1991年、英・マンチェスターに“ワーキングクラスヒーロー”が誕生した。
ビートルズを崇め、ビッグマウスなボーカルとギターのリアム&ノエル・ギャラガー兄弟は愛憎劇を繰り広げ、野外フェスでは2日間で25万人を動員する。それでいてシンガロング必須のキラーチューン、涙腺を直撃するような泣きメロ、琴線に触れるギター旋律のオンパレード。天才的なメロディメーカーの彼らは、我らがロックンロールバンド「Oasis(オアシス)」。
その昔、“工業都市から這いあがってきた労働者階級オアシス vs. 洗練されたロンドンの中産階級ブラー”のブリットポップ合戦でも有名で、日本でもその人気は根強い。『Wonderwall(ワンダーウォール)』『Live Forever(リブ・フォーエヴァー)』、『Don’t Look Back In Anger(ドント・ルック・バック・イン・アンガー)』といった名曲は誰しもが一度は耳にしたことがあるはずだ。
今回紹介するのは、「ファンに名盤一枚いちまいのノスタルジアを」と作られた『Oasis Band Magazine(オアシス・バンド・マガジン)』。
作者は“オアシスの故郷マンチェスターから車で30分”のリバプール出身でグラフィックアーティストのライアン・ジェイムス・ウィルソン(Ryan James Wilson)。「幼い頃から父親のカーステレオでオアシスを聴いていた」という根っからのオアシスファンだ。
誌面では見開きごとに、写真と文字のコラージュで名盤たちを紹介。
伝説のデビューアルバムで荒削りのロックンロールな『Definitely Maybe(デフィニトリー・メイビー)』からメロディアスな『Be Here Now(ビー・ヒア・ナウ)』、『(What’s the Story) Morning Glory(モーニング・グローリー)』を経て、解散直前リリースの『Dig Out Your Soul(ディグ・アウト・ユア・ソウル)』。各盤の雰囲気に合わせたデザインがファンの心をくすぐる。
昨年オアシスのドキュメンタリー映画『Supersonic(スーパーソニック)』が日本でも公開された。マンチェスターの公営団地で育った兄弟が誓い、果たした「I’m a rock ‘n’ roll star(アイム・ア・ロックンロールスター)」の20年。レコードストアにでも行って、彼らの名盤を引っ張りだしてみたくなる。
Ryan James Wilson
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All images via Ryan James Wilson
Text by Risa Akita
Edited by HEAPS