【今週のZINE】ひいきの「偏愛ドラマ」ありませんでしたか?米・90年代カルトドラマを鼻息荒く紹介『The Boiler Room』

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アナログとデジタルがバランスよく存在した「90年代」。携帯電話は家電の受話器並みに大きく、やっとインターネットサービスプロバイダがサービスを開始した時代で、多くの人にとっての娯楽・メディア、そして気のおけない友のような存在だったのが「テレビ」だった。

日本では 『ロングバーケーション』や『ひとつ屋根の下』、海外でも日本のお茶の間でお馴染みの『フルハウス』や今月末から26年ぶりの新シーズンがはじまる『ツイン・ピークス』など、90年代は、いまもなお語り継がれる名作テレビドラマが豊作。「見逃した番組はユーチューブで検索」ができない当時、見逃すまいと、テレビにかじりついていた人も多かったはず。

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 今回紹介するジン『The Boiler Room(ザ・ボイラー・ルーム)』の作者、ローラ・ミルウォードも90年代に青春時代をテレビとともに過ごした一人だ。

 彼女が作ったのが、1994年から95年にアメリカで放映されたカルトドラマ『My So Called Life(マイ・ソー・コールド・ライフ)』のファンジン。日本でも『アンジェラ15歳の日々』というタイトルで97年に放映されているので、海外ドラマファンはピンと来るのではないだろうか。
 内容はティーンの飲酒やドラッグ、同性愛や性生活、いじめなどを赤裸々に描き、当時は物議を醸す過激さ。わずか1シーズンで打ち切りとなったが、リアルなティーンの生活を鮮明に描いた短命ドラマに思いをよせるファンは未だに多い。ちなみに主役はクレア・デインズ(映画『ロミオ+ジュリエット』、テレビドラマ『ホームランド』)が演じている。

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 ドラマ放映当時、同世代のキャラクターに自分を投影していたというローラ。「同じ思い出を持つ世界中のファンと繋がりたい(ちなみにローラはイギリス在住)」と各国に散らばるファンと一緒に作り上げたジンには、ロケ地訪問やお気に入りキャラクターの仮想プレイリスト(Spotifyで視聴可能という本気さ)など、ものすごい熱気が詰まっている(そして特製缶バッジ付き)。
 多感な思春期に、登場人物に自分を重ね合わせたり、恋をしてしまったり。テレビが「娯楽」だった時代を知っている者なら、それがどんなドラマであれ、面映ゆいようなノスタルジーを感じてしまう。

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 ネットフリックスや動画サイトでドラマサーフィンをするような今日この頃、テレビドラマの消費もどこか薄くなってしまったように思える。巻き戻しも早送りもできない1時間、気になるところで終わってしまい次回まで待ちきれない1週間。どうしようもないほど好きだった自分だけの“偏愛ドラマ”を、久しぶりに思い出してみたい。

The Boiler Room

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All images via Laura Millward
Text by Shimpei Nakagawa
Edit: HEAPS Magazine

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