スニーカービジネスと法。業界の歴史から今日の争議まで体系化、『Sneaker Law』をまとめあげた2人の弁護士に聞くあれこれ

製造、流通、取引きの美学。「『Sneaker Law』は、たんなる『本』ではない。『教育ムーブメント』だ」
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スニーカー好き、ストリートカルチャー好きにとったら、それは「もっともたのしい教科書」かもしれない。いまや、「いちカルチャー」を超え「一大ビジネス」となったスニーカーを、ビジネスや法の観点から説くテキストブック、いや、ビジネスバイブル『Sneaker Law』。筆をとったのは、法曹界出身の二人のベテランスニーカーヘッズだ。

法のベテランがまとめた、“スニーカー・ロー”

 ストリートで必要不可欠なファッションアイテム、スニーカー。スニーカーヘッズがあいさつを交わすとき、彼らの目線は真っ先に互いの足元にいく。相手がどんなスニーカーを履いているか、それをどう履きこなしているかから見えてくる人間性もある、というくらい。熱狂的な愛好家が多く存在するスニーカー界は、新たな一大ビジネスに成長し続けている。
 昨年時点で世界のスニーカー市場の総収益は約700億ドル(約7.9兆円)といわれており、2025年までには約1020億ドル(約11兆円)に達するとの予想だ(Statista Research Department、2021年)。身近な範囲でいえば、たとえばスニーカーの「転売」、これも立派なビジネスとして成り立っている。コラボレーションや数量限定などのレアスニーカーは元の売値の何倍もの価格で取引される転売市場には、悲しきかな、個人利益にしか目がない「転売ヤー」が不正に商品を仕入れているのも事実だが。

 これだけ人々の生活や経済に深く入り込んだスニーカーだが、そのビジネスや法について体系化したものは、これまでなかったと推測する。『Sneaker Law』が生まれるまでは。

「all you need to know about the sneaker business(スニーカービジネスの知るべきことすべて)」

 そううたう同書には「スニーカービジネスの歴史」から「スニーカービジネスを自分ではじめるには」「なにが良いスニーカーデザインを作りあげるのか」「製造から流通」「スニーカーと法律1:法と訴訟」「スニーカーと法律2:スニーカー取引きの美学」「転売と偽造」まで、スニーカーのビジネスや法についてのイロハがつまっている。今年2月に正式に世に出回ってから、スニーカー愛好家だけではなく、米国内15の大学やデザイン学校やロースクールで学生がテキストブックとしても参照しているほど、スニーカー界、教育界に影響をあたえている一冊だ。

 自身の法的なバックグラウンドを生かし『Sneaker Law』を手がけたのが、カニエ・ウェストのブランド「Yeezy(イージー)」で法務部長を務めたこともあるケネス・アナンドと、ロースクール卒で企業の法務部門を担当した経験もあるジャレッド・ゴールドステイン。法律業界からスニーカー業界に飛びこんできた二人に、スニーカービジネスバイブルについて、そして刻一刻と変遷するスニーカー業界のビジネスや、ビジネスに重要なこと、近年あったスニーカーと法にまつわる話などについて、取材した。

 ニューヨークとを繋ぐ画面に映しだされたケネスの背後には、おびただしい数のスニーカーの箱が宝の山のように鎮座。そんな光景に圧倒されながら、インタビュースタート。


ケネス(左)とジャレッド(右)。

HEAPS(以下、H):1問目は…やっぱり、スニーカーについて。二人がスニーカーカルチャーにのめり込むようになったきっかけを教えてください。

Kenneth(以下、K):俺もジャレッドも子どもの頃からスニーカーが大好きでね。興味を持ちはじめたのは、だいたい80年代後半から90年代前半の頃。親が初めて買ってくれたジョーダンが、コレクターとしての第一歩だった。

Jared(以下、J):僕がスニーカーにのめり込んだのは90年代後半から2000年初頭ぐらいかな。もちろんジョーダン・ブランドからはじまったよ。友だちみんながスニーカーを集めていて、それが​興味を持つきっかけ。ネリー(ラッパー)の名曲『Air Force Ones』が出たときは、とにかくすべてのエアフォースワン1を集めようと必死になったね。

H:二人とも、スニーカーへの入り口はやはりジョーダンだったんですね。その後、法律の道に進んだ二人ですが、再びスニーカー業界へと繋がっていったのは、どのように?

