イスラエルとパレスチナ。昨年12月、国連安保理でイスラエルと友好関係にあるアメリカが、イスラエルのパレスチナ入植に非難決議を出したことでも話題となった両地域だ。
数十年にわたる紛争、イスラエル軍の空爆でパレスチナ暫定自治区・ガザ地区の建物は崩壊している。終わらぬ争いに、見えぬ未来。そんな混沌が続く中、紛争で破壊され続ける故郷を建て直そうと、“サステナビリティ”で挑戦する若き女性がいた。
彼女は、ガザ地区で生まれ育ったMajd Mashharawi(マジッド・マシュハラウィ)。23歳の土木技師マジッドが開発したのは、家などの再建に役立つ資材ブロック「GreenCake blocks(グリーン・ケーク・ブロックス)」。ゴミ箱行きの灰をリサイクルして作り出しているのだ。
「ガザ地区では、焼き物作りなどで熱を起こす場合、炭や木を燃します。その結果、週に出る灰はなんと7トン。環境に非常に悪いのです」
さらに現地ではセメントが高価なため、出回っている資材ブロックは質が悪い上に高い。
「廃棄される大量の灰と環境汚染・もろく高価な資材ブロック・崩壊した建物」。廃棄される灰をリサイクルすればゴミも出ず、また高価な資材を消費する必要もない。安価でサステナブルな素材で崩壊した建物を直せる。
頑丈で軽く、ローコストなエコブロックを使うことは、3つの問題の解決策になる。
また、女性が理系キャリアに進むことにまだ偏見のある保守的なコミュニティや文化を変えていきたいとも語るマジッド。
紛争地帯で一人立ち上がる女子のパワーは環境汚染や女性へのステレオタイプを壊し、サステナブルな街を新たに作り出している。
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All images via GreenCake blocks
Text by Risa Akita