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  • Mar 12, 2017
現役スカイダイバー、空飛ぶおばあちゃん(84)は、青春よりセックスより「いまが人生一番たのしい!」
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“人類の永遠の夢”といったら。不老不死、タイムマシン。それに「空を飛ぶこと」、じゃないだろうか。
鳥のように羽ばたきたい、大空を自由に舞ってみたい。いくら科学が進歩した現代でもタケコプターのような発明品はまだ誕生していないが、これでだったら空を飛べる。「スカイダイビング」だ。

死ぬまでに一度は挑戦したい…と思いつつも、やはりやるとなったら尻込んでしまうもの。現役おばあちゃんスカイダイバー(84)だって、最初はそうだった。

54歳で見つけたライフワーク:「スカイダイビング」

 英・ウェールズで愛犬と仲睦まじく住む84歳のディリス・プライス(Dilys Price)。彼女は「いまも現役よ」のおばあちゃんスカイダイバーだ。

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(c)Tony Danbury

「女性最高齢スカイダイバー」としてギネス登録もされている“スーパーおばあちゃん”ディリスがはじめて空を飛んだのは、およそ30年前。中年も後半にさしかかる、54歳のときだった。

 以来「人生に不可欠・スカイダイビングのない人生なんて考えられない!」と、スカイダイビングがライフワークの一つになったディリスに、空飛ぶ体験やその醍醐味、スカイダイビングが叶えてくれたことを聞いてみた。

HEAPS(以下、H):グッド・アフタヌーン、ディリスさん。

Dilys(以下、D):あら、こんにちは。電話をくれてありがとう。この前帰国したばかりで。アメリカで開催されていたスカイダイビング団体の会議で講演してきたの。

H:精力的に活動されているのですね。アメリカでもスカイダイビングしましたか?

D:今回は時間がなくてできなかったけど、私はまだ現役よ。最後のダイブは昨年のクリスマス前かしら。それが人生で1135回目のダイブだったんだから!

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(c)Tony Danbury

H:1000回以上!ダイバー歴30年ですものね。

D:そうよ。はじめたのは54歳のとき。女性がスカイダイブするなんて不可能だと思われた。確かね、いまでも女性ダイバーは全体の20パーセントしかいないの。

H:その女性スカイダイバーの中でも最高齢と聞きました。そもそも、なぜ54歳になってからスカイダイビングを?

D:もともとアウトドアスポーツが大好きでね。その頃、慈善事業団体を立ち上げたんだけど資金が必要だったから、チャリティー・スカイダイビングをすることになったの。
それに、シングルマザーとして仕事や子どもに追われるストレスだらけの毎日だったから。「えい、やってみよう」と思って。誰にも内緒で。

H:初めてのジャンプ、怖かったと思います。

D:それはそれは怖かった! タンデムジャンプ(インストラクターと一緒に1つのパラシュートで飛ぶこと)だったんだけど、だんだん地面が近づいているのが見えたときは「ああ、大きな間違いをした。私、死ぬのね」って。でも次の瞬間こう思ったの「ワーオ。私、飛んでいる!」。

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(c)Tony Danbury

H:それからスカイダイブの虜に?

D:その通り。大好きになっちゃって。50秒間のあいだ鳥になれる気分なのよ。実はね、1年前着地に失敗して足首を骨折しちゃったんだけど、完治した翌日にはもう空の上にいたわ(笑)。

H:いやー恐れ知らず!そんなディリスさんに家族やお友だちは何て?

D:息子は「母さんがやりたいことだから」と応援してくれている。友だちは「もう、やめなさい」って心配してくれてるけど…。

H:でもやめない(笑)。

D:やめないわ!何でかわからないけど、スカイダイビングを続けなきゃ!という気になるの。

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(c)Tony Danbury

H:でも、数年前に危うく墜落という事件があったそうで…。

D:ああ、あれはね、パラシュートが開かなかったの!地面がだんだん近づいてきて、もう死がそこまできているって思った。間一髪のところで助かったわ。

H:最悪のリスクを負ってまでのスカイダイビング。一体何に惹かれるのでしょう?

D:自由になれる感覚ね。スカイダイビングは、究極のマインドフルネス、メディテーションだと思う。過去や未来のことなんて考えずに“いま”の状況だけに身を任せて、空を漂うから。自然の一部になるような感覚なの。

それにスカイダイビングは、みんながお互いを助け合う素晴らしいコミュニティよ。みんなが安全かどうか確認しあい、気にかけ、尊重し合う。私が所属している団体のメンバーには70代の男性ジャンパーもいるわよ。

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(c)Tony Danbury

H:みんな元気ですね!思い出に残るジャンプを教えてください。

D:そうね、あれはヨルダンでのこと。あの日、空の上ではサーフィンしているみたいに風の調子がよかったのを覚えている。そうして下降、着地したのが、なんと砂漠の上! 
見渡しても何もない砂漠のど真ん中だった。すると近くの村の子どもたちが私たちを見つけてこっちに走りよってきたの。結局、ラクダでベドウィン(遊牧民)のテントに連れて行ってもらったわ。そこで晩餐をご馳走になり、夜には月を見つめて。翌朝、現代世界に連れ戻されたってわけ。

H:小説や映画のようなお話!

D:そうね、スカイダイビングのおかげでアメリカやスペイン、ヨルダンなど外国に行き、さまざまな人たちと出会うことができた。いま、人生で一番楽しいわ!

H:いきいきしています。スカイダイビングをしてから若返ったように感じますか?

D:もちろん。ジャンプをすると電気が体を流れているように感じるの。背筋がしゃんとして背が高くなって、若返ったようにエネルギーが満ち溢れる。まるで電気療法みたいだわね(笑)。

それにね、スカイダイビングは“セックス”より気持ちいいのよ。情熱や激情、喜び、スリルが心臓や皮膚に染みわたる。空を飛ぶことで、私の人生は幸せでエネルギッシュ、ポジティブなものになったわ。

 スカイダイビングから自信を得た自分の体験を糧に、中年女性たちに「ポジティブであること・可能性を捨てないこと」の大切さを説く。
 鬱屈としていた54歳のディリスが空からもらったエネルギー。それは年齢の数に比例して、彼女の健康や生きがいだけでなく、まわりの人のエネルギーや可能性へと広がっていくようだ。

***Dilys Price***

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(c)Tony Danbury

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Text by Risa Akita

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