依然として日本では悪者扱いされている「大麻(草)」だが。実のところ、老若男女問わずとても身近な植物だって知ってた?
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初詣の神社でお賽銭するときに揺らす鈴緒(すずのお)、宮司さんが用いるお祓い具、伊勢神宮の神札(おふだ)、それから横綱のしめなわの芯にも大麻草(ヘンプ)の繊維が使われている。我々日本人は古くから穢(けが)れを祓い清めるツールや成長祈願、魔除けとして大麻を用いてきた。一本の草から医療や食品、化粧品、建材など余すところなくあらゆる使い道があることから非常にサステナブルであり、エシカルな素材なのだ。
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「古来から日本に続く麻文化を知ってもらい、日本の伝統、生活、地球環境におけるヘンプの有用性を世の中に拡げていきたい」と森田麻美(まみ)さん、希少な国産のヘンプで作られる「麻の名刺」を作る。昨今、米国を中心にマリファナプロダクトが湧くように生まれるなか、ついに日本にも大麻関連のプロダクトが登場だ。
ヘンプ製品ブランド「ASAFUKU(麻福)」との協業で作られるヘンプ名刺、“麻を使ってみました”という話題性だけが先行しそうだが、注目すべきは最高級の品質。
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この光り輝く繊維が麻の表皮部分である「精麻(せいま)」。収穫した麻の茎を干して、煮て、発酵させた後に表皮の繊維部分を剥ぎ、泥などの不純物を削ぎ落とし作られるもので、この製法は世界でも唯一日本が誇る麻加工技術だ。ヘンプ名刺では、その精麻製作過程で生じる「麻垢(オアカ)」と呼ばれる繊維クズを用いている。麻繊維は天然素材の中でもっとも強靭な素材といわれているだけあり、とても丈夫で長持ちするのも特徴だ。
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「ダメ、ゼッタイ」のイメージに隠れてしまい、意外と知られていなかった日本人と大麻の歴史。ヘンプ名刺が麻の伝統を知るだけでなく、日本にべったりとこびりつく大麻に対するネガティブイメージをごそっと落としてくれるかもしれない。名刺交換で「これ実は大麻で作られた名刺なんです」と一言添えれば、あなたのことは忘れまい。
詳しくはコチラから。
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Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine