米国では「人間の口より犬の口の方がキレイ」なんて迷信があるが、あながち間違っていないかもしれない。というのも、人間の使う歯ブラシが想像以上に〈汚い〉可能性があるからだ。ある米大学の調査によれば、共同トイレに置かれた「60パーセントの歯ブラシに糞便が付着していた」という驚愕事実が。トイレと洗面所が別が一般的な日本ではその心配もないかもしれないが、なんにせよ歯ブラシをむき出しで洗面所に置くならば、カバーは絶対につけた方が良いのである。だが、歯医者はこうも言う「ブラシが湿ったままではバクテリアが増殖しやすくなります」。歯ブラシを清潔に保つには一体どうしたらいいんだ?
毛先が広がったらヘッドのみ交換。歯ブラシのサブスクリプション
オーラルケアのため毎日欠かせない生活習慣「歯磨き」だが、歯ブラシ自体が汚れていては元も子もない。糞便やその他汚いものから歯ブラシを守りつつ、かつその歯ブラシも清潔に保つためにすべきこと—それは「定期的に歯ブラシを交換すること」。米国歯科医師会は、約3〜4ヶ月ごとの歯ブラシ交換を推奨している(毛先が広がってきた場合はすぐに)。とはいえ「定期的に買うのはめんどうだし忘れがち」と、多くの人が交換を怠っているのが現状だ。
そこで待ったをかけたのが〈未来の歯ブラシ〉と謳うニューヨーク発の歯ブラシメーカー「Boie(ボイエ)」。クラウドファンディングサイト「キックスターター」にて、目標調達資金の1万ドル(約109万円)をゆうに超える9万ドル(約985万円)を調達し、“サブスクリプション型歯ブラシ”として人気を集めるスタートアップだ。
ペン立てにささっていても気づかないくらい歯ブラシっぽくないクールなデザインのボイエ。最大の特徴は、サブスクリプションで「ヘッド部分(ブラシ)」が定期的に送られてくるところ。というのもこれ、ヘッド部分が取り外し可能。だから本体は長期間使用でき、タイミングをみてヘッドのみの交換で済むのだ。ケチな(倹約家)でもこれなら文句はないだろう。3ヶ月おきのヘッド交換で年間20ドル(2,190円)、4ヶ月おきで年間15ドル(約1,642円)、6ヶ月おきで年間10ドル(約1,095円)のオプションから選べ、歯ブラシの買い替えどきにブラシだけがデリバリーされるため、うっかり毛先の広がった歯ブラシを何ヶ月も使い続けてしまうことも防げる。ちなみに本体は100%リサイクル可能(近所でリサイクルできない場合は送り返せばボイエが代行)だ。
3ヶ月でいいの? 毛先開いてそうだし汚くなってそう、と早とちりするなかれ。ボイエのヘッドは、市販のナイロン剛毛の歯ブラシより2倍長持ちすると豪語する。一見固くて痛そうなボイエの毛先だが、実はやわらかく、歯の表面を覆うエナメル質のすり減りを抑え歯茎を傷つきにくくしてくれる(熱可塑性エラストマーという素材を使用しているため)。さらに殺菌作用のある銀イオン(人体には無害)を含んでいるため細菌の増殖を防いでくれる。BPA*フリーでもあるので体への負担を最小限に留めてくれるそうだ。
*ビスフェノールA:プラスチック製品に含まれ、乳がんの原因にもなる化学物質。
歯ブラシブランドらしからぬインスタも見逃せない(フォロワー33.9K)。「みんなの一日の平均歯磨き時間は45秒(最低でも1日4分は費やしてください)」や「100年前、北米の大人の50パーセントは歯がなかった」など、定期的にポストされる歯や歯磨きにまつわる豆知識「Did you know?(知ってた?)」シリーズは、フォロワーの歯磨き意識をたのしく高めてくれる。もっともボイエのインスタチェックに夢中になって、朝の歯磨きをちゃちゃっと45秒で終わらすことは避けたいところだが。
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All images via Boie
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine