日本人は勤勉で、働きすぎで真面目—そのイメージは、むしろ誇るべきだ。
ひと針に一心を込め、一つの稲もこぼさずにすくう。
仕事という行為に生き様を映せるのは、小さな作業にも身を呈せられる働き者だけ。
士農工商という階級が存在し、仕事をすることが大きな部分を占めていた日本人という民族。その「仕事という文化的な文脈から、日本のファッションを発信したい」という思いから、日本の作業着をベースに生まれたブランドが、TATEGAMI(タテガミ)だ。機能性と美しさを追求し、技術者や職人、料理人が身につけるワークウェアをベースにプロダクトを展開する。
まずこれ、Panel poket shirts(パネル・ポケット・シャツ)、ポケットの口が横についているデザインのシャツ。作業中に下を向いてもかがんでも物が落ちることなし。ストレスフリーだ。
そしてこれ。パン屋さんのために作られたエプロン、TATEGAMI bakers aplon(タテガミ・ベーカー・エプロン)は、裏地部分に手をいれられるポケットが付いており、エプロンでそのまま鍋つかみミトンのように使用可能。
さらに嬉しい気遣いは、ネイビーになっている切り替え部分。焦げがついても大丈夫なように、だ。
シェフの着用するコックコートを普段使いもできるようにデザインしたジャケット、Light weight baker jacket(ライト・ウェイト・ベイカー・ジャケット)。ネイビーのシェフって、見たことない。動きやすい生地をオリジナルで製作し、通常のコックコートよりも軽く、それでいて強度は抜群。これは実際にシェフも厨房で着用し、現場からの支持も厚いそうだ。
さて、TATEGAMIのこだわりはまだある。制作の地が日本である、ということだ。
海外で作った方がコストを削れるのは承知で、「腕のいい職人たちの仕事が少なくなっているという現状を変えたい」と立ち上げ人の鷲頭マコトは言う。日本が海外に誇れる良い技術や産業が衰退しないように、との思いがある。
2014年、TATEGAMIブランドの口火を切ったのは日本の作業着ニッカポッカだった。衣服から日本の技術を知り、それを世界にも発信していきたい、と。
フランス、マレ地区で展示会を開いた。
食べるために生きるのではなく、よく生きるために食べるのだ、と言ったソクラテスではないが、TATEGAMIの服は、よく生きるために袖をとおせる服の一つだ。
仕事の様、つまりは日本人の生き様を整えたニッカポッカをはじめとする日本の作業着、姿形を現代に落とし込まれてスタイリッシュに成りを潜めながら、日々を整えてくれる。
野生に吹かれる鬣(たてがみ)がなびくように、社会を生き抜く威厳とシンプルな誇りが人の佇まいに残れば、日常はまた変わる。
TATEGAMI、詳しくは、こちらから。