トリックアートならぬ、トリック“フォト”?カオスな写真家のカオスな編集が生んだ、目をあざむく不思議なスポーツ写真

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米国テキサス州、ヒューストン。カウボーイの故郷である米南部のこちらの都市は、実は洗練されたアート都市でもあるようで。数多くの美術館が立ち並ぶこの地域から、フォトギャラリーFOTO RELEVANCEで先日まで開催していた展示『Crowded Fields』をご紹介。写真家ペレ・キャス(Pelle Cass)が撮る写真…いやアートには、目をしばたいて二度見・三度見してしまう。日本よりまだもうちょっと暖かい街の小さなギャラリーが目をつけた、キュレーターのセンスが光る今週のアートだ。

一枚の写真のなかで、人、ボール、その他もろもろがごった返している。まるで1秒後にはぶつかってしまうんじゃないかとヒヤヒヤさせられる人と人との距離に、思わず「危ない!」と口走ってしまうほど。これらの写真は、人々が繰り出すダイナミックな動きを何時間もかけて撮影し、一つの静止画に収めたものだという。たしかに、よく目を凝らしてみると一枚の写真の至るところに同じ人物が写っている。キャスは大学のスポーツのイベントに赴いては三脚を立て、目の前の試合やレースそれぞれに約1,000回もシャッターを切った。そこで捉えた人やモノの動きを慎重に、そして緻密につなぎ合わせて編集することで、カオスと調和の釣りあいが取れたなんとも奇跡的なバランスで一つの作品を作りあげていくのだ。無秩序のなかにある秩序とは、まさにこのことを指すのだろう。

物理的な動作の情報が多く詰めこまれた彼の作品からは、騒々しいまでの「音」が感じられる。テニスの試合の『FUTURES FROM BASELINE COURT 6, THURSDAY, 2018』では、プレイヤーがキュッと方向転換をし、テニスボールを打ち返す軽快な音が。バスケットボールの試合の『HAWKS FROM UNDER. 2015』では、ボールがフロアにバウンドする鈍い音が。サーフボードのカラフルさが賑やかな『THALIA BEACH FRIDAY NO. 2, 2019』では、波がボードにぶつかり白いしぶきを上げる、あの夏の音が。

「写真」というリアルを捉える手法が裏切る、トリッキーな作品の楽しみ方にチマチマした解説は不要。脳があれこれ考えるよりも先に、目がもうそれを楽しんでいる。そして撮影過程を考えると、アナログで遊び心が宿るその作業に心がゾクゾクしてくる。

実はヒープス編集部、数ヶ月前に、キャスを取材しました。ここまで作品を見ると、作り手がどんな人間なのか気になるでしょう。現在記事を執筆中なので、公開されるまでお楽しみに。

Pelle Cass, Volleyball at Northeastern University, Close, 2018

Pelle Cass, Futures from Baseline Court 6 Thursday, 2018

Pelle Cass, From Longfellow Bridge, 2016

Pelle Cass, Hawks from Under, 2015

Pelle Cass, Ham Polo Club, 2018

Pelle Cass, Thalia Beach Friday No. 2, 2019

Installation View of Crowded Fields by Pelle Cass

Installation View of Crowded Fields by Pelle Cass

Installation View of Crowded Fields by Pelle Cass

Installation View of Crowded Fields by Pelle Cass

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Text by Iori Inohara
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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