競争社会からはみ出し、(時には異国まで)逃げ出した人々のその後を、見届けたことってありますか?
「社会の枠からはみ出した、英雄たち」を追う、“人生再インストールマガジン”『SIXSAMANA(シックスサマナ)』はご存知だろうか。
「6人の賢者」の意を持つシックスサマナ。AmazonのKindleにて月刊電子雑誌『シックスサマナ』発行、ポッドキャスト配信、アジアを放浪する親父たちの記録映画制作などを通し、”社会からはみ出た英雄”を発掘してきた。
「そうだ、刑務所へ行こう:人生まるごと断捨離せよ!」
「バンコクで直木賞を狙え:安宿街のドフトエスキーになろう」
なんというゲス感。読みたくてうずうずしちゃう秀逸なネーミングセンスはキワモノ好きにはたまらない。
そのゲスの中に見るアジアの混沌を、嫌ほど感じられる雑誌シックスサマナがこの度、あるプロジェクトのためクラウドファウンディングサイトCampfire(キャンプファイアー)にて資金援助を募っている。
半生をかけて模索。低収入でも幸せな暮らしはあるのか?
それは、「異国の底辺であえぐ同胞に『最低限のインフラ』を提供し、低収入でも幸せな暮らしが可能か、半生をかけて模索してもらう」という試みだ。
今回、その“英雄”となるのは、カンボジアの首都、プノンペンの貧困スラムにて生活する井上さん。50歳を過ぎて、糖尿病による合併症で両目の視力を失ってしまった彼だが、アジアに格別の思い入れがあり、アジアで死ぬなら本望と言い続けて3年前、プノンペンに移住した。
自身の障害者年金を実家の借金返済に全額提供している彼は、目が見えていた頃のアフィリエイト収入で何とか生活している状況。それでも物価の安いカンボジアでは、少ないお金でも人間らしい生活を送り、人生を楽しむことが充分可能であり、落ち着いた暮らしをしていたという。
家主(70歳の日本人男性)によってぶち壊されたささやかな暮らし
だが、ある日状況は一変。彼が暮らす、場末のスラム長屋(月の家賃35ドル。これは物価の安いカンボジアでも激安物件)の家主の日本人男性(70)からの嫌がらせがはじまったのだ。
当初は親切なこの家主だったが、井上さんの物品をくすねていたことが発覚。それを井上さんが指摘したのがきっかけとなった。
ここ最近、嫌がらせはエスカレート増す一方。部屋の窓を塞ぎ、目を開けていられないほど大量の殺虫剤を撒かれるなど、常軌を逸したレベルに。
想像のつかないほど劣悪な環境の中で生活する井上さん。彼を救い出し、そこそこ人間らしい生活のできるアパートへと移動させ、ネットも使える最低限の環境を作り、井上さんの日々を配信してもらう。
幸せの意は人それぞれ、社会復帰も人それぞれ
これは同時に、この先大勢現れるであろう「貧困中高年」に向け、少ない年金や貯金でアジアをサバイブし、幸せに、静穏に暮らすためのノウハウを、井上さんとともに少しずつ蓄積・発信してもらいたいという狙いもある。社会復帰とはこうすべきああすべきというステレオタイプから外れ、各々の適性に即した新しい生き方を模索したい、と。
ここ数年、カンボジアに定住する日本人が激増している。ビジネスをはじめたり、周辺国の物価上昇に耐え切れず逃げてきたり、理由はそれぞれ。カンボジア人もびっくりの「井上さん的な生活」を送っている日本人、実は少なくないそうだ。
井上さんの半生をかけ、シックスサマナとともに模索する、低収入でも幸せに暮らせるというカンボジア断捨離ライフは、老後の生き方に迷う「貧困中年」のモデルケースとなるか?
一先ず、井上さんを救い出すにはコチラから。
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Text by Shimpei Nakagawa