布を読む。赤は強さ、緑は成長、金は豊かさ。伝統衣装と模様に織り込まれた「色」とそれらに託した「メッセージ」

SUNDAY ART SCROLL -リアルタイムで芸術速報/世界の名画から新進気鋭クリエイター最新作まで、各地ギャラリーより「現在展示中(時々、ついこの前まで)」をお届け中。
Share
Tweet

チョコレートの商品名として有名な、西アフリカのガーナ共和国。原料のカカオ豆の生産量は世界2位を誇り、他にもダイヤモンドや金の産地としても知られる。1957年に英国の植民地支配から独立した同国では、2016年の独立記念日に現代アートのギャラリーが誕生した。その名も「Gallery1957」。首都アクラとロンドンを拠点に、西アフリカの数々のアーティストとコラボレーションし、アフリカのアートシーンを盛り上げている。今回紹介するのは、こちらで開催中のマリ共和国のアーティスト、アブドゥライ・コナテによる新作展『Abdoulaye Konaté』だ。

コナテは、西アフリカの伝統的な織物を使い、地元マリの文化や歴史を比喩的に表現するインスタレーション作品で知られている。今回の個展では、初めて作品に「ケンテ」を使用。ケンテとはガーナ独立後に誕生した民族衣装で、黄、赤、青、緑などの鮮やかな色彩と芸術的な模様が特徴的。それぞれの色には意味があり、それを知っていれば“布を読む”ことができるという。たとえば「黄」や「金」は豊かさや忠誠心、「赤」は独立のために流された血、死、強さ、「青」は平和や愛、統合、「緑」は成長、収穫、「黒」は精神的な強さ、成熟さ、嘆き、「白」は純潔、「紫」は母なる大地や癒し、魔除け、という具合に。

それらを意識的に取り入れ、マリの人々や社会が、戦争や権力争い、宗教やグローバル化、生態系の変化やエイズの蔓延などの要因によってどのように影響を受けてきたかを、巨大作品に抽象的に落とし込む。『Rouge kente et monde』ではグローバルの概念を取り入れており、『Coucher de soleil (Ghana)』は、ガーナの光り輝く地平線を描いた伝統的な風景画に仕上がっている。

展示は12月18日まで。依然コロナ禍で渡航は厳しい状況だが、ヒープスのウェブ上で政治的・社会的な問題を提起する大胆な作品から、彼が込めたメッセージを“色で”読み取ってみたい。

Abdoulaye Konaté, Ghana 1 kente, poidset et couronne, 2020, Technique Textile, Courtesy of the artist and Gallery 1957

Abdoulaye Konaté, Bleu vert au kente (cercle-rouge), 2020, Technique Textile, Courtesy of the aritst and Gallery 1957

Abdoulaye Konaté, Rouge, vert au kente, 2020, Technique Textile, Courtesy of the artist and Gallery 1957

Abdoulaye Konaté, Rouge bleu au kente, 2020, Technique Textile, Courtesy of the artist and Gallery 1957

Abdoulaye Konaté, Jaune kente (arc et triangle), 2020, Technique Textile, Courtesy of the artist and Gallery 1957

Abdoulaye Konaté, Gris au kente (cercle et triangle), 2020, Technique Textile, Courtesy of the artist and Gallery 1957

—————
Text by Rin Takagi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

Share
Tweet
default
 
 
 
 
 

Latest

安息日のブランチも、同性愛への考えも各々の価値観。ユダヤ教女性2人組がインスタから発信する、現代のユダヤ教の本質

※(取材・執筆は2020年夏となります。当時コロナ禍以降、社会の根本的な価値観が変わりゆく予感のなかで、HEAPS編集部では宗教の現在地についての探究を進めていました) ユダヤ教には「ラビ」と呼ばれる指導者がいる。律法(…

「自分を僧侶だと名乗ったことはない。ただ僧侶たちと一緒に暮らした」米ミュージシャン・ヒンドゥー教徒の神秘な道

※(取材・執筆は2020年夏となります。当時コロナ禍以降、社会の根本的な価値観が変わりゆく予感のなかで、HEAPS編集部では宗教の現在地についての探究を進めていました) 国内のみならず世界中でもツアーをおこない、スポティ…

「礼拝は“義務”ではなく“神と会話できる機会”」インドネシアから独に渡ったムスリム、異国の地で再確認した神への愛

世界のムスリム人口は約18億人。イスラム教といえば中東のイメージが強いが、実はムスリム(イスラム教信者)が人口の過半数を占める世界最大の国は、インドネシアだ。さまざまな宗教が入り混じるなか、イスラム教を信仰する国民は約8…
All articles loaded
No more articles to load