欲しいものは「オンラインでポチって購入」。自宅にいながらパジャマ姿でショッピングをするのに慣れているミレニアル世代。スマホで購入当たり前な彼らをコアターゲットに新たなリテールスタイルを提案し、注目を集めているのがブルックリンを拠点とする飲料会社ダーティー・レモン(Dirty Lemon)。
彼らは、ウェブサイトでもアプリでもなく、携帯を使っての短いメッセージのやり取り「テキスト(SMS=ショートメッセージサービス)経由でのみ」商品を販売する。
テキストのみでオーダー可能な@dirtylemon
「いくら?」「いつ届くの?」。超カジュアルなメッセージが肝?
たとえば、オーダーするのはこんな感じ。オーダーは「いくら?」「いつ届くの?」と、まるで友だちとLINEをするような、とてもカジュアルなやりとり。
ハイ!注文したいんだけど
やあザック!
デトックス、スキン&ヘアーがいま購入と配送可能だけど、何がいいかな?
デトックスちょうだい。
65ドルで6本入り1ケース(送料込みだけど、地方税は取られるかも)だけど、何ケースオーダーしたい?
2本
オーダー承りました
オーダーナンバー#C16839で直ぐに配送します。
配送にのり次第すぐにレシートとトラッキングインフォメーションとあわせて確認メールを送るね。
何か不明点あったり、新しいケースが欲しくなったらいつでもテキストして Xx.
最高。超楽しみ。
いつ配送される?
明日の朝配送されて、木曜にはつくよ
X
と、こんな感じ。
2015年夏の創業以来、このテキストを経由した「Text-To-Buy(テキスト・トゥ・バイ)」スタイルで、顧客ベースは16年末までに3万人超に成長。売っているのはヘルシードリンク。「デトックス(detox)」「エナジー(energy)」「スキン&ヘアー(skin+hair)」「スリープ(sleep)」、それぞれ、1ケース6本入りで65ドル(約6900円)。ズバ抜けてお得でも、珍しい商品というわけでもない。売れている理由は「(他社商品よりも)効く!」かどうかより、この販売スタイルにある。
これがDirty Lemon。スキン&ヘアー。
ひと月に対応するメッセージの数はなんと、約5万件。この「テキスト」というカジュアルなプラットフォームを通じて数百万ドル規模の取引が行われている、というから驚きだ。気になるセキュリティ面での安全性も「とても高い」と自信をみせる。
アプリやウェブサイト経由ではなく「テキスト」でのやり取りを選んだのは、「斬新かつ、便利で効率的な購買体験を消費者に提供し、一人ひとりと、よりパーソナルなつながりを築くため」。創設者のザック・ノーマンディンとソマー・キャロルは「実験的な挑戦だけに不安はあったが、いまのところ好調」と明かす。特に、リピーターが増えていることに手応えを感じているそうだ。
ちなみにザック、かっこいい。
そういえばちょっと前からあった、パーソナルな購買
テキスト経由でモノを購入する、というスタイルは、前例がまったくないわけではない。実際、日常的にやっている人、やっている友人がいるという人は、意外と少なくないのではないかと思う。ブルックリンの現代人が、テキスト経由で買うものといったらアレだ。「欲しい」とテキストするだけで、だいたい1時間以内に「好きなのこれでしょ?」と自宅に届けにきてくれるマリファナ。よく考えてみれば、すごくパーソナルな購買体験ではないか。
カスタマーサービスももちろんテキストで行われる。それは、顧客にとって、手軽かつスピーディーで便利なだけでなく、「ぼくらブランド側にとっても、顧客と直にコミュニケーションがとれて、フィードバックを得やすいのは大きな利点」なのだそう。
また、宣伝も「顧客ひとり一人とすでにパーソナルなつながりが構築できていれば、『こんな新商品もあるよ』とテキスト一本するだけでオッケー。新規顧客の獲得は、口コミとSNSがキー」という。
実際、リピーターからは、商品を購入するためにアプリをダウンロードしたり、ウェブサイトへログインする必要がない点や、気軽な会話をベースとしたシンプルかつテンポの良いやり取りのできる点がウケているそうだ。「Text-To-Buy」スタイルは今後のトレンドになるか、注目が集まる。
※1ドル115円で換算
Images via Dirty Lemon
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Dirty Lemon
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Text by Chiyo Yamauchi