旧ソ連の伝統的なサーカスをインスタレーションで再現。ロシアの新星アーティストが再解釈する混沌の“国民の娯楽”

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旧ソ連の構成国でロシア、ジョージア、アルメニア、イランと国境を接する東欧の国アゼルバイジャン。今回は、あまり馴染みのない国の首都バクーにあるYARAT(ヤラット)現代アートスペースで開催中の展覧会、『TAUS MAKHACHEVA CHARIVARI SOLO SHOW』だ。ジャンルにとらわれない、学際的な芸術作品を作り出すタウス・マハチェワの個展である。マハチェワは、生まれのロシア・モスクワを拠点に活動中。2016年には上海ビエンナーレ、2017年にベニスビエンナーレと数々の国際芸術祭で頭角を現しはじめている若手新進アーティストだ。

彼女の作品はパフォーマンス、映像など多岐にわたるが、今回の展示では旧ソビエト連邦の伝統的なサーカスの歴史についてマルチメディアのインスタレーションを作成。建築家、ライター、コスチュームデザイナーとコラボレーションし、ソ連のサーカスを再現するインスタレーションを作りだした。喋り出す馬の置物、人工のクマ、銀色のマントを羽織った昆虫など、珍しい生き物たちが出演する“見かけ上のサーカス”を作り出している。展覧会のテーマともなっている「Charivari(チャリバリ)」とは、ソロとグループの作品が混ざり合う多ジャンルで、大規模なサーカスのパフォーマンスのこと。一見すると混沌とした芸術形態が、お互いに競い合いながらもシンフォニーを作り出す今回の作品をまさに反映する。

ソビエトサーカスは主要な国の娯楽だったにも関わらず、その視覚的にパフォーマンス性が高い手段を通して、大胆で巧妙な表現をおこうことができる数少ない場所だった。だからこそ今回の展示では、フィクションと史実を混ぜ合わせたインスタレーションを作ることで、ソビエト時代からソ連崩壊後、そしてこれからの未来に向けて、伝統と現代性がどのように変動しながらも関わりあってきたかを象徴している。ロシアにおける過去の歴史から近未来まで、サーカスという不思議な媒体を通して振り返ってみてはいかが。


Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Ehtiram Jabi

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Ehtiram Jabi

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

新進気鋭の現代アーティスト、タウス・マハチェワ。
Taus Makhacheva, Installation view of Charivari, 12 July – 6 October 2019, YARAT Contemporary Art Centre, Baku, Azerbaijan.
Courtesy the artist and YARAT, photo by Fakhriyya Mammadova

Text by Haruka Shibata
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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