いま、生理についてどう学んでる? 今日のティーンズがアクセスする、知って話してつぶやくところ

スタートアップの活動や新しいプロジェクトから読みとく、バラエティにとんだいま。HEAPSの(だいたい)週1レポート
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新しいプロジェクトからは、バラエティにとんだいまが見えてくる。ふつふつと醸成されはじめたニーズへの迅速な一手、世界各地の独自のやり方が光る課題へのアプローチ、表立って見えていない社会の隙間にある暮らしへの応え、時代の感性をありのままに表現しようとする振る舞いから生まれるものたち。
投資額や売り上げの数字ではなく、時代と社会とその文化への接続を尺度に。新しいプロジェクトとその背景と考察を通していまをのぞこう、HEAPSの(だいたい)週1のスタートアップ記事をどうぞ。

この数年で特に、欧米をはじめとする世界各地で盛んになったフェミニズム運動とともに、性や自身の体など、タブーとされてきたトピックを話そう・学ぼうという向きに動いてきた。生理のトピックもそうだ。

「(いま30代の)私たちが、学校では習わなかったことをいま」と、学校や教科書が教えてくれなかった生理や避妊について学べるジン(米国発)を取りあげたのは2017年のこと。

早足に動きだした頃から5年。いまの10代はどのように生理について学び、話しているのだろう。

生理の教育、学校では会話はまだまだ足りない

 この数年で、生理や性教育について、多くの個人が「学べる・話せる・知る」機会をつくってきた。ジンだったり、イベントだったり、ワークショップだったり。だが「生理についての知識がじゅうぶんに浸透しているのか」といえば、まだまだ課題が残っているようだ。たとえば、米国の10代の女子学生1,000人を対象にしたアンケートでは、7割以上が「生理についての教育が足りていない」と回答している。さらに「数学のように、生理もコアカリキュラムの一部になるべき」とも回答。また「学校において生理のトピックがオープンに話されている」と回答したのは約4割程度にとどまっている状況だ(Statista、2021年)。

 生理についてきちんと知りたい、会話をしたいというリアルな声や思いとは裏腹に、学校の性教育における充実度は、依然として高くない。これを補おうとしているのが、学校外での機会の充実で、10代のソーシャルメディアプラットフォームTikTokでは「保健の授業では習わなかった生理についてのあれこれ」や「共感度マックスの生理あるある」をライトにユニークにコミカルに発信しているアカウントがたくさん見つけられた。今回はそのうち、英国とオーストラリアから3つのアカウントを紹介したい。

なんといっても「私の生理は…」と気軽につぶやけること

テンション高めパペットのテンション高め「あるある」
一つ目は、子宮をモチーフにした「Uri」というマスコットキャラクターが踊ったり歌ったりしながらおもしろおかしく生理についてを発信する、英国発の@period.harmony(フォロワー数 1.2M)。月経周期や生理痛など、かしこまらない性教育を提供するアカウント。

Uriは、ヒステリックな叫び声をあげたかと思えばケロッとした表情に切りかわったり、とってもせわしないキャラもクセになる。Uriの声は、女性? 男性? という不思議な雰囲気。

「生理中に🍑(おしり)の穴のとんでもない痛みにもだえているとき、突然なにごともなかったかのように痛みがどこかに飛んでいく瞬間」は360万回再生。この動画をはじめ「これ、私だけがヘンなのかと思ってた」「普通のことだったんだ」など、自分だけの悩みではなかったことへの気づき、この感覚・この体験、知ってる! という、共感のコメントがとにかく多い。それらコメントに対して、1万件弱もの「いいね!」がつくことも。

「生理が遅れて妊娠したかもと不安になったすえに生理がきた瞬間」をビヨンセの『Crazy in Love』にのせトイレから意気揚々と登場しダンスで表現した動画には「あるある」のコメントが殺到していた。

細かい知識を学んでいくのではなく、気づいたり腑に落ちたりといった「これ、自分だけ?」といったことがTikTokを見ながら解けていく感がある。また、あかるくコミカルな雰囲気において、コメント上でユーザーたちが構えずに生理について話し、ぽつりと自分の生理についてつぶやいたり。

