「フレーバー・ウィスキー」の販売を開始した。価格も20ドル前後(約2200円)と、手の届きやすい価格設定だ。

クラフト蒸留所の施策

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 また雨後の筍のごとくクラフトウイスキー蒸留所が続々と開設されているアメリカ。その数なんと1000軒に届く勢いだとか。昨今のウイスキーブームにあわせて、多くのクラフト蒸留所では、試飲はもちろんのこと、蒸留所直営のバーなどビジターに向けた施設が充実している。
 
 たとえばブルックリン海軍工廠敷地内にあるクラフトウイスキー蒸留所Kings county distillery(キングス・カウンティー・ディスティラリー)、直営のバーにて、ストレートや自社のウイスキーで作るカクテルを楽しめるのはもちろんのこと、ローカルアイスクリームショップ「People’s Pops(ピープルズ・ポップス)」とのコラボレーションにより、アイスキャンディーにウイスキーをかけて飲む、「Whiskey pops(ウイスキー・ポップス)」も販売。他の地元企業とのコラボレーションが盛んなブルックリンならではのアイデアだ。

 1970年代、アメリカ市場で起こった、ウォッカ・ジン・テキーラなど、白色蒸留酒が、これまでアメリカの由緒ある蒸留酒とされてきたバーボンやウィスキーなど濃色蒸留酒の販売量を上回った「白色革命」を耐え抜き、カムバックした「ウィスキーブーム」。
 自分の消費行動にこだわりをもつ「ミレニアルズ」が核となり、支えるこのブームは息が長そう。
 ともあれ、ミレニアルズが自分より遥かに年を重ねた高級ヴィンテージ・ウィスキーに舌鼓を打ち、ウンチクを垂れるなんて光景が溢れるのはそう遠くはない。

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Text by Shimpei Nakagawa

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