K:ブルックリンにあるロースクールで、知的財産や、スニーカーやファッションに関するさまざまな分野の法律について学んで長らく弁護士としてキャリアを積んだころ。徐々に、スニーカー業界のクライアントがつきはじめたんだよ。

J:僕は大学に入った頃に、一度スニーカーの転売ビジネスをはじめていたんだ。まだいまほど転売は盛んじゃなかったけど、これを機にまずビジネス側の経験を積んで。それからロースクールに通って、スニーカーと法律を融合させようとしていた。

H:なるほど、ジャレッドさんは自ら繋げていったのか。ところで、二人の出会いは?

K:ジャレッドと出会ったのは弁護士として働いてから15年くらい経ってからかな。彼はそのとき、『Complex』(ユースカルチャーメディア)でスニーカービジネスについての記事を書いていた。

J:当時まだ面識のなかったケネスがその記事を読んでくれたんだ。ネットを通して連絡があって、実際にコーヒーを一緒に飲みに行った。そこからは意気投合、話していない日はないと思うよ。

K:いつもスニーカーの写真ばかり送りあっていたね。

J:たまに妻から「私よりケネスと話してる」ってからかわれて(笑)。まぁ、本に取りくんでいた時期に関しては、それは事実だったかも。

H:その本が『Sneaker Law』ですね。前代未聞のスニーカービジネス、法律バイブルを手がけようと思ったのは、なぜ?

J:ある日「法律とビジネスの観点からスニーカービジネスのいろんな側面を書きだそう」というアイデアを二人で思いついたんだ。スニーカー業界にはさまざまなキャリアがあって、「法律」もその一つになれるはずなのに、多くの人々がそのことに気づいていない。そんな業界の空白に気づいていて。

H:確かに、スニーカーと聞いてすぐに「法」とは連想できないですね。

J:(スニーカービジネスに携わりたかったら)もちろん転売ヤーにもなれるし、自分の店だって開ける。メーカーになることだってできるし。本当にいろいろな分野があるんだ。僕とケネスは自分たちの知識をスニーカー業界に還元したいと思った。僕たちみたいに法律の観点からスニーカー業界を見ることのできる人はほとんどいないと思うから。

H:二人のように法律のキャリアを積んでいるスニーカーヘッズは、多くはいないでしょう。

J:それで誕生したのが『Sneaker Law』。スニーカービジネスの歴史、ビジネスのはじめ方、デザイン、製造、販売、ライセンス、コラボレーション、マーケティング、そしてもちろん法律についても触れられている。これまでにスニーカー業界で起きた法に関する事例や争議はすべて網羅しているよ。あと、スニーカー取引の交渉や契約の重要性についても触れている。あとは、転売や偽造についても。

H:最近では、スニーカーの歴史にあまり興味を持っていない人が多いように感じます。それよりも流行だから買う、つまり「ハイプ*がすべて」のような。まずスニーカービジネスにおいて、歴史を知ることは大切ですよね。

*製品のリリースやキャンペーンなどを派手に盛りあげたり、話題性のあるような方法で宣伝したり、マスコミやソーシャルメディアを通して大々的に話題にしたりすることで、誇大に宣伝する手法。

J:どんな業界でも、成功するためには歴史を知る必要があるよね。それはスニーカービジネスでも同じで、たとえば、君がさっき言った「ハイプ」も歴史の一つ。転売も、いまとなっては立派な歴史の一部。それだけではなく、Run-D.M.C.(ヒップホップグループ)とアディダスのコラボだったり、コンバースが100年前に手掛けた「チャック・テイラー(オールスターの愛称)」が初期のバスケシューズだったりと、スニーカーの歴史のさまざまな繋がりを知ることが成功に繋がる。

H:昔と比べて、いまのビジネスに大きな変化はありますか。

K:かなり大きな違いがある。昔は、スニーカーは、「スニーカー」ではなくただの「靴」で、スポーツのための機能が最も重視されていた。それが時を重ねるごとに「ファッション」となり、文化が形成されていった。そしていまでは立派なマーケティングが形成されている。その裏には、さまざまなスタイルやインフルエンサー、ミュージシャン、アスリートの影響、つまり「ハイプ」があるよね。もうただの「靴」ではなくなっている。それが、スニーカーのおもしろいところで『Sneaker Law』で一番強調したかったテーマの一つ。

H:「靴」から「スニーカー」へと変化したきっかけをつくった、もっとも重要なビジネス上での出来事はなんだったんでしょう?

