「最凶カップル」としてその名を歴史に残す犯罪者カップル、ボニーとクライド。
情事も悪事も共に犯す、恋人であり共犯者。
彼らまでの悪事とまでいかずとも、“二人でするイケないこと”は、恋人に日常の一線を飛び越えさせることもある。
そんな男と女の危うさが漂うのが、フォトジン『Partner in Crime(パートナー・イン・クライム)』。
全ページ白黒写真に収まるのはおもむろにスプレー缶を壁に吹き付けグラフィティする女たち、そしてタイトルは「共犯者」。
「グラフィティというバンダリズム(破壊行為)は男がするもの。そんなステレオタイプを打砕きたかった」
そう語るのは作者Austin Mcmanus(オースティン・マクマナス)。グラフィティ初体験の女たちにスプレー缶を渡し、思い思いに“バンダリズム”してもらったという。
スカートにハイヒール、その手に握るのはスプレー缶。人目を盗んで、tagging(タギング)する“グラフィティ共犯者”のアブない姿は奇妙であってとってもセクシー。
「ジンのアイデアは“これまで自分が見たことのないものを見たい”という気持ちから生み出される」とジンを作って15年のベテラン、オースティン。彼が撮ったモノクロフォトで綴じられたジンには、「これまで見たことのないビジュアル」が放つ異様な美しさがある。
グラフィティする女に、シャッターを切る男。
一人じゃ到底できないことだってパートナーと一緒だったら“やっちゃう”、そんな人間誰もが持つ「アブナイ心」を触発するジンだ。
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All images via Austin Mcmanus
Text by Shimpei Nakagawa,Edited by HEAPS