なるべくいいものを着けたいとは思う。でも、いいものを選ぼうとすると下着は高い。はて、高いからっていいものなんだろうか? “劇的透明性”が売りのとあるアパレルブランドが、今度は下着の製造原価とコストの内訳を大公開した。
(出典:Everlane Official Website)
この世に生まれし誰しもが身につけることになる下着、その値段の幅広さといったら広大な土地カリフォルニアのよう。1セットウン万円のものがあれば、3枚セットでいくら、なんてのもある。扱いが靴下と同じで、カゴにごしゃっと入れられたパンツの海から数枚を選び出して買う機会(数百円)すら提供されている。だからわからない、下着って一体、いくらが妥当なのか? それがわからなければ高いからいいのか安いからダメなのかがわからない。そこで出ました、ファッション業界の「価格設定の透明性」の先駆者、エバーレーン(Everlane)。サンフランシスコを本拠に設立から8年。同社が他のアパレルブランドと一線を画しているのは、もはやありふれた「高品質で低価格かつエシカル」だけでなく、製造原価や生産工場などすべての情報を公開する「劇的な透明性」だ。賢くなった消費者に「その値段、ブランド料って一体どれくらいのってるの? 私たちは何にいくらを支払っている?」を知る機会をブランドをあげて提供する。これまでオンラインのみに特化していたが、昨年マンハッタンに実店舗をオープン。そして先月、初の下着コレクションを開始し、もちろんこれも製造原価とコストの内訳は公開されている。
(出典:Everlane Official Website)
(出典:Everlane Official Website)
(出典:Everlane Official Website)
「No frills. No bows. No bullshit.(フリル無し。締め付け無し。デタラメ無し)」、その下着に余計な装飾はなく、また不明なコストもない。白、黒、グレー、淡いピンクの4色展開で、生地にはスーピマコットン(高級コットン)を使用、かゆみなどの不快感を感じさせない着心地を追求したミニマルなデザインが特徴だ。
値段は女性用ショーツ12ドル(約1,300円)、ブラ22ドル(約2,400円)、ボディースーツ30ドル(約3,200円)、男性用のボクサーブリーフ$18ドル(約1,900円)。また、キャンペーンビデオに映るモデルのボディタイプ、肌の色や人種は様々ですべての女性のための下着であることをアピールしている。だが、このすべてのボディタイプ、すべての女性のための下着、というコンセプトもまた溢れつつある中で、エバーレーンが一線を画せるのは、やはりコストの内訳公開だ。自分たちが何にいくら支払っているかを知ってもらい、納得したうえで購入してもらう。
Photo via @everlane
#LoveYourUnderwear in #DamnGoodDenim.
Photo via @everlane昨年のウェルズ・ファーゴ証券の消費者調査によれば、「値段が高いから」との理由から大手ビクトリアズ・シークレットの顧客の約半数が、以前ほど同社の商品を購入していない。高すぎる価格設定に「てかこれ、なんでこんなに高いんだっけ?」と疑問を抱くのはもう自然なことだ。誰にとっても他人事ではなく、定期的な購入を余儀無くされる下着となればなおさら。
—————
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine
▶︎関連&オススメ記事
・生理用品に続け?男性のタブー「“薄毛”は恥ずかしいことじゃない!」なエンパワメント・ブランディングが興味深い
・いまどき、下着だってジェンダーレスでいいじゃない?女性と男性のための「middlewear(ミドルウェア)」
・毎月の“7日間”、女をさげない。男らしさを削がない。 自分らしくいられる下着、THINX
▶︎▶︎週間トップ人気記事
・長髪男子クラブ「ザ・ロングヘアーズ」ご飯や目に入ったりするけどやっぱ好き。男のロン毛ケア結び方髪ゴムetc
・あそこに行けばあのこ(猫)に会える。路地裏アパート近所の店、私の人生に入り込んだ猫たち、思い出雑記
・人と接しよ、残り「0.01mm」まで。コンドームに人生を賭けたサガミ社長の「薄くない」話