「THE・60年代」といえば。
スーパーモデル・ツィギーが火付け役となったミニスカート、レトロ柄ワンピース、ファッションだけでなく社会現象そのものだったヒッピーの定番・ベルボトムスにサイケデリック柄、そして気の効いた細身のスーツでベスパにまたがるモッズスタイル。
若者がさまざまなファッションスタイルで自由にアイデンティティを示しはじめたこの60年代は、アメリカで女性解放運動「ウーマン・リブ」が起き、女性の生き方が多様化してきた時代でもあった。
パワフルな女性が活躍した時代にファッションと音楽で個性を発揮していた女の子たちといったら、アメリカンポップ黄金期を支えたガール・グループ。
今回紹介するジン『Girl Groups of The Sixties(ガール・グループ・オブ・ザ・シックスティーズ)』で描かれているような女子たちだ。
「この時代に生きた女性たちの素晴らしいスタイルや音楽を知ってもらいたくて」と語るのは、Bijou Karman(ビジュー・カルマン)。ロサンゼルス在住のイラストレーター、筋金入りの60年代ガール・グループマニア。
ジンではビジューがグループを厳選、ヒット曲やあまり知られていない名曲、みんなが知らない豆知識を綴る。彼女のイラスト特有の太いタッチで描かれるガール・グループは、THE・60年代にぴったり。
誰もが一度は耳にしたことのある名曲を数多く残す「The Supremes(ザ・スプリームス)」。あのダイアナ・ロスがいたことでも有名
「ウォール・オブ・サウンド」と呼ばれる独特サウンドの生みの親で敏腕プロデューサーPhillip Spector(フィル・スペクター)が手塩にかけた、「The Crysatals(ザ・クリスタルズ)」
みんながみんな揃って美女の4人組グループ「HONEY LTD.(ハニー・リミテッド)」。1枚だけ世に残したアルバムは、現在レア盤となっている
他のガール・グループとは違う不良っぽさとワイルドさを全面に押し出した「The Shangri-las(ザ・シャングリラス)」。思春期の孤独、疎外感、死や憤り、不良などをテーマに歌った。ビジューも、「Bad Bitches(ワルな子たち)!」だからと1番のお気に入り
現代にも大きなインスピレーションを与える数多くのスタイルが生み出された時代でもあり、女性の社会進出も広がった60年代。あの名曲を聞きながら、時代の転換期に生きた女性の強さと、そしてしなやかさをこのジン片手に感じてみてはいかがだろうか。
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All images via Bijou Karman
Text by Shimpei Nakagawa Edited by HEAPS