“自称”修道女が持つアクティビストとしての顔
吸わないマリファナビジネスをはじめたこの修道女、どこのカトリック教会にも宗教にも属さないシスターたちだ。私たちが想像するいわゆる修道女とは違う、“自称” 修道女なのだ。
Photo: Shaughn and John
シスター・ケイトが修道女を名乗るようになったのは、5年前。あのオキュパイ運動(ウォール街を占拠せよ)のときだ。リーマンショック後、ごく一部の富裕層が支配する経済・政治・社会に不満を持った人々が、経済格差の解消や雇用の改善を求めて全米各地でデモ運動をしていたあの頃に、カリフォルニア州でデモ活動に参加していた彼女はあることに気づく。「デモ運動に修道女の姿がいない」と。
「1950、60年代にはキング牧師をはじめとする“聖職者”が人権のために闘っていました。でも現代のアメリカでは(公共の場で抗議運動をする)修道女の姿を見かけなくなってしまいました」
Photo: Sisters of the Valley
修道女が声をあげて人権や自分の主張を訴える。修道女の高齢化が進み、若い修道女が減少するアメリカで修道女がアクティビストとして活動する重要性を感じたシスター・ケイト。「人々を癒すことができる医療大麻」と「女性が持つべき社会的な力」を実現するべく修道女のベールを被ったのだ。
Photo: Shaughn and John
やっていることは違法(かもしれない)
やっていることは合法か違法か。実は彼女も明確にはわかっていないという。カリフォルニア州の法律では問題ないが、群や市の規定では、商業目的のマリファナ栽培は禁止されているという。
「群の保安官が監査に来た時は、『私たちが育てているマリファナはあくまでも医療用で、人をハイにさせるためではない』と証明しなければなりません」
自分のビジネスはグレーゾーンにある、とケイト。逮捕の恐れは“いまのところ”はないでしょう、と漏らした。
実は、月の半月はラフ〜な上下スウェットで過ごす
Photo: Shaughn and John
マリファナ修道女の朝は早い。6時30分には起床し、ジョギングなどのエクササイズを欠かさない。9時半から10時ごろには台所に立ち、マリファナ商品作りに勤しむ。お昼過ぎの午後2時20分はお休みタイム。そして午後4時には仕事を終え、6時に夕飯、その後はテレビを見たり来客と話したりして過ごすのだそうだ。
Photo: Shaughn and John
Photo: Shaughn and John
「私たちは一ヶ月の中で、新月から満月の時期にマリファナ栽培をしています。その期間私たちは『修道服に身を包んだビーガンの禁欲主義者』なのです。でもいまの時期はオフですので、いまあなたとお話ししている私、上下スウェット姿なのですよ」
月の半分は、欲を忘れ、祈りを捧げながら医療大麻が持つ力を信じ、癒しを必要とする人々のためにマリファナ栽培に徹する。これが”自称”修道女たちの、“スピリチュアルなビジネスライフスタイル”だ。
Photo: Shaughn and John
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Text by Sally Lemon