日本上陸前から、「まだかまだか」といわんばかりにアーリーアダプターの間で話題だった、世界最大の会員数を誇るアメリカ発のビデオ・オン・デマンド(VOD)サービス「Netflix(ネットフリックス)」。
ネットフリックス上陸を機に、それまで苦戦を強いられていたVODサービス市場に一気に火がつき、「動画配信元年がやってきた」と話題になった2015年の日本だが。
同年、VOD界の覇者「ネットフリックス」を脅かすと一部で噂される新たなVODサービスが誕生した。しかも生まれはアフリカ大陸の最南端に位置する国、南アフリカだ。
VODサービス「ShowMax(ショーマックス)」は、欧米諸国や日本などの先進国に比べネット環境の整っていない(整備への動きは急速に進んでいる)アフリカ諸国へのサービス提供を目的に創立された。そして、アフリカからさらに勢力をのばし今年2月より、ポーランドでもサービスを開始し、ヨーロッパ進出も果たしたVOD産業における新参者だ。
このショーマックス、「ネットフリックスを脅かす」といわれている。その所以たるものは「ローカライゼーション(地域化)」に重きを置いたサービスだ。
各国言語への対応はもちろんのこと、コンテンツラインナップは、ブロックバスター映画と呼ばれるようなハリウッドから届けられる大作映画よりも各国のオリジナル作品を中心に。
ユーザーの生活環境も配慮しており、たとえば、クレジットカード文化が浸透していないアフリカ大陸では、小売店で購入できるプリベイドカードでの支払いも可能になっている。
特にアフリカでのサービス展開では、整いきっていないネット環境を考慮。ナイロビでは、ネット通信費を下げるためキャッシュサーバーを配置、再生スピードも速くすることでユーザーエクスペリエンスを向上し、もはやインフラ整備の役割も担う。各国のニーズや環境、価値観に合わせてビジネスを構築している。
かたやエミー賞やアカデミー賞受賞作など高品質でメインストリームなコンテンツを武器に、他の追従を許さないネットフリックス。一方、展開する各地のニーズやネット環境などに沿った「ローカライゼーション」を武器に、世界進出を目論む「ショーマックス」。
これからますます加熱するVOD戦線で、遠い南アフリカからの新参者がどう食い込んでいくのか。そして、それぞれのVODサービスが差別化を図るためにどんな工夫を生みだしていくのか、目が離せない。
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All images via ShowMax
Text by Shimpei Nakagawa
Edited by HEAPS Magazine