編集部が選ぶ今月のZINE3冊。テーマは〈ファーストステップ〉。植物の育て方、ラグ作りの手順、はじめての漫画

“アグラオネマニティドゥムカーティシー”というキーワードにピンときたなら。筆者と同じクチだと思うなあ。
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カーボン紙を使って、めちゃくちゃ筆圧強くなぞれば一気に3ページくらいは作れるんだって。印刷機いらずのジン作り。本当にあった話。世界一敷居の低い文芸で、ルールが存在しない世界一自由な文芸「ジン(ZINE)」はそれでよい。今月紹介するのは、いろんなファーストステップ。千里の道も一歩から、の3冊。

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枯らさないでね。
植物を育てるための入門的3ヶ条

GROW SOME SHIT


Image via Victoria DeLeon

映画『レオン』で孤独な殺し屋が、緑にコーヒークリームをたらしたような斑らの観葉植物を、たんたんと育てる姿に影響された。それは「アグラオネマ・ニティドゥム・カーティシー」という希少価値の植物だったが、筆者のはフツウ(?)のを購入。ひと鉢目は、ウキウキで水をやり過ぎすぐに腐らせた。二の舞にならぬようにと気を使いすぎ、次はカラカラにして枯らせた。三の舞は避けたい筆者が今月紹介するうちの一冊は、コチラ。『GROW SOME SHIT(グロウ・サム・シット)』。“サム・シット”が、植物のことですね。

シリーズ全4冊にわたって、観葉植物・ハーブ・野菜の育て方を手書きイラストとともに教えてくれるジン。作者はテキサス州在住のビクトリア。大の植物好きの彼女だが、これまで「I have killed many plants!(数え切れないほどの植物を枯らしてきた)」過去があるそうで。初心を忘れるべからず、話しかけたり優しく葉を触るなど、基本のコミュニケーションを欠かさないビクトリアからの心得3ヶ条。

1、しっかり世話できる小さな植物1、2つからはじめること。
2、その植物についてしっかり調べ、可能な限り最善の環境をあたえてあげること。
3、あなた自身にストレスを抱えないこと。植物を育てることはハッピーであるべきだから。

オススメは「水やりの必要がほぼ無く、薄暗い場所でも育つサンスベリア」だそう。熱帯地方原産で、暑さと乾燥に強いタフなヤツ。サボテンとどっちがタフなんだろう。






着なくなったTシャツではじめてのラグを編む。
三つ編みにして縫い付けてできあがり。

How to Make A Braided Rug Zine

Image via Nina Montenegro and Sonya Montenegro

「たくさんあった不要な生地を使って、何か役に立つものを作りたくて」。ポートランドに住むソーニャ・ニーナ姉妹は「ブレイデッドラグ」作りを開始。ブレイデッドラグは、不要な生地を三つ編みにして、縫いつけた円形ラグ。超簡単。姉妹ったら作り方を教えるジンまで作っちゃった。姉妹が使用する不要な生地は、古いベッドシーツやウールの毛布、着なくなったTシャツなど。どの家庭にも眠っている素材だからこそ、ハウツー本は生きてくる。

このエコフレンドリーな1冊には、編み方指導はもちろん、素材探しのヒントに生地の染色方法、サイズや形のオプション提案に完成したラグのお手入れ方法まで、ラグ作りのアレコレが18ページにぎっしり詰まっている。「技術の有無に関係なく、どんな人にも読んでもらえる」というように、完成までの9ステップを、順を追って丁寧に説明。ミシン要らずだから初心者にも簡単に作れてしまうのだ。「製作時間はラグの大きさによってまちまちだけど、風呂場に敷くサイズで6時間くらい。工程はそんなに難しくないんだけど、初心者なら平らなラグからはじめることが成功の秘訣ね」。



漫画を描いてみたい君へ。
ペン入れから登場人物の視点を描くコツを1枚で説明

Zine design

Image via Rayne Klar

小学生の頃の夢は漫画家だった。なけなしの小遣いで月刊少女漫画雑誌、り◯ん、な◯よし、ち◯おを購入し、お気に入りの先生宛にお気に入りキャラのイラストを描いてはハガキを送っていた(掲載されたことは一度もなかったが)。ああ、もしもこの一冊が当時にあったなら。漫画を描いてみたい君の最初の教科書になるであろうジンを見つけた。ペン入れのやり方やセリフのつけ方、ストーリー設定(これ重要らしい)に、各登場人物の視点を描くコツ、コマのデザインや必要な道具だったりを親切に伝授してくれる。

作者はミシガンを拠点にバンドのポスターやTシャツ、アルバムをデザインするイラストレーターのレイン。3年前にフォトショップを使って制作し自宅スタジオで印刷。以来、このジンを教科書がわりに5〜15歳のキッズに漫画作りのワークショップを開催している(どうりで内容が親切丁寧なわけだ。ちなみに今年も夏に開催予定とのこと)。1枚紙で仕上げてあるので、裏返して広げれば練習し放題。小学生の頃にこのジンに出会っていたら。筆者、今頃、別の締め切りに追われていたかもしれない。



Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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