編集部が選ぶ今月のZINE3冊。テーマは〈あかるくヘルス〉検査の準備は万端? オッパイの健康チェック、太ってても大丈夫!

健康と身体のことを、あかるく考えたり、前向きに準備したり、鮮やかに覚えていたりするために。
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この前部屋を掃除していたら、小さい手書きのカードがたくさん出てきた。小学生の頃のものかな、妖精や蝶々のファンシーな絵とその裏には「たまには子どもの言うことを聞いてみましょう」「お友だちとのお泊まりを許してあげましょう(この効果はバツグンです!)」なんてメッセージが書かれていた。
お母さんにお願いを聞いて欲しくて作ったのかな…、我ながらキュートなアプローチだったと思う(笑)。大人になったいま、そんな子どもの頃のDIYを集めてジンにしてもおもしろいかもね。

世界一敷居の低い文芸で、ルールが存在しない世界一自由な文芸「ジン(ZINE)」。今月紹介するのは「あかるくヘルス」がテーマの3冊。恐怖の内視鏡検査への準備(あかるく)、乳がんになったとき、ぽっちゃりさんに向けたメッセージ。病院でもらうパンフレットとはひと味もふた味も様子が違う、カラフルでハッピーなジンが揃いました。

***

内視鏡検査ってコワすぎ!?
心と体の準備をあかるく万端にしよう。
How to Prep for Your Colonoscopy

作った人:Bee Loris(ビー・ロリス)

Image via Bee Loris

胃カメラを体の中にぐぅーっと入れる内視鏡検査。聞いただけでも気持ち悪くなっちゃうし、どんなもんかと調べてみたら結構な体験談だらけでますます憂鬱…。
そんなときにこんなのがあったらうれしいね、色鮮やかで陽気なジン『How to Prep for Your Colonoscopy(ハウ・トゥー・プレップ・フォー・ユア・コロノスコピー)』。実際にクローン病にかかり、内視鏡検査を受けることになった作者があかるい心と体の準備に寄り添ってくれます。
断食して、しまいにはトイレから離れられない。そんな検査機関へのアドバイスがフレンドリーに、盛りだくさん。

———こういうあかるい色した手書きのジン、大好き!内視鏡検査の準備について書いてあるなんて、見た目のハッピーさからは想像できない(笑)

でしょ? ありがとう(笑)。クローン病になって内視鏡検査を受けるってなったときにいろいろ調べたんだけど、おもしろおかしくフレンドリーには説明してなくってさ。検査を受ける人の不安を和らげて、笑顔にできたらなって思って作ったんだ。

———なるほどね!ページをめくってみると…準備の手順とか、必要なもののチェックリストとか、いろいろ詰まってる。

そうそう。検査を受ける本人だけじゃなくて、その家族とか周りの人もこれを見てわかってもらえると思うよ!病気とか検査について、ややこしいことを何度も説明するのってダルいもんね。

———はじめの手引き、みたいなものだね。初めて検査を受けたときはどうだった?

それがさ、マジで恐怖でしかなかった! 検査の前に、実際に受けた人のブログとかを読んだんだけど、不安になりすぎて吐いちゃったもん! カメラを体に入れるのってどれくらい痛いんだろう、とか、変な感覚なんだろうな、とか考えちゃって…。ちなみに超痛かったし、死ぬほどムカムカしたよ(笑)

———ううー…聞いただけでもしんどい。

そうでしょう…。私みたいに準備だけでしんどくなってほしくないから、不安を和らげるオススメの秘訣を紹介してるんだ。お気に入りの思いっきり馬鹿げた動画を見る、とか! 私はVine(ヴァイン)の動画集を見てたなあ。

———準備のあとは、いよいよ検査。実際の検査のことも載せてるね。

私が実際に受けた検査の“実況解説”を載せてるよ。しっかり準備するとやっぱり検査がラクになる。し、ちょっとずつ楽しめるようになると思う。

———たのしめる境地までは遠そう(笑)でもそのポジティブさがこのジンのあかるさ。“準備万端、オッケー!”にしておくの、大切なことなんだね。

その通り。カメラを入れられるっていう未体験への不安や、体だけじゃなくてメンタル面のつらさとかは、なかなかお医者さんでも寄り添えないものだと思うし。このジンでそのお手伝いができますように。
最後に一言。検査を受けるみんな、よく聞いて。検査が終わったらゆっくり休んで、次の日には「私、やり切れた!」って自分をお祝いしてあげること!

***

“乳がんの兆候(サイン)”とその日から。
知ってほしいことを、ポエティックにコラージュに綴って。
The Trade Breast Cancer Signs

作った人:Connie Boje(コニー・ボイエ)

Image via Connie Boje

乳がんの診断を受けた作者が作ったのが、『The Trade Breast Cancer Signs(ザ・トレード・ブレスト・キャンサー・サインズ)』。世界中の女性に知ってほしい「乳がんのサイン(兆候)」が、自身の経験に基づいて紹介されている。
真面目な内容だけど、病院のパンフレットとは違う。詩的な言葉で、乳がんの検査から治療、そのあとの体の変化などが綴ってある。カラフルでポップな色使いに、DIY感たっぷりのコラージュデザイン。自分用にも欲しいし、友だちにもあげたくなる一冊。

———乳がんのサイン(兆候)についてのジン。自分の体験に基づいて作ったんだね。

乳がんを診断されて、その2年後に一冊にまとめ終わった感じ。

———実際に自分で兆候を感じ取って、病院に行ったの?

