不平等がはびこる社会の“避難所”だった。現代アートで表現される、ペンテコステ運動とブラック・スピリチュアリティ

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米国ロサンゼルスを拠点として、現代アートと宗教的伝統、スピリチュアリティの関係を探求することをコンセプトにしたキュレーション・プロジェクト「Bridge Projects」。今回紹介するのは、2019年にオープンしたハリウッドにある同プロジェクトのギャラリーで開催中の展示会『Otherwise/Revival』だ。黒人の宗教やスピリチュアリティの歴史が、現代アーティストたちにどのような影響をあたえたのか、作品を通して感じることができる。

同展が当てている焦点は、黒人の宗教やスピリチュアリティの歴史のうち、20世紀初頭にロサンゼルスで始まったキリスト教プロテスタントの宗教運動である「ペンテコステ運動」。当時の米国社会では、人種や性別、階級による不平等がはびこっていた。そんな状況のなか、1906年ロサンゼルスにて、ウィリアム・J・シーモア牧師が聖霊のバプテスマを受けると異言(宗教的恍惚状態から発せられる言葉)を話すことが可能となり、神との直接の体験ができると説いた。彼の説教を批判する者もいたが、厳しい現実から逃避することを目的に、さまざまな人種や経済階級の人々がシーモア牧師の説教を聞くために集まった(アズサ・ストリート・リバイバル。ペンテコステ運動の発祥)。この出来事が、全米でのペンテコステ運動に発展していったのだ。

このペンテコステ運動に影響を受けた現代アーティストの作品(彫刻、絵画、映像作品など)をキュレーションしたのが本展示会。Lava Thomasによる『Clouds of Joy』は、ペンテコステ派の礼拝の際に使用されるコバルトブルーのタンバリンをもとにしたコラージュ作品。Sara Sonié Joi Thompson-Ruffinによる『King Solomon’s Robe』は、教会の祭壇を飾るためにデザインされたダイナミックで華麗なキルト。他にも31人のアーティストが各々の表現方法により、ペンテコステ運動や黒人教会が自身にあたえた影響を作品に落とし込んでいる。
 
およそ100年前の黒人の宗教やスピリチュアリティが、いまを生きる現代のアーティストに流れていることを作品を通して実感できる。開催は7月31日まで。


Installation view of Otherwise/Revival, Lava Thomas work pictured, Courtesy of Bridge Projects, photo: Robert Wedemeyer

Installation view of Otherwise/Revival, Courtesy of Bridge Projects, photo: Robert Wedemeyer

Installation view of Otherwise/Revival, Courtesy of Bridge Projects, photo: Robert Wedemeyer

Installation view of Otherwise/Revival, Courtesy of Bridge Projects, photo: Robert Wedemeyer

Installation view of Otherwise/Revival, Courtesy of Bridge Projects, photo: Robert Wedemeyer

Installation view of Otherwise/Revival, Sara Sonié Joi Thompson-Ruffin works pictured, Courtesy of Bridge Projects, photo: Robert Wedemeyer

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Text by Shunya Kanda
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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