「何、吸ってるんですか?」
「アロマです」
どこでもカジュアルに吸える、ポータブルアロマ”
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吸ってはいけないアレやソレが多い世の中。なぜって「カラダに良くないから」「中毒性があるから」とは聞くが…。では、「健康に害がなければ吸っていいんですよね」と、あー言えば、こー言う、米国流「アウト・オブ・ザ・ボックス」な前提にとらわれない発想はさすが。
電子タバコのような見た目の「MONQ(モンク)」というそれは、害がないどころか「心の健康に効果的」ともっぱらの噂。着火不要。ニコチン、タバコなど人工化学成分ゼロ。100%オーガニック、メディカルグレード認定のエッセンシャルオイルを、口から吸って鼻から吐くだけ。
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「アロマテラピーの専門知識がなくても手軽に効果を実感できる」という代物は、さらに「森林浴をした時の爽快感を都会で気軽に体験できる!」というキャッチコピーで追い打ちをかけてくる。そこまで言われると、気になって仕方がなかったので、購入してみた。
「禅」と「EDM」と「アロマ」と
1本20ドル(約2,160円)。1本あたり200から250回吸える分量が入っているとのことで、約2週間持続(吸い方によって変動あり)が期待できるとか。「Zen 禅」「Sleepy スリーピー」「Happy ハッピー」「Skinny スキニー」「Sexy セクシー」など、全7種のブレンドアロマを展開中で、60ドル以上の購入から国内外問わず送料無料。ということで、日本からも購入可。
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温故知新、昔ながらの芳香療法と最新テクノロジーを掛け合わせて『「シンプル」で「パーソナル」で「エフェクティブ」な体験!』を吸ってみたところ、Zen(禅)は、気持ちが若干、落ち着いたような気もしたが、Happy(ハッピー)に関しては、幸福感アップで思わず頬が、口元が緩んでしまう、というものではなかった。まぁ、当たり前か。
発案者は、50代とおぼしき医学博士Eric Fishman(エリック・フィッシュマン)。ヨガ講師でもあり、写真を拝見する限り心身ともに健康なご様子。ただ、彼の仙人というか、絶倫というか…な印象と、MONQのプロモーションビデオの雰囲気には大きなギャップがあり…。
イメージモデルは20代の溌剌としたミレニアルズで、バックグラウンドに流れる音楽はEDM。コアターゲットは、わかりやすく、パーティーピープル。そういえば、酒の代わりにミネラルウォーター、出勤前に朝からクラブで踊ったりヨガしたりする「朝活」の人たち、いましたね。合言葉は「仕事も遊びも全力で!」とかそんな感じで。最近のパーティーピープルは意識が高くて、健全なのか。まったくついていけてない。
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こんな感じ。
眠りたい、リラックスしたい、気分を盛り上げたい、集中したい等、その日、その時のなりたい気分に合わせて、テレビやラジオのチャンネルを合わすように「自分の心のチャンネルを合わせる手助けになれば」という思いから作られたそうだ。
なんていうか、ちょっと前のアメリカって、なんでも薬で解決するイメージがあった。朝、目覚めると興奮剤を飲んで気合いを入れて出勤して、悲しみは抗うつ剤、怒りは精神安定剤で鎮めて、睡眠薬を飲んで眠る…。それだけに、自然由来の成分で、あなたの心のチャンネルを合わせましょう、という発想にたどり着いたのは驚き。ま、アメリカ医療費高いし、薬以外のものに頼るのは、理にかなった思考なのかも。
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Photos Via MONQ
Text by Chiyo Yamauchi