編集部が選ぶ今月のZINE3冊。テーマは〈とある詳細の日記〉29回泣いた理由、キノコ狩りログ、変な夢の記録

1年間、泣いた理由を書きとめ続けた、涙日記。ダチョウに追いかけられる夢、夢日記。
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自粛期間中、お菓子作りに励んでる人、多いんじゃないかな(ヒープス編集長はネギを育てはじめた)。今日は◯◯を作った、今日から◯◯を育てはじめた、なんて日々のことを日記にして、気が向いたらジンにして、何年もあとに読み返したらおもしろそう。世界一敷居の低い文芸で、ルールが存在しない世界一自由な文芸「ジン(ZINE)」。
今月紹介するのは「〇〇日記」がテーマの3冊。涙日記、夢日記、キノコ日記。どれも三日坊主で終わらない、ユニークな内容になってます、はい。

***

DIYが嫌過ぎて。プリンター設定ができなくて。
1年間、泣くたびその理由を書き留めた
Crying zine

作った人: Emma Charleston(エマ・チャールストン)


Image via Emma Charleston

はらはらと涙が流れたその理由を、つらつらと綴ったのが『Crying zine(クライング・ジン)』。「DIYが嫌過ぎて」「プリンター設定ができなくて」など、1年間頰を濡らしたささいな理由やエピソードが詰まってます。

———泣いた理由を書き留めていったジン。

当時、不意に湧きあがってくる感情についてよく考えていた時期があって。たとえば、なんで泣いちゃうんだろう、とか。だからその年は、泣くたびにその理由を書き留めることにしたの。

———あとで読み返したり?

そうそう。たいがい読み返すと、馬鹿げたことで泣いてたんだなぁって、おもしろく感じてしまう。

———どれどれ。「DIYが嫌過ぎて」「食事中、ナイフを犬の毛だらけのカーペットの上に落として」「友人のニューヨーク生活の話を聞いて」「プリンター設定ができなくて」。確かにどの理由もおもしろい(笑)ちなみに1年間で何回泣いたんです?

うれし涙と爆笑の涙を抜きにすると、29回!なかでも感慨深かったのは、ニューヨーク旅行でカフェインを摂取し過ぎて、パニック発作を起こして号泣したこと。

———あれま。泣いたときの心のケアってどうしているんだろう。

ありがたいことに、友だちがよく慰めてくれるんだ。でも悲しみを克服できるのって、結局自分自身しかいないんだよね。

———じゃあ、逆に泣いてる人がいたらどう接する?

月並みな言葉だけど「大丈夫だよ、すぐに状況はよくなるから」って声を掛ける。あと、おいしいものを食べて、たのしいことをして、人と接することをオススメする。

———おいしいものを食べるのって大事。ちなみに私は、泣いたあとに食べる冷たいソフトクリームが好きです。

「ダチョウの襲撃・銀行強盗・ホラー映画の悪役乱入」
奇想天外な夢日記
Dream Diary: June 28 – July 5

作った人: Matt Hickey(マット・ヒッキー)


Image via Matt Hickey

睡眠中、人間の脳は情報を整理しているのだとはよく聞く。その整理する過程を脳内で再生しているのが、そして夢らしい。『Dream Diary: June 28 – July 5(ドリーム・ダイアリー:6/7-7/5)』では、作者が見た一週間分の奇妙な夢を、イラストとともに紹介。

———実際に書き留めてみてどうでした?

めちゃくちゃおもしろいよ!夢ってさ、作家もなかなか思いつかないような奇想天外な出来事が次々に起こる。僕の夢日記は、まるでコメディーのよう。

———コメディー(笑)日本人科学者が言ってましたよ、「夢は個人的なドキュメンタリー映画だ」って。よく見る夢ってどんなの?

超高いところにいる夢と、ホラー映画の悪役が登場する夢をよく見る。元カノがジェイソンとデートしてる、なんて夢を見たこともある。人って他人の夢の話を聞くのを嫌う傾向にあると思うんだけど、僕は好き。新鮮だし、秘密を共有しているみたいな気分になる。

———毎日見たい、理想の夢ってある?

平和な夢がいいな。退屈に聞こえるかもだけど、平和な夢を見たあとの目覚めはすっきりしてるし、その日1日気分良く過ごせる。あ、実は今朝、高校生のときに好きだった女の子2人から告白される夢を見たんだ。それはもう、最高の目覚めだった。

———ははは、お察しします。

ちなみに、1番クレイジーだったのは、僕と妻がダチョウに襲われる夢。しかもそのダチョウ、どうやら霊に取り憑かれていたんだよね。

———怖っ(笑)正夢って見たことことある?

それが、ない。多分ね、僕の夢が正夢になるには奇想天外過ぎるんだと思う。あったら超イカしてるけどね。霊に取り憑かれたダチョウの話、正夢になったらいいな。

———(それは怖すぎないか?)

キノコ日記帳を持って森に行こう
Mushroom Journal

作った人:Casey Scott(ケイシー・スコット)


Image via Casey Scott

森でキノコを発見したら、スケッチと一緒に情報を書き込める。自然愛好家の母親が作ったのは、キノコ専用日記帳『Mushroom Journal(マシュルーム・ジャーナル)』。ジンを片手に1人でキノコ探しの旅に出るもよし。子どもたちと一緒に楽しむもよし。あ、でも、むやみに口に放り込まないで。毒キノコだったら大変なんでね。

———書き込み専用のキノコ帳。どんな情報が書き込めるの?

サイズや色、質感や季節、生息地といった細かい特徴を書き込める。キノコ狩りで大事なのは、食べられるか食べられないかを見極めること。そのためにはキノコの種類を知っておくことが大事だからね。私の場合、帰宅後は書き込んだ情報をさらに詳しく調べる。

———キノコ狩歴は長い?

小さい頃から、春になると父とキノコ狩りに行ってたんだ。大人になったいまもキノコが大好き、どんどんキノコの魅力にハマっていく。

———ずばり、キノコ狩りの魅力とは?

森の中でキノコを探してる時間が、すごく心地が良いの。動物がいたり、葉っぱが揺れる音が聞こえたり。キノコ狩りは森で時間を過ごすためのいい理由になるし、テクノロジーから離れて休憩するのに最適。

——ごもっともだ。お決まりのキノコ狩りスポットってあるんです?

秘密のスポットがあって、毎回決まってそこへ行く。前年は小さかったキノコが、翌年には大きくなってたりと、成長が見れてたのしい。

———収穫したキノコって、やっぱり食べる?

私がキノコ狩りをする理由は二つ。一つは食べるため。キノコ料理のレパートリーも大分増えた。もう一つはね、まわりの誰かが亡くなったときに、その人に関連する地を訪れて、キノコを狩る。そのキノコをオレンジに塗って、写真を撮って記録するの。

———へえ…

Eye Catch Image via Casey Scott
Text by Ayano Mori
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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