「将来、何がしたいのかわからない…」。進路相談での耳ダコ、みな一回や二回は身に覚えがあるこのフレーズ。かくいう筆者も文化祭も終わった高校生3年の秋、受験勉強に明け暮れる同級生を尻目に、ボーッと天井を眺めていたな…。
未来のキャリアにああでもないこうでもないと悩み、気持ちばかり焦ってしまう若者に紹介したいのが「近未来ハイスクール」。うたい文句は「“変人”と高校生をつなぐ新しいキャリアプログラム」だ。
「え、変人? ちょっと待って」となりそうだが、ここでいう“変人”とは、建築士や探偵、編集者、ゲームクリエイターに農家、校長先生、サラリーマンなど、さまざまな業種の先輩である職業人のこと。ただし、単なる先輩社会人というのではなく「自らの人生を切り開きその能力を磨き続ける活動的な人たち、一人ひとりが特別で個性的で普通とはちょっと違う」プロ社会人のこと。スクールでは、変人が高校生たちに自分の仕事を紹介したり、高校生たちもキャリアや業種の質問などを投げかけるたりすることができる。
さて、どんな変人が集まっているのだろう…少し例を挙げてみると、
・阿部 泰尚(ひろたか)さん/探偵
個人調査から企業の潜入調査まで、優れた技術で幅広い調査を請け負う総合探偵社を経営。探偵の学校も運営している。探偵として子どもの「いじめ調査」を行った第一人者。
・赤羽 卓美(あかばね たくみ)さん/ゲームクリエイター
『MOTHER2』、『ザ・モノポリーゲーム2』など数々のヒット作の開発にかかわる。ポケモンカードゲームシリーズ開発に参画し、トレーディングカードゲームのデザインを完成させる。
・松下 信也さん/農家>
家族との時間を大切にするため、脱サラして農家へ転身。年間100種類以上の有機野菜を作り、毎月定期的に野菜セットを顧客へ送る農家。
それぞれの道の第一線で活躍するプロフェッショナルな職業人だ。
「近未来ハイスクール」を主催する株式会社オプンラボは、これまで大人向けのイベントなどを行い、異業種の変人ネットワークを築いてきたとのこと。「いまの高校生向けのキャリア教育に欠けているのは“リアリティ”だ」と、高校生が普段出会う機会のないような個性豊かな職種のプロたちと顔を突き合わせて、自分の将来を具体的に設計してみるきっかけをつくる。
今年3月に開催された初回スクールでは、50の生徒、26の変人、20の高校教諭など総勢100名以上が集結。「学校では聞けない意見が聞けた」「学歴がすべてでない。やりたいことを見つける」「転職は前向きに捉えよう」といった参加者の声を聞くところ、試験勉強のための丸暗記やノート写し以上に若者たちは人生を考えるうえでの重要な勉強ができたようだ。また、変人たちにとっても若い世代と繋がることはインターネットで統計データを見るよりもリアリティがあるだろう。詳しくは、コチラから。
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Text by Shimpei Nakagawa
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine