「このビルではすべての金銭取引はビットコインで」バーで換金可能になった仮想通貨、給与支払いも。さらに身近な存在になるか?

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なんとなくわかったようでいて、いざ聞かれても上手く説明できる自信がない。ここ数年でなにかと耳にする「ビットコイン(仮想通貨)」のこと。
自分には無縁だ、と食わず嫌いしていたが、とあるビル内では給与の支払い含め金銭取引はすべてビットコインという団体の出現、バーでビットコイン購入ができるようになっていたり、と…あれ、結構日常に近づいてきている?

2030年までにユーザー数、4億人!?

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Photo by Tiger Pixel

 まずは大前提にして、これが理解できないとなにもはじまらないビットコインとは何ぞやから。2009年に彗星の如く現れたインターネット上に存在する仮想通貨で、モノやサービスの支払いができるお金のことを指す。通貨としての役割は円やドルとは変わらないが、フィジカルに市場に出回る通貨ではなく、取引や支払いはすべてオンライン。最大の特色は国家や企業、銀行など通貨システムをコントロールする中央組織がないこと。え、じゃあ誰も管理してない無法地帯? ではなく、利用者全員で管理。利用者とは、ビットコインソフトウェアをインストールした者で、取引の詳細記録(ビットコインアドレス間の送金内容など)のような開示された情報がコンピューターネットワーク上に分散され管理されている、という仕組み。ビットコイン上の取引には“国境”がないため、たとえば海外送金など、銀行だと手数料が5000円、スピードは1〜2週間かかるものも、ビットコインなら約150円が相場で最短10分で完了できる、と画期的だ。

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 では実際にどれくらいの人が使っているのよ? 気になるユーザー数だが、正確な数字はわかっていないものの現在は世界に650万人ほどいるといわれている。さらに、1ビットコインあたりの価格は先月の時点で30万円になり、今年4月の11万円から大きく上昇。スナップチャットへ初投資を行ったベンチャーキャピタリストやフェンテック会社CEOの予想では、2030年までにユーザー数は現在の61倍、つまり約4億人にもなると。これからが本領発揮といったところか。

ハッカーらは「給与もビットコインでお支払い」

 ビットコインで給与が支払われる、というSFのような話が実際にあるらしい。しかも、その団体が所有するビル内の金銭取引はすべてビットコインときた。チェコの首都プラハにある「パラレル・ポリス(Parallel Polis)」という団体なのだが、ビットコイン云々の前にかなり謎多き団体で、構成員は「クリプト・アナーキスト(crypto anarchist、暗号無政府主義者)」と呼ばれる者たち。アナーキストと聞くとキケンな匂いしかしないが、平たくいうと、暗号通貨(ビットコインなどの仮想通貨のこと)やブロックチェーン(分散型ネットワーク)、シェアリングエコノミーネット上の電子契約などを使用することで中央政府の存在が不要だ、と信じている者たちのこと。内部告発サイト「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジもクリプト・アナーキストだと言われている。

 パラレル・ポリスには、クリプト・アナーキストやビットコイン愛好家、ハッカーたちが集まりビットコインや3Dプリントワークショップなど、クリプト・アナーキズムの啓蒙活動に日々励んでいるのだが、なんと彼らの給料はビットコイン(!)で支給されるという。またシェアオフィスの家賃支払いもビットコインオフィスの売店で買うコーヒー、レッドブルもビットコイン。ビットコインATMでビットコインを専用カードにトランスファーして支払うらしい(ちなみにこの少々怪しげなパラレル・ポリスについて取材したく問い合わせしたが、未だ返信はもらっていない…)。

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 ビットコインによる給与支給サービスを提供するのが「ビットウェイジ(bitwage)」で、同社が対象にしているのは、他国にいながらも自国の通貨で報酬をもらいたいグローバルな被雇用者で、たとえば雇用主がドルで支払った報酬を非雇用主はビットコインで受け取れるようプロセスの仲介を行なっている。2013年の創立からぐんぐん成長を遂げ、今年に入ってからも欧州でのサービスを拡大しているという。

ヒップなバーでビットコインが買えちゃう

 ビットコイン、知れば知るほど身近に感じられてきただろうか? ここでもう一つ、日常でビットコインを体験できる場所を。仕事帰り、週末立ち寄る「バー」だ。
 
 ブルックリンの若者であふれるブシュウィックのバー、ルッキング・グラ(Looking Glass)は先月、店内にビットコインを購入できるATMを設置した。1ドルから換金可能と敷居も低い。行きつけのバーの片隅で、銀行のATMに向かうかのごとくビール片手にビットコインを買ってる洒落たお兄さんお姉さんをみたら「あれ、そんなにとっつきにくいモノでもない?」という気がしてくるかも。ちなみに日本でも、外国人の多い六本木や西麻布のバーにもビットコインATMがある

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 世界に目を向けてみると、中国ではビットコインのトレーディングで月100万元(約1661万円)を稼ぐミレニアルがいたり、テック大国インドの若者も“投資するならビットコイン”だったり。オンラインバンキングやペイパルやネットショッピングのオンライン決済が日常茶飯、友だちとの割り勘の際も“アプリのボタン一つでお金のやりとり”が当たり前なミレニアルズ世代だ。ビットコインを抵抗なく運用し利益を巻きあげていく彼らの勢いが、世界の金融市場を動かす触媒となるか、混沌を生み出す脅威となるか。

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Text by Risa Akita
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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