「忘れが〜たき、ふるさと〜」、生まれ故郷から離れ学問や勤労に励む人の心情を謳った名曲『故郷(ふるさと)』。故郷を懐かしむ心情は、現代の言葉を借りると「ホームシック」。ふと地元を思い出せば胸の奥がキューっと縮む、どこか恋心にも似たそれだ。
「ホームシック」という言葉に余る感情を、五感の中でも特殊な存在といわれる「嗅覚」を通して思い起こさせるアメリカ発のプロダクトがある。
名はそのままに「Homesick Candles(ホームシック・キャンドルズ)」。「いつ、どこにいても故郷にいるような気持ちに」がコンセプトのこのキャンドル、地元を離れ違う土地で生活する同じ境遇のメンバー数人で全米各50州の匂いを作り上げた。
「Texas Homesick Candle(テキサス・ホームシック・キャンドル)」
テキサスといえば、カウボーイ。そのカウボーイが履くカウボーイブーツから着想された「レザーの匂い」をベースに、フレッシュコットンとセージを効かせ表現
「Florida Homesick Candle(フロリダ・ホームシック・キャンドル)」
「サンシャインステート(日光の州)」で愛されるフロリダの匂いは、オレンジに海霧、流木にインスパイアされて
「New York Homesick Candle(ニューヨーク・ホームシック・キャンドル)」
ニューヨーク州北部(アップステート)の山岳地帯に広がる森林の香りに、果樹園から漂うリンゴとパンプキンの匂いをアクセント
「Georgia Homesick Candle(ジョージア・ホームシック・キャンドル)」
のどかな南部の州ジョージアは、地元産の桃とスウィートティーの香りをちょっぴりと
他にも、ギラギラ日差しにビーチが美しい南カリフォルニアはサボテンとオレンジ、海の香り、ヒップな街ポートランドがあるオレゴン州は、マツの木、ヘーゼルナッツ、梨の匂いなど。
上京してきた若者が一人暮らしのアパートに帰宅して、そっと灯すホームシックキャンドル。故郷の日常に広がる空気感を懐かしむことができる。
地元を懐かしむ気持ちは万国共通だ。ホームシックキャンドル・“ジャパン”バージョンもあればなお嬉しい。京都なら宇治茶、愛媛ならみかん、とか。
ちなみに、筆者にとって故郷の香りといえば。どこか寂しさのある日本海の潮風の匂いと、都会に向かうご婦人方がタンスから引っ張り出してきただろう一張羅に染み付いた樟脳(しょうのう)の匂いだ…。うーん、これはアロマキャンドルとしては却下か…?
みなさんの故郷はどんな香りだろうか。いろんな県のものを、是非聞いてみたい。
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All images via BuzzFeed Product Lab
Text by Shimpei Nakagawa