幼さと成熟、完璧主義者のドジに派手さと家庭感。いわゆるギャップというものはしばしば、スプーン曲げのように人の無関心を興味と好意の方向にグッと捻じ曲げることができる(もちろんその逆にひん曲がることもあるので、100年の恋も冷めてしまう)。
そんなギャップに一つ足したいのが“おばあちゃんの悪態”だ。小ぎれいなニコニコ顔のおばあちゃんに罵られるのは強烈である。
おばあちゃんたちの悪態に遭遇してハマっているのが、イギリス在住のシボン・ブリットン(32)。おばあちゃんたちの予期せぬ罵りが好きなの、と、街で遭遇した悪態をまとめたジンが『Old Ladies Swearing(悪態をつくおばあちゃんたち)』だ。可愛らしいイラストにPーーしないと出せない卑猥な悪態をつくおばあちゃんたちが紹介されている。
現在アート関連の書物を扱う司書であるというシボン女史が「おばあちゃんの悪態が好き。まとめちゃった」というのもギャップじゃないか。リソグラフで印刷した少しかすれ気味のブルーインクで味が出ている。
実際のジンではこのブルーのPは外れている。ちゃんと悪態が見られます。
あのおばあちゃん「ちょっと口が悪いね」ではギャップにはなり得ない。シボン女史の紹介するおばあちゃんたちは、いつものニコニコ顔でいつの間にかコロリと日常会話を脱線し「あんた嫌なやつね」を「Bellend(男性器の先端)」「FUCKFACE(ファック・フェイス)」とぶっ放すおばあちゃんたちである。錆びついていつ弾が出てくるかわからない散弾銃、予期せぬ弾丸の威力たるや。可愛い顔して中指立て、もいいが…さっきまでのにこにこ笑顔のまんまで骨ばった中指立てのファック・ユーはギャップにおいては数段上だ。
Photos via Siobhan Britton
Text by Tetora Poe
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine