ピンと立った口髭が下りるとき。中年期、奇才サルバドール・ダリのくつろぎお家時間。ダリ・アット・ホーム

SUNDAY ART SCROLL -リアルタイムで芸術速報/世界の名画から新進気鋭クリエイター最新作まで、各地ギャラリーより「現在展示中(時々、ついこの前まで)」をお届け中。
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サンシャインシティとの愛称を持つ、米国フロリダのビーチタウン、セント・ピーターズバーグに位置する、海辺に面した青いガラスが目を惹く建築物「Salvador Dalí Museum(サルバドール・ダリ美術館)」。言うまでもないが同館には、芸術運動「シュルレアリスム(超現実主義)」の中心人物で、“溶ける時計”など数々のアイコニックな絵画作品を手がけたスペインの巨匠、サルバドール・ダリのコレクションが収蔵されている。今回のSUNDAY ART SCROLLでは、同館で開催中の、ダリのスペインでの生活の風景を記録した写真展『『At Home with Dalí』を紹介する。

1904年、スペインのカタルーニャ地方に生まれたダリは、その生涯の多くの時間をスペインで過ごす。展示されている約40点の写真作品は、1950年代から1960年代前半に撮影されたもの。ちなみにこの時期、ダリはアーティスト人生のターニングポイントを迎えている。第二次世界大戦下の1945年に広島に原子爆弾が投下されたことに大いに影響を受けエッセイ『神秘主義宣言』を発表し、宗教の世界を科学的な理論から表現することをはじめたのだ。

1961年に撮影された『Close up of Dalí Painting』では、転換期に入ったダリがスタジオにて大きなキャンバスに向かう姿を写している。また、ダリが生涯妻を愛していたのは有名な話であるが、そんな最愛の妻、ガラ・ダリと一緒にコスタ・ブラバの岩でたたずむ様子も『Salvador and Gala Dalí』からうかがうことができる。他にも、スペインのポルト・リガトの自宅でくつろぐ場面や、カメラを構える姿など、めったに目にすることができないダリの私生活の様子を垣間見ることができる展示となっている。

普段目にするダリの写真は目を大きく見開き、ピーンと立ったマスタッシュが印象的な「芸術家、いかにも」の写真がほとんど。多くの名声や批判を集めながらも、冒険的でさまざまな表現をおこなってきたダリが、自身の作品や愛する妻に向ける視線や表情はどのようなものであるのか、自分の目で確かめてみたい。


Lies Wiegman
Close up of Dalí Painting
1961
Photo © Lies Wiegman
Collection of The Dalí Museum, St.
Petersburg, FL (USA)
Image Rights of Salvador Dalí
reserved. Fundació Gala-Salvador
Dalí, Figueres, 2020
Horst P. Horst
Salvador and Gala Dalí
1950/2016
Collection of The Dalí Museum, St.
Petersburg, FL (USA)
© Condé Nast / Horst Estate
Image Rights of Salvador Dalí reserved.
Fundació Gala-Salvador Dalí, Figueres,
2020
Ricardo Sans
Dalí in Fireplace
1950
Collection of The Dalí Museum, St.
Petersburg, FL (USA)
Ricardo Sans, © Fundació Gala-
Salvador Dalí, Figueres, 2020

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Text by Ayumi Sugiura
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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