J:マイケル・ジョーダンとナイキの契約*だね。100パーセント、これに尽きる。なんたって、これが最初のアスリートとブランドのコラボレーションといってもいいからね。

*1984年、当時まだルーキーだったバスケットボール選手のマイケル・ジョーダンがナイキと年間50万ドル(約5,700万円)の5年契約を結んだ。当初はコンバースとアディダスがスニーカー事業を支配していたため、ナイキにとってこの契約は賭けであったが、結果は大成功に終わる。いまではスニーカー業界で最も大きな契約とまでいわれており、2020年までにこれまで1.3億ドル(約148億円)もの利益を上げている。

H:アスリートに自身の“ブランド”を持たせたのはあれが初めてなのかも。

J:最近ではレブロン・ジェームズやステファン・カリー(両者ともバスケ選手)が自分のブランドを持ったりするけど、その土台を作ったのはジョーダンだからね。

K:俺が個人的に思う重要な出来事は、カニエとアディダスの契約*だね。ここまで大きなシグネチャーシューズの契約を持てたのはカニエが初めてだ。これはスニーカー業界における革新的な出来事の一つであることは間違いないと思うよ。

*2016年、アディダスが、カニエ・ウェストと長期パートナーシップ契約を締結。アディダス側は、このパートナーシップについて、アスリート以外と結んだ契約ではこれまででもっとも有意義なものとしている。

H:さて、その「スニーカー」のビジネスで、つねに要となってきたものはなんでしょう。

K:デザインとマーケティングのコンビネーションだね。どんなスニーカーも、いいデザインでなければ影響力がない。それは目に留まるデザインである必要はなくて、むしろ、機能性など「目的」を持ったものがいい。ただそれ(デザイン)が良くなくても、うまくマーケティングしているスニーカーはたくさんある。だからこの二つの要素のコンビネーションがとても重要なんだ。

H:「スニーカービジネスを自分ではじめるには」についてもプロの視点からアドバイスしています。ずばり、ビジネスをはじめるにあたって一番最初にするべきことはなんですか?

K:特に米国では、まずさまざまな企業形態があることを理解しないといけないなどがあるけど…、世界共通でもっとも重要なことは、まずビジネスプランを持つこと。本のなかでは、ビジネスプランにおける重要な要素について深く触れている。俺たちが『Sneaker Law』というビジネスをはじめるにあたって、どのようにビジネスプランを立てたかという話も書いているよ。

J:それを元に独自のビジネス形態を作る。ブランディングはとても重要。商標登録をして、ほかとかぶらないブランド名やトレードマークを考案し、商標や著作権といった知的財産を守ることを考えないといけない。

H:自分たちのブランドを守り、ビジネスを守るために、法律の知識を持つことは重要。

K:とても重要。『Snaker Law』を書いた目的の一つも、スニーカー業界の法的観点を知ってもらうことだった。多くのクリエイティブなデザイナーたちが自らのプロダクトや発明を守る方法を知らなかったがために、自分らのデザインや著作権を失っていくのを見てきた。法律に関することを簡単に学べる機会を彼らに作ってあげたかったんだ。デザイナーたちがこの本を手にとれば、著作権や商標について安心して学ぶことができる。法律をきちんと理解していないと、自分のビジネスを正しくブランディングできないから。

H:デザインと法に関する話だと、今年、ナイキが相次いで商標権侵害を理由に提訴をおこないましたよね。リル・ナス・Xのエアマックス97*や、エアジョーダン1にアマゾン・プライムのロゴを足したカスタムスニーカー**など。これらのカスタムはブランドの権利を脅かす可能性がある一方で、ある種のスニーカーカルチャーの一部でもあり、実際に多くのファンが求めるのも事実だと思います。それをふまえたうえでのナイキの対応についてはどう思いますか?

*ブルックリンを拠点に活動するクリエイティブ・エージェンシー「MSCHF」が、アトランタ出身のラッパー、リル・ナズ・Xとコラボレーションし、エア・マックス97 「サタン・シューズ」を666足だけ販売。エアソールユニットには本物の人間の血が搭載されているということも物議をかもした。ナイキは同スニーカーの製造に一切関わっていないと主張し、後に彼らを商標権侵害で起訴した。

**ナイキの元開発者であるジェフリー・ワスコウィアックと彼の会社「Get.KickRich」がカスタムでアマゾン・プライムのロゴなどを施したエア・ジョーダン1を販売した。ナイキはこのスニーカーを「ナイキのスウッシュデザイン、また他の保護された商標を侵害している」として起訴した。

