急成長中。いま、スーツをビシッとキメた大人を夢中にさせるのは、大麻(マリファナ)ビジネスだってよ

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「How High(ビー・バッド・ボーイズ)」や「Up in Smoke(チーチ&チョン スモーキング作戦)」といったマリファナ映画のせいで、「そんなんなるんか?」とイケナイ好奇心を抱いていた高校時代。

あれから十数年。現在もバッチリ違法薬物として扱われ、吸引なんて「ダメ、ゼッタイ」。まだまだ厳しく規制されているのが日本の現状だ。

一方、すでに23の州で医療大麻として解禁、しかもうち4つの州と1つの都市で娯楽目的の使用がオッケーなアメリカでは、いま、マリファナビジネスが急成長。スタートアップも立ち上がっているらしいのだ。

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事実、オレオより売れていた

 日本では無許可所持に最高懲役5年、営利目的栽培に懲役10年と、キビしい刑を科せられる「マリファナ」。吸引せずとも立派な犯罪になるわけだが、ちょっと外に目を向けてみると、意外と合法化されている国は多い。

 マリファナ愛好家にとって「天国」と称されるオランダのアムステルダムでは、マリファナ専用のコーヒーショップがあり、店内では煙草のように購入しそのまま吸引が可能。また、世界で初めて生産・流通・販売が合法的に認められたウルグアイでは、1人6本までの栽培が許可されている。

 アメリカではアラスカ、コロラド、オレゴン、ワシントンの4つの州と首都ワシントンD.C.にて、娯楽目的用にマリファナが合法化(ニューヨークでは違法だが、若きギリギリすぎるメッセンジャーたちに割よく運べると人気(?)がある)。州によって「完全合法化」「所持が非犯罪化」「医療大麻だけが合法」と程度の差はあるものの、半分近くの州が容認している。

 驚くべきはその売上だ。2014年には3億5,100万ドル(約373億円)だったのが、2015年は9億9,800万ドル(約1,063億円)と一気に跳ね上がった。ちなみにだが、その額はみんな大好きオレオの売り上げを上回る。

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アツい理由は、アルコール以上の税収

 たとえば、2014年に合法化されたコロラド州。その年のマリファナからの税収は7,000万ドル(約75億円)と、アルコールからの税収4200万ドル(約45億円)を大きく上回り、アメリカで初めて「マリファナからの税収がアルコールからのそれを超えた州」と話題になった。

 この実例こそが、他州での合法化に対する動きを後押ししている。それはもう飛ぶ鳥を落とす勢いで、近年これまたかなりのいきおいで伸びていたオーガーニック食品産業よりも大きく成長するのでは、なんてささやかれるほど…。

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 そんな盛り上がりを見せる市場なわけで、マリファナ関連のスタートアップも立ち上がっている。アメリカ初のマリファナ関連企業であり、業界の核として機能する「CanopyBoulder(キャノピーボウルダー)」は、業界内外の広いネットワークから、マリファナの地域別情報、各州での合法化の動向、価格変動の影響などを把握し、新規参入する投資家とスタートアップを結びつけている。

生理痛に悩む女性向けのマリファナ・ビジネス?

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「これから新規の参入により業界はさらに盛り上がり、競争はますます激しくなると予想されます」
 そう話すのはキャノピーボウルダーの創始者であり、最高経営責任者のPatrick Rea(パトリック・レア)氏。

 企業だけではない。ラッパーのスヌープ・ドッグは、自身で立ち上げたニュースメディア「メリー・ジェーン」にて「大麻に対する新しい考え方を広める」リソースを提供している。さらに女優のウーピー・ゴールドバーグは、生理痛に悩む女性に向け医療用大麻製品「ウーピー&マヤ」を発表するなど、著名人の参入も積極的だ。

 こういった急成長の一因として、アメリカ人の大麻に対する見方が変わったことにある。ギャラップの世論調査によると、大麻合法化に賛成する人は2005年にはわずか36%だったが、現在は58%に上る。この傾向は、同性愛者の結婚の一途をたどるとも予測されている。

スーツでごまかしただけの愛好家に、投資はしない

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 市場が拡大中だからといって、誰でも参入できるわけではない。パトリック氏は続ける。「先日、ある投資家の方と話していたときのこと。彼は『“Stoners in Suits(スーツを着た、ただのマリファナ愛好家)”に会うのは、もうたくさんだよ』ってこぼしてました。同情しましたよ。だってそういう類いの人たちは、僕らが一番避けたい対象ですから」。

 スーツでごまかしただけの“マリファナ愛好家”じゃあ投資なんてされない。ビジネスである限り、愛だけじゃあ成功など遠い。「州ごとの規制や基準をしっかり把握し、いかにクリアするかがこのビジネスにとって大切なんです」と、熱っぽく語す。

 日本ではまだまだ「悪」として扱われるマリファナ。が、アメリカでは、身なりの整ったそれとは縁のなさそうな大人たちを本気にさせる急成長中のビジネスだなんて、なんだか面白い話だな。

※1ドル 106円 換算

[nlink url=”https://heapsmag.com/?p=10951″ title=”正体不明のアーティスト、バンクシーの映画が日本で公開中。3年前、HEAPS編集部はリアルタイムでバンクシーを追っていた!”]

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Text by Yu Takamichi

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