実は、乳がんのしこりを見つけられたのはラッキーだったの。精神疾患の治療を受けていて、その一環で発見された。マンモグラフィー*を怖がっていなかったら、もっと早くしこりを見つけられていたかも。

※乳がん発見のためのX線撮影のこと。

———なるほど。でも、なにかサインがなければわざわざ検査しようと思えないのはわかるし、そのサインに自分で気づくのも難しいって言うよね。

だからこのジンでは乳がんのサインにどんなものがあるかについて書いたり、実際に摘出したしこり(私のは耳垢みたいに小さいものだった!)について、それから体の変化だったりといろんな点にフォーカスしてみた。アメリカでは8人に一人の女性が乳がんを患うらしいの。だからこそ、このトピックに関して発言することって重要だと思う。

———自分のしこりについてもそうだし、他にも「がんによってリンパ節がダメージを受けて、お尻を拭くときに腕がめちゃめちゃツラくなった!」のエピソードもそうだし、とにかく率直に大胆に綴られている。

自分の経験をそのまま反映させたからね!

———このジン、扱ってる内容自体はシリアスだけど…なんていうんだろう、コラージュも言葉遣いもそうだし、とても素敵な一冊。

ありがとう! 私、詩を書いたりコラージュを作ったりするのがすごく好きで。実は乳がんについてのジンはこれまでに二つ作っているんだけど、もう一つの方は詩がメインなの。こっちのジンは、明るい色使いで、オッパイの絵とその説明をメインにしつつも、文章は全体的に詩のテイストを織り混ぜて仕上げてみたの。

———詩とコラージュで知っていく乳がんのこと、か。友だちにも一冊あげたい。

***

「太ってたって、大丈夫!」
ありったけ身体を愛そう。
Adipose Issue

作った人:Miles Lyons(マイルズ・リオンズ)

Image via Miles Lyons

「It’s okay to be fat!(太ってたって、大丈夫!)」。ビンゴや塗り絵をたのしみながら自分の体を愛することの大切さをポジティブに学べるのが、この『Adipose Issue(アディポーズ・イシュー)』。お気に入りのおやつを片手に、ページを開いてみよう。

———タイトルは直訳すると、“動物性脂肪の問題”と。なんともストレートな。

前々から、太っているってことに肯定的なジンを作ろうって思ってたんだ。でも億劫で億劫で先延ばしにしちゃって担だけど、いよいよ世界での肥満の扱われ方について思ってることを全部吐き出したくなって、よし、ついに作るぞ!!!って決めて。イントロを書くだけ約2週間かかっちゃった(笑)

———ついに作ったんだってことがよくわかった(笑)どんなコンセプトで作ったの?

普段から太っている人がどれだけ辛辣な扱いを受けているかということに立ち向かうための、そのサポートをするために作った。私自身が太っちょなの。体のことで悩む日々を乗り越えるために、たのしいものを作りたかったし、みんなに「太ってたってオッケーなんだよ」って伝えたかったんだ。

———マイルズ自身は、どんな辛いことがあったのかな。聞いてもいい?

うん。昔、付き合ってた彼氏に、“釣り合わないほど太ってる”って言われたとき。本当に傷ついた。そのあとでフェミニスト団体を通じてファットアクセプタンスのことを知って、その道を歩みはじめたんだ。それはね、「他人の体型をとやかく言わない」ってこと。ファットアクセプタンス*とフェミニズムは、私の心の中でいつも結びついている。

※強い「痩せ規範」が浸透している現状に対し、太った体型も受け入れることで「体型の多様性」を擁護しようとする考え方。

———ある基準で勝手にその人を判断しない、良し悪しを勝手に決めて押しつけない、大切なことだ。それにしても、このジンおもしろいコンテンツが盛りだくさん。「ファットペーパードール(紙人形)」に「ぽっちゃり動物たちの真実」、それから「ファットポジティブプレイリスト」なんてのも(笑)!

とにかくたのしいものを作りたかったから!ぽっちゃり動物の話で言うと「熊は大きくてパワフル」っていうやつがお気に入り。
プレイリストの『Happy Being Fat』はマジでおすすめの一曲!米シンガーソングライターの故ビッグ・ディー・アーウィン(Big Dee Irwin)が「どんな自分であろうと最高にハッピーさ」って歌ってて。自分の体を愛しているのが伝わってくる。誰も彼にダイエットしろなんて言わないよね。

———最後に、みんなに向けたメッセージをもらいたいな。太ってる人にキビシイ視線や言葉を言ってしまう人にも伝わるような。

もちろん!「太っている人は〇〇」と言われてきたことについて、もう一度きちんと考えてみて欲しい。太っていることは悪いことだと言われてきたけど、それは真実じゃない。この、“肥満≠悪”っていう前提を踏まえて、太ってる人を見てくれたらうれしい。

———太っているぽっちゃり仲間に向けて、どうぞ。

ありのままの自分を気楽に受け入れることができますように。辛い日だってたくさんあるよね。
でも、他の誰かのために自分を変えようとしないで。大切な時間を無駄にしないで。
もし誰かがありのままのあなたに興味を持たなかったとしてもそれはそれでいいの。あなたもその人たちに興味を持たなくていいというだけのことなんだから。

Eye Catch Image via Bee Loris
Text by Iori Inohara
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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