J:ナイキはナイキというブランドをなにがなんでも守ろうとするよ。なんせ相当の長い年月をかけて自身のブランドを成長させ、洗練させてきたから。世界有数の経済力のあるブランドでもあるしね。もし誰かが彼らのデザインを盗もうとすれば、必ず追いかけてくるだろう。

H:マーケティングを学ぶうえでは、どのブランドが一番参考になりますか。

K:ここでも、ナイキかな。彼らの歴史を見るだけで、マーケティングやプロモーション、製造や開発、そして販売のデジタル化やeコマースを学べる。転売や偽造に関する問題もね。そしてなにより、彼らは自分のブランドを法的に守るためにいつも全力を尽くしている。スニーカーの法についての学びにおいても、ナイキが一番のお手本。

H:ブランドマーケティングとして、いま、この時勢もふまえて効果的なものはありますか。

J:D2C(消費者直接取引)だね。特にスニーカーの小売市場が衰退したコロナ禍では、D2Cはブランドにとって、非常に重要だった。それぞれのブランドは自分たちの顧客に商品を売りこむために「CRMデータ」を駆使していて…。

H:「CRMデータ」とは?

J:顧客との関係を管理するデータのこと。たとえば、ナイキはアプリを通して顧客にコンテンツや商品の発売情報を送る。アディダスやKITH(キス)も自分たちのアプリを持っているよね。こういった消費者への直接的販売は効果的であるだけではなく、コスト削減にもなる。顧客と直接繋がることができるから、商品をマーケティングするために第三者にお金を払う必要がなくなるんだ。いま最も注目されている販売方法だね。

H:『Sneaker Law』では「良いスニーカーのデザイン」についても話しています。人々に好まれるデザインは時代やコミュニティごとによって異なると思いますが、いま必要とされているデザインはなんだと思いますか?

J:サステナブルなデザインだと思う。サステナブルな素材がよく使われるようになったし、そこはこれからも増えていくだろうね。

H:85パーセント以上が再生素材でできているナイキのスペース・ヒッピー・シリーズのように、ほとんどサステナブル素材のスニーカーが最近増えてきてますよね。

J:あとイージーとアディダスはデザインの幅を広げて、新しいものを作りつづけているよね。4D(3Dプリンターによって生成されたクッションシステム)のように、最新テクノロジーをふんだんに使ってこれからも多くの革新的なデザインを生みだすと思う。

H:アディダスのテクノロジーはつねに先をいっていますね。イージーの前衛的なデザインはアディダスの技術力があってこそ実現できているのかも。

J:最近では、ナイキとジョーダンの勢いがまたすごくなっている。昔からある型から、新しいものを生みだしているね。たとえばジョーダン1。トラヴィス・スコットとのコラボではナイキのスウッシュロゴを反対向きにしたり、ヴァージル・アブロー(ファッションデザイナー)のオフ・ホワイト(アブローのブランド)とのコラボではデザインを再構築*したり。

K:俺が思うに、最近ではニューバランスの復活が著しいね。エメ・レオン・ドレ(ニューヨークを拠点にするラグジュアリー・ストリートウェアのセレクトショップ)や、ジェイデン・スミスと出した「ヴィジョン・レイサー」シリーズなど、いろいろなコラボをしている。

*スニーカーの素材やパーツを分解し、再構築させたようなデザイン。

H:一方で、昔から人気のある900番台のようなシリーズを復刻したり。

K:このデザインは90年代に一度流行ったものだけど、その流行がまた戻ってきている。ダッドシューズもその一つだし。いま流行は、2000年代初頭のものになっているから、その頃のシルエットがまた戻ってくるだろうね。

H:いま一番勢いのあるデザイナーは誰だと思いますか?

J:間違いなくカニエだろうね。本当の天才で、デザイン性が飛びぬけている。彼が新しいデザインを発表するとみんな嫌おうとするけど、商品の発売後にはみんな彼のデザインを身につけている。まあつまり、彼はつねに最先端にいるんだろう。

K:カニエは日常品を改良する天才だよ。たとえば「クロックス」。カニエの「フォーム・ランナー」(クロックスを彷彿とさせるシューズ)はクロックスよりイカしてる。本当にいいデザインだよ。しかももう定価では買えないほど転売価格も上がってるし、簡単に手に入る代物ではなくなっているね。

(ここでジャレッドが、実物のフォーム・ランナーを持ってくる)

H:やっぱり持ってるんですね! 私も抽選に応募したんですけど全然ダメでした…。履き心地はどうですか?

