ほんとはみんな、ソーダが飲みたい。健康的になって帰ってきたジャンク・オブ・ジャンク、炭酸。米国ソーダ文化はまだまだ終わらない?

スタートアップの活動や新しいプロジェクトから読みとく、バラエティにとんだいま。HEAPSの(だいたい)週1レポート。
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新しいプロジェクトからは、バラエティにとんだいまが見えてくる。ふつふつと醸成されはじめたニーズへの迅速な一手、世界各地の独自のやり方が光る課題へのアプローチ、表立って見えていない社会の隙間にある暮らしへの応え、時代の感性をありのままに表現しようとする振る舞いから生まれるもの。
投資額や売り上げの数字ではなく、時代と社会とその文化への接続を尺度に。新しいプロジェクトとその背景と考察を通していまをのぞこう、HEAPSの週1のスタートアップ記事をどうぞ。

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アメリカンカルチャーになくてはならないもの、色とりどりの「ソーダ」。1日の摂取量を優に超える砂糖がたっぷり入ったジャンク・オブ・ジャンクは、近年の健康志向とともに世間からの評判はガタ落ち。だが、それも今日までだろう。米国のソーダカルチャーを守ろうと〈健康的なソーダスタートアップ〉が誕生したから。「United Sodas of America(ユナイテッド・ソーダズ・オブ・アメリカ)」、名前からして弾けんばかりの野望がうかがえる。

「ソーダがなり得る姿を改めて想像しました」

 コーラやファンタ、三ツ矢サイダーなど日本で俗に言う“炭酸”飲料は、米国やカナダでは、「ソーダ」「ポップ」と呼ばれている。炭酸大国・米国では、1人あたり年間平均140リットルほどのソーダを消費し(ビバレッジ・マーケティング、2019年)、成人全体の約3割は、炭酸甘味飲料を毎日飲んでいるという。ヘルシーな食生活を心がける最近の風潮から、米国や日本など世界的に“ソーダ離れ”が進み、10年単位で消費量が約20パーセントも減っている。飲料メーカーはダイエットや無糖などのオプション開発に躍起だ。さらに、ちょっといいレストランなんかで出てくる「スパークリングウォーター(炭酸水)」にほんのり味をつけた、ヘルシーな炭酸水も続々登場し、ソーダの代替として市場に数多く出回っている。
 
 しかしだ。ダイエットコーラやお洒落なフレーバーつきスパークリングウォーターじゃ物足りない。本当はみんな「ソーダ」が飲みたいのである。

 全米のソーダ好きをそう代弁し、健康的な「ソーダ」を提供するのが「United Sodas of America(ユナイテッド・ソーダズ・オブ・アメリカ)」である。ニューヨーク・ブルックリンで今年創立したばかりのソーダスタートアップだ。

「いま、ソーダがなり得る姿をもう一度想像してみました」という彼らが開発したソーダは、ビビッドでシンプルなラベルのソーダらしからぬ缶デザイン。中身も、1缶たったの30キロカロリー(通常は140キロカロリーほど)で、グルテンフリー、添加物フリー、ビーガン、オーガニックの甘味料。フレーバーも個性派ぞろいで、ヤングマンゴー、こんがりココナッツ、サワーブルーベリー、ブラックベリージャム、チェリーポップ、ストロベリーバジルなどなど。全12種を取り揃えている。気になる味は実際に試飲したいところだが、いまのところはユーザーの感想でおあずけ。
「ブラックベリージャムのような味のソーダをずっと探していたんだ。夢が叶った」「1985年以来ソーダを飲まないようにしていたが、いまじゃチェリーポップ味を子どものように夢中になって飲んでいるよ」なんていう味を保証するフィードバックがウェブサイトには溢れている。




ど直球にいく。ソーダ文化は死なない。

「いまや市場は、“ソーダの代替品”で飽和状態ですよね。メーカーはこぞってこうアピールする。『私たちは“炭酸水”メーカーです。フレーバーを足しまして…』」。ユナイテッド・ソーダズの創立者で、コカコーラやペプシなど大手飲料メーカーの戦略ブランドコンサルタントとしても仕事をしたことがあるマリサ・ズパンはそう話す。

 健康志向のスパークリングウォーター市場は勢いを増すばかりで、米国の飲料業界全体でも最も発展の著しいカテゴリーの一つだ。スーパーやデリ(コンビニ)にはさまざまなスパークリングウォーターメーカー商品がずらっと棚に並ぶ。しかし。「私たちに必要なのは、“ソーダの代替品”ではないとわかっていました。直球の“ソーダ”が必要だったんです」。ユナイテッド・ソーダズ・オブ・アメリカは、“味付き炭酸水”ではなく、あくまでもおいしくて健康的な「ソーダ」を提供し、その名に恥じぬようユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカの文化を守ろうとしている。そして、「ありがとうユナイテッド・ソーダ。これで『スパークリングウォーターが好き』と嘘をつくのを、やっとやめることができたよ」とコメントを寄せたユーザーのような、全米の数え切れない個々のソーダ好きたちをも、だ。

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Eyecatch Image Graphic by Midori Hongo
All Images via United Sodas of America
Text by Aya Sakai
Content Direction & Edit: HEAPS Magazine

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