スティーブ・ジョブスも愛読していたヒッピー向け雑誌『Whole Earth Catalog(ホール・アース・カタログ)*』や、『HIGH TIMES(ハイ・タイムス)**』。60年代後半、ヒッピーカルチャーの興隆とともに生まれたヒッピー/ドラッグカルチャー関連の書籍は、いまもなお、一部でカルト的な人気を誇っている。
*1968年、スチュアート・ブランドに創刊された、ヒッピー向けの雑誌。ヒッピー・コミューンを支えるための情報や商品が掲載されていた。2005年のジョブスのスタンフォード大学でのスピーチの最後の言葉「Stay hungry Stay foolish」は同誌からの引用だった。現在オンラインにアーカイブされている。
**1974年から現在に至るまで、40年以上に渡り、マリファナ文化を伝えてきたマガジン。作家カポーティや、チャールズ・ブコウスキー、ジャーナリストのハンタートンプソンなど、数々の著名人がこれまで寄稿してきた。
「This horror on the book shelves is a threat to your children(このとんでもない雑誌が本棚にあるということは、あなたの子どもにとって脅威の他ならない)」
と、各種メディアに言わしめた『HomeGrown(ホームグロウン)』もそのうちの一つ。ヨーロッパ初のマリファナ文化に傾倒した超ド級のアンダーグランドジンだ。
「当時の人々にもあったマリファナについての誤認識を解くために」と英国のヒッピー青年だったリーが着手、1977年から82年にかけて出版した。イラストやコミック、エッセイなどを通じてマリファナ文化を世に提示し、当時で17万部の売り上げを記録しカルト的な人気を誇った。その同誌、40年の時を経て、オンラインアーカイブとしてカムバック!
「Zines are usually labour of love(ジンは基本的に、労力をつぎ込んで“好き”でやるもの)」。リーのジン好きに“マリファナ好き”をたっぷり詰め込んだホームグロウンには、アムステルダムでのドラッグ体験をネタにした漫画、マジックマッシュルームの効用についての説明、ヘンプ(麻)栽培の歴史、警察のドラッグガサ入れ体験談、ジャズメンと麻薬の蜜月…などなど、かなり色濃いトピックが当時のままの怪しさで綴じられている。
「ぼくは、その当時世界を変えたかったんだ。ホームグロウンが時代を超えて、世界中の若い世代にとって少しでもインスピレーションになればうれしいね。現代のジン好きに捧げるよ。エンジョイ!」。ヒッピーらしさ漂うハッピーなコメントでの締めくくり。過激な時代に突き抜けた人生を提唱し、脅威とまで言わしめたぶっ飛びジン、現代のモノ好きはこちらからどうぞ。
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All images via HomeGrown
Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine