ダンスパフォーマンスの舞台にも変幻。彫刻家・デザイナー、故イサム・ノグチが編みだした〈モノ・鑑賞者・空間の“見えざる力”〉

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彫刻家であり画家、インテリアデザイナーであり造園家。幅広い活動でその名を轟かせた20世紀を代表する芸術家、故イサム・ノグチ。ニューヨーク・クイーンズ地区にある、1985年に自身が設計・創立した美術館「The Noguchi Museum(ザ・ノグチ・ミュージアム)」では、生前の作品を展示・収蔵。ノグチの世界観をたっぷりと堪能できる。そこで現在開催中なのが、所蔵作品をつかったインスタレーション展示会「Body-Space Device」だ。

展示空間に存在するのは、舞踏家マーサ・グレアムのためにノグチがつくったブロンズの(揺れない)ロッキングチェアに、波のように大きくうねるドーナツ型の真っ赤な彫刻など30の作品。ノグチの作品の核となる「モノ・鑑賞者・空間のあいだの“見えざる力”」を通し、我々に空間への物理的な理解を求めている。さらに今回の展示会は、あるパフォーマンスの舞台にもなっている。カナダ人アーティスト、ブレンダン・フェルナンデスが、自らの“作品”もくわえ、自身のパフォーマンス「Brendan Fernandes: Contract and Release」のステージにもしているのだ。フェルナンデスの作品とは、カスタマイズデザインした足場に、ノグチのロッキングチェアに触発された6つの“デバイス”。そして、それらのオブジェに体を這わせる、生身のダンサーたち。展示作品にダンスパフォーマンスを融合させ、ノグチのモノ・鑑賞者・空間の点と線のあいだに、“動き”をくわえる。

All Photos by Nicholas Knight. ©INFGM / ARS

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Text by Ayano Mori
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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