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  • Dec 9, 2016
「ワルにはヨガがよく似合う」 悪名高き米国ボルチモアを変えた強面三人組、 ばら撒いたヨガ愛
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恰幅のいい体に、綺麗に剃毛されたスキンヘッドとドレッドヘア。それにしっかりと蓄えられたヒゲ。こちらの三人組は一体….

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欧米だけなく日本でも、健康や美容、精神安定に良いとされ、現代人の生活にしっかりと溶け込んでいる「YOGA(ヨガ)」だが。いまアメリカで人気なのが、子どものために作られた学習プログラム「キッズヨガ」だ。ヨガをツールとして、呼吸と動きに意識を向けながら、子どもの心身のバランス良い発育、成長サポートのためにアメリカで開発されたもの。

さて、冒頭の強面な三人組のにーちゃんたち一体なんなんだというと、実は「ヨガ」の先生だ。全米の中で高い犯罪率を誇る悪名高いメリーランド州ボルチモアにて、その強面を静かにヨガマットにおろし、子どもたちに向き合う。彼らは、ヨガで子どもたちと、そして地元ボルチモアを変えようとしている。それも、「キッズヨガ」なんて言葉が生まれる前の前、15年も前から。

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学校で集団瞑想とヨガを、貧困層エリアで繰り返す

 日本ではあまり馴染みのないボルチモアだが、最も重要な東海岸の港市として、観光地としても有名だ。その一方で、治安の悪い都市ランキングでもワースト7位に入り、富裕層が暮らすエリアと貧困層が暮らすエリアが道一本を挟み、隣り合わせに並ぶ街だという。

 そのお世辞にも治安がいいとは言えない街で「Holistic Life Foundation(ホリスティック・ライフ・ファウンデーション、以下ホリスティック)」を運営するのが、しつこいが先ほどの強面三人組、Ali Smith(アリ・スミス)、Atman Smith(アトマン・スミス)兄弟とAndres Gonzalez(アンドレス・ゴンザレス)。

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 ホリスティックはボルチモアの貧困層エリアにある地元高校に「暇なら学校で瞑想でもしようぜ」とMindful Moment Program(マインドフル・モーメント・プログラム)を、小中学生には放課後にヨガを行う放課後児童クラブ「Holistic Me After School Program(ホリスティック・ミー・アフター・スクール・プログラム)」を持ち込んだ。

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 校内で集団で瞑想? なんか教団チックなイメージも沸くが、実のところその内容はすこぶる健全。
「マインドフル・モーメント・プログラム」では呼吸法と瞑想法を中心に、より精神的な部分に重点を置いたクラスだ。始業前と放課後の2回・各15分間を毎日実施し、心身ともに授業に向けた準備を行う。

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 一方、小中学生に向けた「ホリスティック・ミー・アフター・プログラム」では呼吸法に加え「動き」のあるヨガエクササイズを中心に行う。「ヨガ」の意義はもちろんのこと、ヨガなど聞いたこともない小さな子どもたちにとって、長時間淡々とあぐらをかいて目を瞑っているなんて無理も当然。ただし、彼らが最も大切にしている「ヨガ」がもたらす精神的な効果を、子どもたちに伝える工夫はする。

「たとえば、“これまで誰かにドアを開けてあげたことあるよね? それもヨガの一部だよ”って。ヨガはマットの上での単なるエクササイズじゃない。むしろヨガマットから降りた後が大切だってことを、子どもたちに理解してもらいたい」。

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 子どもたちだけでなく「ホームレスシェルター」や「薬物依存症治療センター」、「精神病院」で、大人にも「ヨガ」を教える。地元コミュニティ全体を「ヨガ」の力で変えていきたいのだ。

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ヨガが生み出す「思いやり」

 実際のところ「ヨガ」及び「マインドフルネス」が、小さな子どもから、思春期真っ只中の少年少女、そして大人に与える効果はいかがなものだろう。
 俗に言う、運動不足の解消やストレスの減少、集中力の向上、自制心の育成はもちろんのこと、相手に対する「思いやり」が生まれるとアンドレスは言う。

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「自分は自分であって、あなたはあなたである。そんな感覚が、ヨガやマインドフルネスを通して生まれ、培われていく。だから、より中立的な心持ちができる。他の人に対して、悪いことをしたり言ったりすることはなくなるよね」

15年間の「ヨガ」で「あるべき姿」を手に入れた地元コミュニティ

 15年間の歳月を費やし、そんな「思いやり」を広げる活動は地元コミュニティを劇的に変えた。
 これまでに2万5000人以上の地元の子どもたちにヨガを教えてきたホリスティック。初期の生徒もいまでは立派な大人になり、ヨガの先生としてホリステッィクで働く者もいるという。
「当時、僕が小学5年生を教えていたんだけどその中の生徒の一人がいま、小学5年生にヨガを教えているんだ。そんな光景を見ると、とっても感慨深いよ」

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 ホリスティック発足当時の地元コミュニティは、互いに挨拶を交わすような環境ではなかったそうだ。街行く人は笑顔で挨拶を交わし、これまで街角でドラッグを売っていてた人も、ホリスティックの一員として、子どもたちにに「ヨガ」を教えているいまの地元からじゃちょっと、想像がつかないほどに変わった。

「ワルだった」人々を更生するだけではない。犯罪多発地区と呼ばれるエリアにおける子どもたちをヨガで健全な心身に育成することは、地元ボルチモアに将来起こりうる犯罪を「未然に防ぐ」という長期的な一面をも併せ持つ。それはまさに「ボルチモアは1日にして成らず」ということ。

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「ヨガを通して愛を広げるこの活動が、アメリカ国内、そして世界中に広がればと思っているよ」。
 最後に、ヨガクラスを終えた直後の子どもたちの反応をアンドレスに聞いてみた。
「口を揃えて言うのは“疲れた”、だね(笑)」

Holistic Life Foundation

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All images via Holistic Life Foundation
Text by Shimpei Nakagawa, edited by HEAPS

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