“スクリーミングハンド”の産みの親。スケボー、サーファーシーンの「あの画」を描いてきたレジェンド、​​Jim Phillipsの世界

SUNDAY ART SCROLL -リアルタイムで芸術速報/世界の名画から新進気鋭クリエイター最新作まで、各地ギャラリーより「現在展示中(時々、ついこの前まで)」をお届け中。
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今週のSUNDAY ART SCROLLは、アメリカ西海岸から。カリフォルニアの肩肘張らない、ピースフルなスケート・サーフカルチャーを象徴する、“あの”アイコンの生みの親、Jim Phillips(ジム・フィリップス、77)。彼の作品が一挙に集う展示『The Art of the Santa Cruz Speed Wheel』が、カリフォルニア州サンタクルーズのSanta Cruz Museum of Art & History​​(The MAH)にて開催中だ。

イカしたお兄ちゃんが抱えるスケボーデッキやサーフボードとフィリップスのデザインはお決まりのセット。こっちを向いた手のひらがぱっくりと口を開けて歯を剥きだしに叫ぶ、彼のアイコニックな代表作『Screaming Hand(スクリーミングハンド)』は誰しも一度は見たことがあるだろう。若者と、遊び心を忘れない(いや、忘れられない)大人たちを魅了しつづける伝説のグラフィックアーティスト、フィリップスは、その人生のほとんどをサンタクルーズで過ごしてきたという。そんな彼にとって今回の展示は、まさにホームでの開催となる。


大学で美術を学んだのち、世界有数の老舗スケートショップであるNHS Inc.の唯一のアーティスト兼アートディレクターとなった。1970年代から80年代にかけては、何千ものデッキ、Tシャツ、ステッカーなどのグッズ、プロダクトのイラストにくわえ、広告までも手がけていた。今回の展示ではその膨大なデザインが生みだされた時代に遡り、84年以降ほとんど世の目に触れることのなかったオリジナルの作品たちに出会うことができる。さまざまなアイコンやロゴのデザインが壁一面を埋めつくす会場は、まるでフィリップスのアトリエさながらだ。机にべったりと張りつき、なんどもなんどもペンを重ねる様子が目に浮かぶ。宝石ではなく“スケートボードのウィール”が垂れさがる奇抜なシャンデリアも見どころだ。

いまや一流のデザイナーとして、どギツい配色とポップなグロテスクさという特徴的なイメージが定着している。しかし本展で過去の作品を見ることで、デザインというものに血眼で向きあい、自身のスタイルを練りつづけた、一人のデザイナーとしての彼の軌跡をたどることができるかもしれない。やんちゃな頃にスケートに明けくれたお父さんは、スケートシューズをぼろぼろに履きつぶす我が子を誘って足を運んでみてほしい。どんなに世代を越えようが、ドープなものはドープなのだ。会期は2022年1月2日まで。

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All Images via Orbie Pullen Photography
Text by Iori Inohara
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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