集まって祝えないプライド月間に〈レインボーなプロダクト〉のエール。煌めくカミソリ、ドラァグなビール、自分らしさを味わうグミ

プライド月間、スタートアップやD2Cブランドのレインボーなアイデア。自宅の風呂場から、食卓から、クローゼットから、プライドを祝おう。
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6月も残すところあと1週間ほどで終了だが、忘れたくないのは「プライド月間」だということ。LGBTQの権利やコミュニティ、カルチャーを讃え尊重する期間として、毎年、世界各地ではパレードやイベントなどが開催されている。が、新型コロナウイルスの影響でこれらは軒並みキャンセルに。例年通りにはいかない今年だからこそ、企業やブランドのアイデアもより色とりどりの工夫を見せる。今週は、スタートアップやD2Cブランドのプライドプロダクトをいくつか紹介しながら今年のプライド事情をば。いま自分がいる場所で、プライドを祝おう。

NYプライド50年で初の中止、世界の500以上のイベントも…。

 
 レインボーで包まれる6月。世界のさまざまな都市でLGBTQと彼らのサポーターたちが街を練り歩くプライドパレードは風物詩だ。しかし今年のプライド月間は様子が違う。誰もが予期せぬウイルスのパンデミックにより、世界中で500以上のLGBTQ関連イベントが中止、または延期に。1970年から続くニューヨークのプライドパレードに至っては、50年の歴史で初めてのキャンセルという無念の年となってしまった。

NYCのLGBTが歩んだ歴史

2013年に、各所に話を聞きながらまとめた60年代後半から2010年代のヒストリーがコチラ。当時の写真を撮っていた写真家に会いにいき、大量のデータから数枚を使わせてもらった。

 祝いのエネルギーを解放する物理的な場所はなくなってしまった。となれば、皆が駆け込むのはオンライン。各地のLGBTQ支援団体が、パネルディスカッションやライブを放映するオンラインプライドや、自宅で祝う様子をハッシュタグでシェアするSNSキャンペーンを計画。6月27日には、世界各国の著名人やセレブリティ、アクティビストなどが参加する初の世界規模のLGBTQオンラインイベント「Global Pride(グローバルプライド)」が開催予定で、視聴者は推定3億人など、LGBTQコミュニティの結束の強さも見せつけている。

 さて、そんなオンライン上で大波のように広がるレインボーに、企業やブランドも色を添える。プライド月間を祝う衣食住のプロダクトたちを紹介しよう。
 

足元の7色で思い出して「自分に正直に生きること」—Bombas(ボンバス)

 まずは「衣」から。「履きやすさ」と「社会貢献」に情熱を注ぐニューヨーク発・靴下スタートアップ「Bombas(ボンバス)」は、プライドを祝うレインボーなデザインの「プライド・コレクション」を限定で用意。これは、ブランド初の試みだという。「これらの靴下は、カラフルに生き、いつも自分に正直に生きることをリマインドします」。

日頃から「靴下1足購入で、1足寄付」をおこなうなど、ホームレスや生活貧窮者の支援をおこなっているが、同コレクションでもその取り組みは継続。10人に1人がホームレスというLGBTQコミュニティを支援する団体アリー・コーリションと提携し、プライドソックスが1足売れるごとに、LGBTQコミュニティへ1足寄付という仕組みだ。



Image via Bombas

泡の中でも煌めく。レインボー柄シェーバー—Harry’s(ハリーズ)

 お次は「身だしなみ」。これまで“使い捨て”か“超高級”の二択だったなか、質のいいプロダクトを手頃な価格で届けるシェービング業界の革命児・D2Cブランド「Harry’s(ハリーズ)」は、限定商品「シェーブ・ウィズ・プライド・セット」をリリースした。特徴は、大胆に七色に輝くシェーバーの柄。包装のボックスは、スペインのイラストレーター、ホセ・ロダが担当。LGBTQ界のアクティビストやリーダー、アーティストに感化されてデザインしたものだという。売り上げのすべてを、LGBTQの若者のメンタルヘルスを向上する団体トレバー・プロジェクトへと寄付する。「“すべての男性”のためのプロダクト」を目指す同ブランドは、シェービングを必要とするさまざまなジェンダーの男性に届いているようだ。


@harrys

スパイスであらわす多種多様性—Spiceology(スパイスオロジー)

「食」でもおいしくプライドをお祝い。250種類以上のスパイスやハーブを取り揃え、プロのシェフからアマチュアの料理好きまでに愛されるスパイスのブランド「Spiceology(スパイスオロジー)」は、6種のスパイスがセットになった「ラブ・イズ・ラブ・バラエティパック」を発売。ラズベリー・チポレ、スモーキー・ハニー・ハバネロ、マウイ・ハワイアン・テリヤキ、チリ・マルガリータ・シトラス、ギリシャ地中海、パープル・ヘイズという、文字からは味が想像できないほどの個性派を揃えた。売り上げの10パーセントは、米国内のフードバンク(困窮者に食糧を配る施設)に寄付する。LGBTQコミュニティのなかで十分な食料にありつけない人口が増加しているためだ。


Image via Spiceology

“ドラァグなビール”はどんな味?—Goose Island Beer(グース・アイランド・ビール)

 人気ドラァグクイーンとコラボしたビールも。シカゴ発のビールメーカー「Goose Island Beer(グース・アイランド・ビール)」は、ドラァグスーパースター、シア・クーリーとのコラボレーション製品「シア・クール・エール」を開発した。ラベルには、同メーカーのキャラ、ガチョウがグリッターでキラキラ仕様、「LGBTQコミュニティを祝福します」。力強いレモン風味のドライな味わいとも相まって、絢爛なドラァグの世界観がビールでたのしめる。売り上げの全額を、トランス女性の社会進出を支援する地元のチャリティー団体トランス・テックへ。


@gooseclybourn

グミで味わう自分らしさと素直さ—Sunday Scaries(サンデー・スケアリーズ)

 最後に、レインボーな幸せな気持ちにしてくれるグミを。CBD*食品やオイルを販売する「Sunday Scaries(サンデー・スケアリーズ)」のグミ「ユニコーン・ジャーキー」。「LGBTQコミュニティへの啓発と支援をたのしくインパクト大でおこないたい」とのことで、1袋売り上げるごとに、1ドルをハリーズと同様にトレバー・プロジェクトへ寄付。
 幸せなグミの効用は、「ありのままの自分のすばらしさを思いだす」「自分の感情表現を素直に」「心配ごとをなくす」「恋人との喧嘩のあとの仲直り」だそうだ。

*カンナビジオール。大麻草に含まれる成分の一つで、ストレス緩和、免疫システム強化など、自然療法としても利用される。


Image via Sunday Scaries

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Eyecatch Socks Image via Bombas
Eyecatch Graphic by Midori Hongo
Text by Aya Sakai
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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