“所有から共有へ”が合言葉。少し遅れを取りつつも、日本でもようやく浸透してきた「シェアリングエコノミー」。モノやサービスなどの共有や交換によって成立する経済のことで、今後もさらに拡大するといわれる市場だ。AirbnbもUberもシェアリングエコノミー、生活雑貨が貸し借りできるモノの図書館や、食をシェアする冷蔵庫なんてのも登場した。
もうそろそろネタ切れ…なんて思うのは早かった。ロンドンのスタートアップが考案した「CityStasher(シティ・スタッシャー)」には、思わず膝を打った。“旅行者のあったらいいな”を叶えたシェアリングエコノミーだ。
街のど真ん中で、スーツケースをゴロゴロ。コインロッカーがどの駅にも必ずといっていいほど存在する日本ならまだしも、ほとんど見かけることがない欧米諸国で荷物に頭を抱えた人も少なくないのでは? そんな旅行者たちに「荷物で旅を台無しにしたくないでしょ?」。シティ・スタッシャーは、アプリで荷物預かり場所を検索・予約&ドロップできるシェアリングサービスだ。
「旅行先で短期間、荷物を預けたい旅行者」と「使っていないスペースを有効活用したいローカルショップやホテル」を繋ぐという仕組み。
その使い勝手は驚くほどシンプルで、
1. スマホで荷物を預けたいエリアを入力し、最短で行かれる預け入れスポット(契約店)を検索
2. スポットを選択し、予約
3. 予約場所にドロップ
預かり時間、3時間で荷物1つにつき4ユーロ(約520円)、24時間で6ユーロ(約780円)と手頃な価格。また荷物1つにつき、盗難や紛失、損傷に対して750ユーロ(約9万7,500円)の補償もついてくるため、知らない街のはじめて行く店に預けても安心。現在、ロンドン市内には45の契約店があり、今後拡大していくとのことだ。
知らない街で安心して身軽になれる旅行客(ユーザー)にとって最高のサービスなのはもちろんのこと、契約店(ホスト)にも利益がある。店のデッドスペースを有効活用できるだけでなく、旅行客が荷物ドロップ(ピックアップ)の際に、商品を購入してくれるチャンスもあるからだ。ユーザーとホストのWin-Winな関係を実現するシェアリングエコノミーの理想形。今後、世界中の各都市でこのモデル、広がっていきそうだ。
*1ユーロ=130円換算
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All images via CityStasher
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine