変わりたがる歯医者。タイニーハウスで出張サービス「空間はAirbnbイメージです(治療のサブスクリプション有)」

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「年齢に関わらず、みんな歯医者は苦手でしょう。その原因は、これまで“歯医者=不快”の揺るぎないイメージがこびりついていたから。だから僕らは、歯医者体験がたのしくなる革新を起こしたかったのです」

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 できることなら行きたくない。ズキズキし出してからでは遅い。わかっちゃいるが、いくつになっても歯医者に行くのは億劫だ。都合のいい日の予約はもう埋まっているし、平日の多忙きわめるオフィスを抜け出したどり着いたら「どうぞ、お掛けになってお待ちください」。待合室に漂う消毒薬の臭いが鼻を刺す。クラシック音楽と歯を削る甲高いマシン音のコラボは、脅しのように恐怖を駆り立ててくる(子どもの泣き声が聞こえてきた日にはもう…) 。虫歯があれば通院決定、あぁまた余計な出費が…。

「米国人の半数は何らかの歯科疾患があるにも関わらず、ほとんどは未治療のままなのです」とは、創設から4年目のデンタルスタートアップ「リディアン・デンタル(以下、リディアン)」。「長らく現状維持だった“嫌われ”歯科業界をもっとスマートで便利に」と歯科医師のジョシュ、スコット、ビジネススクール出のクレイトンが設立した歯科医院だ。ミレニアルズを中心に「こんなたのしい歯医者ははじめて!」と評判とのこと。歯医者嫌いといわれている彼らが行きたくなる理由って何なの?

感覚は、Airbnb。ミレニアルズ受けする歯医者体験

「リディアンに足を一歩踏み入れれば、まるでお洒落な“Airbnb”にいるような錯覚を覚えます」。え? 陰鬱な気分にさせる「ザ・歯医者」な内観を一新し、センスのいいインテリアで居心地のいい空間を演出した、ということらしい。さらに歯ブラシの無料提供や綺麗になった歯の記念にフォトブース、歯医者なのに患者にチョコレートバーのお土産など、ユーモアの利いたユーザー経験を提供している。

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まるでタイニーハウス? オフィスまで歯医者出張サービス

 アメリカ歯科医師会の調査によると、ミレニアルズが歯医者を避ける最大の理由の一つが、「歯医者に行くまでがめんどう」。こんなわがまま(?)を聞いてあげるべくリディアンが最近はじめたのが、ワゴン車訪問サービス「リディアンモバイル」だ。Airbnbな内観をそのままワゴン車にのせ、提携している企業のオフィスまでリディアンが出張。ユーザーはオンラインで時間帯を予約、その時間になったらデスクを離れ、リディアンのワゴン車まで直行。待ち時間なく受診できる。渋滞にハマり会議に遅れる心配もない。
「移動型のデンタルサービスはこれまでにもありましたが、車内は窮屈で殺風景でユーザー体験を満足させるものではありませんでした」。月極めの一定額(金額は現在非公開)を払えば、ユーザーの必要に応じてさまざまなサービス(緊急対応、根管治療、インプラントなど)をカバーしてくれるサブスクリプション型も人気だ。

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 現在展開しているのは、アリゾナ州とテキサス州の計3店舗(リディアンモバイルも現在はテキサスのみ)とまだまだ小規模なリディアン。しかし、彼らのミッション「億劫な歯医者体験をたのしく」からは、ビジュアルで革新をもたらす生理用品や、めんどうな手続きをスマホでOK&個々にカスタム対応する保険テックなどにも通じる現代らしい気鋭の精神性がうかがえる。まあでも、「歯医者行くの面倒くさ」とうだるミレニアルズのために意気揚々と「出張します!」とは、少々過保護すぎやしないか? と思わないでもないが。

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All images via Lydian
Text by Yu Takamichi
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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