ハイテンションなキャラクターが演じる「生理のリアル」があかるくにユーザーに寄りそい、学びあおう、というよりは「TikTokのいつものコメントみたいに、気軽に話そう」という感じだ。

@period.harmony

It’s like brain freeze but for your vag 🥲🩸

♬ original sound – RYKO†††

@period.harmony

Time to roll out the 🩸red carpet 🩸

♬ crazy in love x material girl by altegomusic – ALTÉGO

10代のためのティップス、実体験があつまる
 
二つ目は、「誰も教えてくれなかった生理のあれこれ(The stuff they didn’t teach you about periods)」をコンセプトに掲げる@brightgirlhealth(フォロワー数 47.3K)。オーストラリアを拠点にBright Girl Healthという団体として学校講演などもおこなうDemi(デミ)が更新するチャネルだ。

TikTokでは生理の経血をケチャップやパスタソースで代用しながら、結構リアルに(でもユーモアたっぷりに)配信している。タンポンや月経カップのなかでも“10代用”を紹介するなど、生理になりたての子たちが、親にはちょっと聞きづらいティップスを教えてくれる。紹介だけでなく「なぜ〇〇を使うのか」まで教えてくれるので、自分に合ったものを選ぶための知識がつくのも良い点。

生理初日からだんだんと少なくなっていった経血量が、7日目で突然増える様子をケチャップで表現した動画は再生回数1,700万回を突破し、3万件ものコメントが殺到していた。「私の生理は…」と自分の生理の経血の推移を共有する人も続出。コメント欄ではユーザーがそれぞれの生理事情を共有している。

@brightgirlhealth Does this happen to anyone else? #periods #periodcup #menstrualcup ♬ My Heart Went Oops – Tiagz

 また、ナプキンを替えるわずらわしさを「me(生理になった私)」「pad(ナプキン)」「brain(心の声)」の三役で演じ、生理用ショーツを使用することでもっと快適になれることを伝える動画には、「この状況わかる!これ普通だよね!」「この生理用ショーツ、私ももっているけど、本当に快適でお気に入り!」。実体験の「生理あるある」とからめてプロダクトが紹介されることで、それらプロダクトへの関心も自然と高まる。

@brightgirlhealth #ad Haven't had to deal with pads for years now after switching! (it's pasta sauce)@modibodi_red #Modibodi #periodundies #ad #periodtok ♬ original sound – Demi | Bright Girl Heath

生理になる当人以外も。生理に関する「架空サポートデスク」

三つ目は同じくオーストラリアから。TikTokで70万人のフォロワーを抱えるピンクの髪がトレードマークのJenna(ジェナ)が、生理をはじめ、ボディポジティビティやセルフコンシャスなどについて幅広く発信する@jennawiththepink。ロールプレイング形式の動画や街頭インタビューなど、主観にとどまらない一般の声を反映させたコンテンツを発信。動画への「いいね!」数は累計で1,000万件以上にのぼる人気チャンネルだ。

そのなかでもお薦めは、生理に関する架空のサポートデスク「Period Helpline」を舞台としたシリーズコンテンツ。生理に関するお悩みを抱えた人と、サポートデスクのアドバイザーの両方にJennaがなりきる。
「友だちとビーチに来たんだけど、生理がきちゃって台無し!」と半泣きする女性に生理用の水着を紹介したり、「彼女に生理がきたみたいなんだけど、僕になにかできることはないかな?」と悩む男性には「あなたがいつも彼女を甘やかすときにすることをしてあげて。チョコレートやお花をあげれば完璧!」とアドバイスしたり。生理を経験する本人だけでなく、その周りの人々にとってもためになるコンテンツだ。

@jennawiththepink How do YOU feel confident on your period? 🩸✨ I LOVE @modibodi_red pls use my code JENNA15 #periods #adelaide #periodtok #ad ♬ Kiss Me More (Instrumental) – DJ Cover That

@jennawiththepink Period Helpline Part 4 🩸🙏 #periodtok #periodhelp #boyfriend ♬ original sound – 💕Jenna with the PINK💕

Eyecatch Photo via @period.harmony
Text by Iori Inohara
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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