世界最古の国立博物館で世界最大の博物館の一つとして、もはや知らない人はいないであろう、ロンドンの大英博物館。昨年は日本の漫画をテーマにした展覧会を開催し、同館の企画展として歴代最多の来場者数を記録したことも記憶に新しい。今回紹介するのは、北極圏の文化を伝える展示会『Arctic: culture and climate』。豊富な史料や収蔵品をふんだんに活かし、約3万年に渡る北極圏の歴史を読み解く。
北極圏に領土を持つのはアメリカ、カナダ、グリーンランドなど、北極海周辺の8ヶ国。エスキモーやイヌイットで知られる先住民族をはじめ、およそ400万人が暮らしているという。北極圏に住むコミュニティの協力のもと実現した同展では、2万8,000年前のマンモスの象牙ジュエリーから、現代風に改造されたスノーモービルまで彼らの芸術や生活での創意工夫を紹介。他にもマイナス40度の極寒をしのぐための狩猟服や、雪や氷に反射する強い日光(失明の原因となる)を防ぐための眼鏡など、どれも凍てつく環境下で生活するための知恵と機知が詰まっている。
同展は本来なら現在開催中の予定だったが、残念ながら新型コロナウイルス感染対策のため延期に。開催時期については、ウェブサイトで後ほど発表されるとのこと。
北極圏は、気温上昇や氷の融解、生態系や先住民への悪影響など、これまで地球温暖化による大きな被害を受けてきた。自然と密接に関わる生活を送っているからこそ、自然の変化に順応してきた過去を持ち、現在、そして未来もサバイブしていかなければいけない。同展を通して、自然と一緒に生きる北極圏の人々の強さを感じたい。
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Text by Rin Takagi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine