みなさんはどうしていますか? ジンの収納。文庫本と一緒に本棚に並べたり、ハンガーに掛けたりといろいろと試したけどしたけど、まだしっくりこない。いったん、丸めてブリキ缶に収納に落ち着いていますが良いアイデアがあったらぜひ教えてください。
HEAPSでは毎月、2冊のインディペンデントな出版物を取りあげています。1冊は雑誌から、1冊はジンから。いずれも個人たちの独立した精神でつくられる出版物だが、特にジンからの一冊は、時代性、社会性、必要性などの存在意義も問わずに、世界一敷居の低い文芸・ルールが存在しない世界一自由な文芸「ジン(ZINE)」のおもしろさを探っていきます。
さて、今月の一冊は、自宅でできるカンフー(初心者向け)。アチョーッ。
部屋ではじめるカンフー入門。
『Kung Fu For Beginners』
作った人:Adam Dahlstedt(アダム・ダルステッド)
カンフーって、ゼロからはじめるのが難しいイメージ。というか、師匠がいたり入門をしなくちゃ学べなさそうなイメージなんだが…おうちではじめられるカンフーもあるとかないとか。今日はそんなジンです。おうちワークアウトやおうちヨガがしっくりこない、あるいはそろそろほかのこともはじめてみたいあなたに…いいかも?
———カンフーといえば、ジャッキー・チェンのあかるいコメディ要素をとりいれた香港映画がヒットしたことから、海外でもとにかく有名になりました。最近ではアジアンヘイトの流れから護身術として興味を持つ人も多いそうです、中国武術(カンフー)だけでなく、空手も合気道も。
護身術の知識を身に付けることは、多くの人にとって心強いものになるよね。それに武術のトレーニングは、ストレス解消や不安解消にもいいんだよ。
———そうなんですか。なぜこのジンを作ろうと?
1970年代の黄金期のものから最近のものまで、マーシャルアーツの映画が好きでさ。ジンを読んでくれた人が、マーシャルアーツやヴィンテージグラフィックに興味を持ってくれたらうれしい。ちなみに購入者には、おまけでステッカーも同封してるよ。
———たしかにジンのデザイン、80年代の雑誌っぽいです。
デザインアイデアはね、1970、80年代の古いコミック本の「世界最凶の格闘技を学ぶ」「どんな相手もやっつける」みたいな、武術コースの大袈裟なキャッチコピー広告から生まれたんだ。このデザインは読者からも好評。
———カンフーはどれくらいやってるんです?
残念ながら、やったことはないよ。
———え?
やったことは、ないよ。これはファンジン。あくまでエンターテイメントとして楽しんでもらうためのもの。だから実際に技を使って自分(や他人)を傷つけないでね。
———てっきり習得者からの教えかと思っちゃった。それにしても、技の解説や型のイラストはわかりやすいですよ。ほかにも武術の手型の説明や練習前のストレッチ法、急所の紹介やマインドの持ち方など、内容も盛りだくさん。
こうした解説イラストって、見ているだけでも面白いでしょ?それにスピード感のある回し蹴りをどうやって数フレームで表現したらいいか、僕にとっても勉強になったよ。
———ジンには練習着の広告が載っていますね。
Kicking Jeansの広告だね。
———そうそう。さまざまな武道のスタイルに適した、頑丈なデニムジーンズを販売するブランドの。
これも1970〜80年代の雑誌に掲載された実際の広告から見つけた画像で、結構お気に入り。大げさなマッチョのイラスト表現が印象的。
———これ、実際にジンを通して買えるんですか?
買えないよ。でもeBayで探せば見つかるかも?
———そうですか。さて、ジンはいま全4号まで出てます。号を重ねるごとに、初級、中級、上級と、レッスン内容のレベルが上がっていく。まだまだ上のレベルを目指していくんでしょうか。
しばらく休もうかなと思ってる。
———なんと、それは残念。
でも、いつかは次号の出版をしようと思ってるよ。エキスパート編とマスター編。空中浮遊とか念力とかの粋になるから、特殊なテクニックが必要になるかもね。
Eye Catch Image via Kung Fu For Beginners
Text by Ayumi Sugiura
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine