なんで、なんでよ、こんなに好きなのにぃ!と、教科書のはじに吐露したあの頃の失恋の思いの丈や、かつて授業中にまわしあった、ディアではじまりフロムで閉じたミニ手紙をまとめただけでも成立してしまう。成立の可否を問うことすらナンセンス? その通りです、ルールが存在しない一番自由な文芸はジン(ZINE)だ。リトルプレス、同人誌、インディペンデントマガジン、それらひっくるめてジンと呼ぶ。自分の頭の中身を奔放に綴じあげた四角形の(とも限らない)冊子。今月の自由を満喫する3冊を紹介しますよ、テーマは〈あの頃の自分に教えてあげたい性のこと〉。
「あのとき知ってりゃよかった!」10代の私に教えてあげたかったセックスのこと。
『What I Wish I Could Tell My Teenage Self About Sex』
Image via Nicole Mazzeo
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「ブロージョブ*の方法なんて知らなかったし、そもそもキン○マって別々に付いてるものだと思ってたの!!!!」とぶっちゃけるのはニコルちゃん。ジン、『10代の頃の自分に教えたかったセックスのこと』の作者だ。自分も然り、性についての正しい情報を知らないティーンがたくさんいると知り、彼女・彼らにもっと共有したいと性についてをまとめた『セックスレター』なるジンを制作開始。ティーンたちには正しい知識を、とジン制作をはじめて以来、ネット検索やクラス受講からも性の知識を蓄えている。
彼女が10代の自分に教えたかったのは「ポリアモリー(一度に複数人と性愛関係を築くこと)という選択肢があること。ずっと1人としか愛し合えないことに疑問を感じていて。周囲の視線は痛かったけど、おかしいことじゃないと知って安心したわ」。あなたなら10代の自分にどんなセックスレターを送る?
*フェラチオのこと。
生理痛にもよいハーブを使ったセルフケア
『Rhythms』
Image via Stephanie Tait
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ハーブを使ったセルフケアを伝授してくれるのがジン『Rhythms(リズムス)』。「ハーブを難しく捉えないで。“ハーブにお湯を注げばハーブティの完成”っていうくらいシンプルなんです」とは、ハワイ生まれサンフランシスコ育ちのステファニーちゃん。カリフォルニアのハーブスクールにて知識を学び、小さなハーブ店も経営していた本格派ハーバリストだ。そんな彼女が、身体のリズムを整えたい女性に向けてまとめた一冊。
「オススメはレッドラズベリーリーフ。ミネラル豊富で、陣痛を促す子宮収縮剤として重宝されています。それに生理痛を抑えPMS症状を緩和し、女性生殖器系のバランスを保ってくれますし」。うーん、生理痛がひどかったあの頃に知ってたかったな、レッドラズベリーリーフ。
13年前のデート相手の探し方
『Never Date Dudes From The Internet』
Image via Amy Burek
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13年前、どうやってデート相手探してました? 米国では出会い系サイトではなく「クレイグスリストという米国の巨大クラシファイドコミュニティサイト」を通してやりとり…っていうのがあったようです。家から家具、ペットまでを探せる巨大掲示板でデート相手探し。「ふと目をやった2005年の送信ボックス。掲示板、クレイグスリスト宛。アパート探しにでも送ったものかなって見てみたら、デート相手募集の投稿へのメールだったの」。いまほどデーティングアプリが普及していなかった13年前、クラシファイドで彼氏を探していた(本人もすっかり忘れてた)肉食系女子エイミー、自身の思い出をおもしろがって「恋人の募集条件 / やりとり内容」を赤裸々にジンにしちゃった。
ところで、2005年と2018年のオンラインデーティングの違いは?「写真ね。当時私の携帯にカメラはついていなかった。ティンダーではまず写真を見てメッセージするじゃない? 昔はメッセージしてから写真を送ってたの。いま思えば見た目で判断するって浅はかよね。ま、見た目が重要なのは事実なんだけどさ」
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Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine