トランプ大統領就任式の翌日に、女性の権利を訴えるデモ「ウーマンズ・マーチ」が起こったことは記憶に新しい。
世界80ヶ国670ヶ所で、480万人を超える女性たちが参加。彼女たちの持つ力強さをこれでもかと言わんばかりに世にあらわした、歴史的な出来事になった。
ウーマンズ・マーチの力が物語るように、もはやその言葉を知らぬ者はいないほどに浸透した、現代社会における「フェミニズム」だが。いまに到るまでに、歴代「フェミニスト」たちの並々ならぬ奮闘があったことは確かだ。
『Ilustrated Women in History(イラストレイテッド・ウィメン・イン・ヒストリー、以下IWIH)』は、新旧の偉大な女フェミニストたちをイラストとバイオグラフィーでたどる「フェミニズム史入門ジン」だ。
イギリス在住のグラフィックデザイナー/イラストレーターで、もちろん自身もフェニミストのジュリー・ゴフ(Julie Gough)が昨年より作りはじめた。
「フェミニストと謳いながらも、フェミニズム史をほんの少ししか知らなくて」
そんな些細な気づきがきっかけだったIWIH。自分に、そしてみんなに向けたフェミニズム史入門ジンには、あらゆる分野で活躍する歴代フェミニストアイコンたちが登場する。
女性らしさや愛、欲望、嫉妬、セクシュアリティなどを作品で表現、フェミニズムアイコンとしてその名を現代まで残す、メキシコ人画家のフリーダ・カーロ(Frida Kahlo)
「ブルース&ロックの女王」として、マドンナ、シンディ・ローパー、エイミー・ワインハウスなど、のちの女性ミュージシャンに強烈な影響を与えたアーティスト、ジャニス・ジョプリン(Janis Joplin)
2014年に史上最年少記録を塗り替え、17歳でノーベル平和賞を受賞したフェミニスト・人権運動家マララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)
1990年代初頭、音楽やジンカルチャーを通じて、フェミニズムを草の根から広げていった「Riot Grrrl(ライオット・ガール)ムーヴメント」。その中枢として活躍したバンドBIKINI KILL(ビキニ・キル)のフロントウーマン、キャスリーン・ハンナ(Kathleen Hanna)
世界的に著名な先住民環境活動家、Berta Cáceres (ベルタ・カセレス)
あらためてフェミニズムのヒストリーをたどることで、今日のフェミニズムはこれまでのフェミニストたちが社会の弾圧をものともせずに声をあげてできた賜物だ、ということがわかるはず。
「本来のフェミニズムとは何なのか」が提起される2017年に、原点回帰。先人たちが持っていた心意気とその歴史をIWIHで感じ、その問いについていま一度考えてみてはいかがだろうか。
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All images via Julie Gough
Text by Shimpei Nakagawa
Edited by HEAPS Magazine