J:すごくいいよ。しかも運よく定価で手に入れられたしね。ただ正直、最初に発表されたときはあまり良くは思わなかったんだ。そもそもあまりクロックスが好きじゃないし。けどフォーム・ランナーの実物を見たときは驚いたね。いまじゃ妻や娘も欲しがっちゃってさ。

H:羨ましい…。そんな気持ちを抑えつつ「転売」についても聞きたいです。以前他のインタビューで「『Sneaker Law』を通して、転売以外のスニーカービジネスの可能性を読者にあたえたい」と話していました。転売にはどのような考えを?

K:俺は、とてもいいと思うよ。スニーカーを買って売ることで、スニーカービジネスに関わることができる。ビジネスにおいては氷山の一角に過ぎないけど。

H:確かに一番身近な“ビジネス”である転売は、スニーカービジネスへの興味を持つための入り口になり得ますね。

K:1、2年前なんて、スニーカーに関する訴訟があっても誰も気にしなかった。けどいまではビッグニュースになる。ナイキと転売ヤーの裏取引、さっき話したリル・ナス・Xの件、ヴィジョン・ストリート・ウェアによるニューバランス起訴*、コービーとナイキの契約終了**。こういったニュースが毎日出てくるんだ。2019年だったら、こんなに取りあげられなかっただろうね。

*米ストリートブランドのヴィジョン・ストリート・ウェアが、ジェイデン・スミスとのコラボスニーカー「ヴィジョン・レーサー」を発売したニューバランスに対し、「『ヴィジョン』は、ヴィジョン・ストリート・ウェアが所持している商標」だとして告訴した。

**バスケットボール選手の故コービー・ブライアントの財産管理団体が、ナイキとの契約を延長せず今年4月に終了したことを明かした。2003年に契約を交わしてから、2016年の引退後もシグネチャーモデルが発売されていた。

H:スニーカーの購入でいうと、人気のコラボスニーカーの裏には必ずといっていいほど「ボット*」の存在がありますよね。実際に多くのコラボ商品はボットによって買われているとの報道もありました。

*インターネット上でユーザーに課したタスクを自動的に実行してくれるプログラム。スニーカー発売時には、ボットが人間の追いつけないスピードで商品を購入したり、多くのプロファイルデータを作成して大量に購入してしまうケースがある。

J:ボットを止めようと、プログラマーたちが奮闘して1、2週間で問題を解決するけれど、そのすぐ後には新しい問題が出てくる。ブランドとボットは、いたちごっこのような状況にいるよ。
エメ・レオン・ドレでは、商品を発売するとき、人間にしか答えられないような問いを出題するなど対応している。たとえば「私たちのブランドはいつ創立されましたか?」みたいな。ただ最近のボットは本当に性能がいいから、もしかしたらもうそれにすら対応できるのかも。だから(進化していくボットに)立ちむかうためのシステムを開発するしかないんだ。

H:盛りあがる一方のスニーカービジネスですが、これから先はどうなると見ていますか。

J:未来は明るいと思う。スニーカーカルチャーの勢いはパンデミックを経ても、とどまることを知らない。自粛期間でも、ロックダウン中でも、在宅ワークになっても、みんなスニーカーを買うんだ。僕を含めてね。そして毎日のように新しいコラボやブランドが出現し、テクノロジーが進化する。消費者の視点から見ると、さっき話したボットの影響などで、スニーカーはどんどん手に入りづらくなっているけど、ボットのいない、そして転売価格を払わなくてもよい購入環境を整えてくれるSoleSavy(ソール・セイビー)のような会社が出てきている。

K:スニーカービジネスに関する教育も大きく変化すると思うよ。最近では、スニーカーに関する教育を提供する教育機関*が目立っている。『Sneaker Law』が出版されてから、俺たちは国内のあちこちの大学や学校の授業で、スニーカービジネスについて教えているしね。スニーカービジネスの世界に入りたいという人はますます増えていて…そのために必要なのは、「勉強すること」のみだ。

*インターネットを通じてスニーカーの情報を発信するNiceKicksはオレゴン大学と協力し、オンラインでスニーカーデザインについて学ぶプログラムを開講した。またニューヨークにあるファッション工科大学では、Complex Networksと提携してスニーカー業界のあらゆる側面や、成功するキャリアを始める、もしくは促進させるための術に関する講義を開いている。また、London Sneaker School(ロンドン・スニーカー・スクール)では、スニーカーの製造について学ぶことができる。

Interview with Kenneth Anand and Jared Goldstein of Sneaker Law

All Images via Sneaker Law
Eyecatch Graphic by Iori Inohara
Text by Shunsuke Kanazawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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